1.水面でのユスリカ捕捉・飛翔抑制 <H8年度〜実施中>
発生源対策の一つとして、水面でのユスリカ捕捉・飛翔抑制する検討調査を実施しています。これは、キソガワフユユスリカが羽化する際に一時的に水面上で留まっている特性に着目したものです。
「曳航ネット」を用いた調査で捕捉した(=羽化飛翔を低減した)ユスリカ匹数の実績は、平成10年度が約190万個体、平成11年度が約343万個体です。平成11年度の費用対効果は、約24,000個体/万円でした。
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表 水面でのユスリカ対策実施経緯
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写真 曳航ネット(幅5m)
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写真 曳航ネット(幅5m)
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平成12年度から、下図に示す「表掃ネット」を用いた対策試験調査を行っています。この網は、水表面を網で掃くことにより、ユスリカを傷つけて飛び立てなくすること(飛翔抑制効果)を狙っているものです。構造的に水の抵抗が少ないため、間口が広く取れる利点があります。このことから、ユスリカ飛翔抑制効果は上記の曳航ネットに比較して、約2.8倍の効率向上となりました(幅20m網を使用した場合の、平成12年度調査結果での試算)。 |
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図 表掃ネットの構造(幅20m)
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表掃ネットでは、ユスリカの捕捉回収は出来ませんが、翅を傷つけることで飛翔抑制効果を持たせることができます。平成12年度、平成13年度の調査結果では、網が通過した水面上に分布したユスリカ成虫のうち、約95%の個体に対して飛翔抑制効果を持つことが確かめられました。
平成14年度(平成15年1〜3月)には、さらなる効率化を目的として、幅100mの網(水圧により後方へ膨らむ為、実際の間口は下図のように70m程度となります)の表掃ネットを作製し、これを用いた対策調査を行います。 |
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図 表掃ネットの曳網作業状況(幅100m)
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今後の方針としては、ユスリカ大量発生年に、このようなネットを曳航することで発生量を減少させる対処療法の一つとして実用化を図る予定です。 |
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2.陸上でのユスリカ捕捉 <H12年度〜実施中>
羽化し陸上へ移動したユスリカの捕捉を目的として、「陸上固定網」や「粘着トラップ」を検討しています。
陸上固定網は、木曽川流域に卓越する「伊吹おろし」(北北西の季節風)による吹き込み効果により、飛翔するユスリカを捕捉することを目指した網です。しかし、風が強い日はユスリカが飛翔しない(H12調査では、毎秒2m以上になると飛翔量が極端に減少することを確認)ため、有効な方策にはならないと判断されました。 |
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図 陸上固定網
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粘着トラップは、「蠅取り紙」や「ねずみ取り紙」などの粘着面を持った物を堤防上などに設置し、ユスリカの能動的な付着によって捕捉するものです。H12年度の予備的調査では、風裏側に多く付着すること、地面から1m程度の低い層に多く着くこと、が判明しています。設置コスト、維持コストが安いことから、堤内地(居住地)側へ移動した個体を捕捉する方法として有効ではないかと考えています。現地適用へは、今後の検討課題が必要です。 |
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図 粘着トラップの調査状況
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