宮川水系

日本一の清流

宮川水系マップ

宮川は、全流域面積920km2、幹川流路延長91kmの三重県内最大の河川で、その源を日本の最多雨地帯で知られる大台ヶ原山系の三重県多気郡大台町の日出ヶ岳(標高1,695m)に発し、大杉谷峡谷を貫通し、宮川ダムを経て中流山間部を流れ大内山川などの支川を合わせ伊勢平野に出て、河口付近で大湊川を分派し伊勢湾に注いでいます。一級河川水質調査では過去数十回日本一になるなど、「清流日本一」として名高い日本屈指の清流です。昭和49年7月の洪水(七夕洪水)では、勢田川の氾濫により伊勢市の広域にわたって浸水被害が発生しました。
この洪水を契機に昭和50年4月に一級河川の指定を受け、「工事実施基本計画」が策定され、直轄河川改修事業に着手しました。被害が甚大であった勢田川では、昭和51年より直轄河川激甚災害対策特別緊急事業が実施され、浚渫や引提、護岸整備などを行い、昭和55年には勢田川防潮水門・排水機場が完成しました。
近年においては、平成16年9月洪水により、宮川上流部では土砂災害が多発し、大量の土砂が宮川へ流出しました。下流部では越水氾濫によって甚大な被害を受けたことから、平成18年より床上浸水対策特別緊急事業が実施され、築堤及び河道掘削などが行われ、平成24年に完成しました。
その後、平成19年に河川整備基本方針、平成27年に河川整備計画を策定し、現在、河川整備計画で定めた河川整備を順次実施しています。平成29年10月洪水では、勢田川流域で昭和49年7月洪水(七夕豪雨)を大幅に上回る累積雨量(観測史上最大)となり、広範囲で浸水被害が発生しました。このような状況を受け、「勢田川流域等浸水対策協議会(伊勢市、三重県、国)」を設立し、現在、浸水対策実行計画に基づき対策を実施しています。

プロフィール
源流 三重県多気郡大台町(日出ヶ岳標高1,695m)
流域面積 920k㎡
(山地 838k㎡・平地 64k㎡・河川区域 18k㎡)
幹川流路延長 本川 91km (55位)
河川延長 305.3km (68位)
流域面積 920k㎡ (69位)
大臣管理区間 本川 11.6km・大湊川 1.7km
勢田川 6.1km・五十鈴川 3.2km
流域内人口 約14万人
計画高水流量 岩出 7,600㎥/s

( )内の順位は直轄管理河川(109水系)の全国順位

宮川計画高水量図

宮川の大きな変動

1938年(昭和13年)
低気圧による豪雨
1951年(昭和26年)
河川改修計画(県)

(基本高水8,400㎥/s、計画高水7,600㎥/s)

1957年(昭和32年)
宮川ダム完成(県)
1974年(昭和49年)
台風8号
伊勢市駅前の被災状況

支川勢田川の流下能力不足、その支川からの内水氾濫で伊勢市の大半が浸水、この災害が契機となり昭和50年に一級河川に指定されました。

1975年(昭和50年)
宮川が一級河川に指定される
1976年(昭和51年)
勢田川直轄河川激甚災害対策特別緊急事業着手(引堤・河道掘削)
改修前(勢田川5.8km付近)

昭和49年7月4日の七夕災害を受けて、宮川水系は昭和50年4月に一級河川に指定されました。被害の大きかった勢田川については、「直轄河川激甚災害対策特別緊急事業(略称 激特事業)」によって、昭和51年度から河川の改修事業が実施されることになりました。
改修計画の主な内容は、全直轄区間の河床を浚渫、中流部の堤防が無く、川幅が狭い区間については川幅を広げ、特殊堤防や護岸を設けること。また、下流部の堤防がある区間については、堤防を補強し、低高水護岸を設ける洪水対策を実施しました。さらに河口部については、高潮対策として防潮水門、排水機場が建設されました。

街並みに配慮した護岸の整備状況

街並みに配慮した護岸の整備状況

1976年(昭和51年)
宮川水系工事実施基本計画を策定

(岩手:基本高水8,400㎥/s、計画高水7,600㎥/s)

1977年(昭和52年)
勢田川防潮水門並びに排水機場工事に着手
1980年(昭和55年)
勢田川防潮水門並びに排水機場完成
2004年(平成16年)
台風21号
宮川右岸8.2k付近(三郷山)より下流を望む(H16.9.29)

各地で記録的な雨量が観測され、宮川中流部の無堤部から越水し、床上・床下浸水、上流部では土砂災害が頻発し、死者・行方不明者が7人出ました。(観測史上最大流量)
(床上浸水184戸、床下浸水86戸、全半壊33戸)

2006年(平成18年)
宮川床上浸水対策特別緊急事業に着手
2007年(平成19年)
宮川水系河川整備基本方針の策定

(岩手:基本高水8,400㎥/s、計画高水7,600㎥/s)

2012年(平成24年)
宮川床上浸水対策特別緊急事業完成
宮川床上浸水対策特別緊急事業

平成16年9月の台風21号洪水による氾濫で、家屋が浸水被害を受けた伊勢市中島~佐八町地区において、堤防整備や河道掘削などの治水対策を実施し、再度同規模の洪水が発生した場合でも、洪水を安全に流下させるとともに、床上浸水被害の解消を図りました。

2015年(平成27年)
宮川桜堤改修工事完成
2015年(平成27年)
宮川水系河川整備計画の策定

(岩手:基本高水7,800㎥/s、河道整備7,300㎥/s)

2017年(平成29年)
台風21号
浸水状況(伊勢神宮外宮参道)

平成29年10月洪水では、宮川下流域で、年間降水量の約1/4~1/3の雨量を記録し、勢田川流域では甚大な被害が発生した昭和49年7月洪水(七夕豪雨)の累積雨量496mmを大幅に上回る累積雨量584mm(観測史上最大)となりました。
伊勢市内では、満潮と台風による高潮・大雨のピークがほぼ同時に発生した影響もあり、雨水排水不良による浸水に加えて、勢田川・桧尻川・汁谷川の河川からの氾濫も生じ、広範囲で浸水被害が発生しました。

2018年(平成30年)
「勢田川流域等浸水対策協議会」設立
勢田川流域等浸水対策協議会

平成29年10月洪水を受け、流域全体で、関係機関があらゆる施策を総動員して浸水被害軽減に向けた取り組みを実施するため、伊勢市及び三重県(土木、下水道、危機管理、農林地域部局ほか)、国(三重河川国道事務所)が一堂に会し 「勢田川流域等浸水対策協議会」を平成30年1月26日に設立しました。
より効果的な浸水被害軽減対策を、総合的・一体的に推進するための「勢田川流域等浸水対策実行計画」をとりまとめ、計画に基づき対策を実施しています。