雲出川水系はその源を三重県、奈良県の県境布引山脈三峰山(標高1,235m)に発し、支川八手俣川などの各河川を合わせ、伊勢平野に至り支川長野川、波瀬川及び中村川を合流し河口付近にて雲出古川を分派し伊勢湾に注いでいます。雲出川の本格的な治水事業は、三重県によって昭和31年に着手されました。
しかし、雲出川流域は雨量が多く毎年のように災害を受け、特に昭和34年9月の伊勢湾台風では未曾有の大出水により、本川・支川とも大きな被害を受けました。これを契機として、昭和36年から直轄事業に着手、昭和41年には一級河川に指定され「工事実施基本計画」を策定し、堤防整備、護岸整備などを実施しました。その後、昭和46年8月及び9月洪水、昭和49年7月洪水、昭和57年8月洪水等の相次ぐ出水が発生し、特に昭和57年8月洪水では本川大仰地点及び支川中村川島田橋地点で計画高水流量を上回る流量を記録し、中流部の開口部からの浸水により被害が発生したことから、昭和61年に工事実施基本計画を改訂しました。
その後、平成16年9月に再び洪水が発生し、平成18年に河川整備基本方針、平成26年に河川整備計画を策定し、現在、河川整備計画で定めた河川整備を順次実施しています。
プロフィール | |
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源流 | 三重県津市美杉町(三峰山標高1,235m) |
流域面積 | 550k㎡ (山地 473k㎡・平地 64k㎡・河川区域 13k㎡) |
幹川流路延長 | 本川 55km (91位) |
河川延長 | 256.7km (77位) |
流域面積 | 550k㎡ (86位) |
大臣管理区間 | 本川 16.2km・雲出古川 2.5km 中村川 5.1km・波瀬川 4.7km |
流域内人口 | 約9万人 |
計画高水流量 | 雲出橋 6,100㎥/s |
( )内の順位は直轄管理河川(109水系)の全国順位
伊勢湾台風により、各所で破堤・流域全体で被害
(床上浸水943戸、床下浸水1,581戸、全半壊529戸)
(雲出川0.0km~15.8km、雲出古川0.0km~2.4km、中村川0.0km~1.8km、波瀬川0.0km~2.2km)
(雲出橋:基本高水5,000㎥/s、計画高水4,500㎥/s)
(床上浸水196戸、床下浸水2,562戸)
(中村川1.8km~5.1km、波瀬川2.2km~4.7km)
支川中村川が破堤するなど、甚大な被害が発生しました。基準地点雲出橋では観測史上最大流出量を記録し、大仰橋などでは計画高水流量を超過しました。
(床上浸水406戸、床下浸水928戸、全半壊92戸)
(雲出橋:基本高水8,000㎥/s、計画高水6,100㎥/s)
(床上浸水38戸、床下浸水199戸、全半壊9戸)
昭和59年台風10号に続く既住第2位の出水となり、100戸を超える浸水被害が発生しました。
(床上浸水28戸、床下浸水92戸)
(雲出橋:基本高水8,000㎥/s、計画高水6,100㎥/s)
支川中村川下流部の中村川橋梁では、洪水を安全に流すため、川底を掘って川の断面積を広げる必要がありましたが、橋の柱が深く入ってないため、川底を掘ることが出来ませんでした。また、橋の高さ不足により洪水流下を妨げていたため、橋の架替を行いネック点を解消しました。
(雲出橋:整備計画目標5,400㎥/s、河道整備4,400㎥/s)
昭和34年の伊勢湾台風後に整備された高潮堤が築堤から約50年経過し、老朽化が著しく堤防高も不足していたため、高潮堤防の改築を実施しました。