木曽三川の防災

■伊勢湾台風

 昭和34年9月26日、和歌山県潮岬に上陸した台風15号は低気圧と激しい風による海面上昇が驚異的な高潮を発生させ伊勢湾一帯を襲いました。その被害のほとんどは東海地方に集中したので、「伊勢湾台風」と名づけられました。愛知、岐阜、三重3県の死者、行方不明者4,645人、被災者120万人に達する大惨事をもたらしました。特に大きな被害を受けたのは人家の密集している名古屋市南部と西部の愛知県海部郡一帯、三重県北部の木曽三川河口部付近で、異常潮位のため、いたるところで堤防がきれ民家は一瞬にして泥水の下となりました。海水の浸水は、長い地域で2カ月以上も続きました。 伊勢湾台風


■洪水予報

 中部地方整備局と地方気象台は洪水の恐れがある場合、共同で洪水予報文を作成しています。例えば木曽川下流河川事務所の場合、名古屋地方気象台と共同で発表を行います。平成19年4月からは、その発表に際し、より分かりやすい表現を用いることになりました。住民が迷うことなく避難行動をとれるようにです。
 例えば従来「洪水警報」と発表されていたものを「はん濫危険情報」や「はん濫警戒情報」などに分けられ、それぞれに「水位はさらに上昇する恐れ」などの具体的な見出しが付けられることになりました。これで情報を受けた住民は、自分がどのように行動したらいいか、従来より判断しやすくなりました。



■高潮堤防

 昭和34年の伊勢湾台風により大きな被害を受けた木曽三川の河口部は、全長32kmの高潮堤防復旧工事を昭和37年に完了し、昭和44年から本格的な高潮堤防の補強工事に着手しました。しかし、地下水のくみ上げ等により広域的な地盤沈下が生じ、昭和37年までに復旧された堤防も低くなってしまったため、機能が著しく低下しました。そこで、昭和50〜63年の間に緊急対策として高潮堤防の嵩上を実施し、以降、伊勢湾台風クラスの台風が満潮時に再来した場合でも被害が生じないように高潮堤防の整備を推進しています。

高潮堤防


■長良川河口堰

 長良川は、ダムを造る場所が少ないことから川底を掘り下げ、大洪水が来ても水を低く流し、水害が起きにくくする方法をとってきました。しかし、そうすると洪水は安全に流せるかわりに塩水が今までよりも上流にさかのぼってきます。周辺の田畑にも塩分が入り、稲や野菜に悪い影響をあたえることになります。
 長良川河口堰は、このような悪い影響が出ないよう、ふだんはゲートを降ろし塩水の遡上を止め、洪水のときには堤防より上にゲートを上げて洪水を安全に流します。長良川河口堰は、治水と利水という2つの大きな目的をもって建設されました。治水面では長良川河口堰の設置によって、塩水が遡上するのを防止することにより、大規模なしゅんせつを可能にし長良川の洪水を安全に流下させます。利水面では、せきの上流が淡水化され、愛知県、三重県、名古屋市で水道用水や工業用水に相当量の水が利用できるようになりました。
長良川河口堰
 
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