第1編 共通編
第5章 無筋・鉄筋コンクリート

第3節コンクリート
 特仕5-3-1一般事項
  1. 一般土木工事に使用するコンクリートは、「共仕」第1編5-3-2レディーミクストコンクリートとする。
  2. コンクリート構造物の品質確保の調査は、下記の規定によるものとする。
1) テストハンマーによる強度推定調査
(1) 請負者は、高さが5m以上の鉄筋コンクリート擁壁、内空断面積が25u以上の鉄筋コンクリートカルバート類、橋梁上・下部工、トンネル及び高さが3m以上の堰・水門・樋門の施工完了時にテストハンマーによる強度推定調査を実施しなければならない。
ただし、いずれの工種についても、プレキャスト製品およびプレストレストコンクリートは測定の対象としない。
(2) テストハンマーによる強度推定調査は、鉄筋コンクリート擁壁及びカルバート類、トンネルについては目地間で行う。ただし、100mを超えるトンネルでは、100mを超えた箇所以降は30m程度に1箇所で行う。その他の構造物については、強度が同じブロックを1構造物の単位とする。
(3) 各単位につき3カ所の調査を実施しなければならない。
(4) 請負者は、調査の結果、平均値が設計基準強度を下回った場合と、1回の試験結果が設計基準強度の85%以下となった場合は、その箇所の周辺において再調査を5カ所実施しなければならない。
(5) 測定方法については、「硬化コンクリートのテストハンマー強度の試験方法(JSCE−G504)」により実施するものとし、水平方向に打撃する事を原則とする。ただし、構造物の形状等の制約から水平方向への打撃が困難な場合は、(JSCE-G504)の解説に示された方法で、傾斜角度に応じた補正値を求めるものとする。
(6) 請負者は、テストハンマー強度推定調査を実施する場合は、事前に段階確認に係わる報告を所定の様式により監督職員に提出しなければならない。
また、監督職員から段階確認の実施について通知があった場合には、請負者は、段階確認を受けなければならない。
(7) 請負者は、テストハンマーによる強度推定調査を実施した結果を書面により監督職員に提出しなければならない。
(8) テストハンマーによる強度推定調査は、材齢28日〜91日の間に試験を行うことを原則とするが、工期等により、基準期間内に調査を行えない場合は、以下の方法に従い、再調査の必要性等を判断するものとする。
材齢10日で試験を行う場合は、推定強度を1.55倍して評価する。
材齢20日で試験を行う場合は、推定強度を1.12倍して評価する。
材齢10日〜28日までの間で、上に明示していない場合は、前後の補正値を比例配分して得られる補正値を用いて評価する。
材齢10日以前の試験は、適切な評価が困難なことから、実施しない。
材齢92日以降の試験では、材齢28日〜91日の間に試験を行う場合と同様、推定強度の補正は行わない。
2) 圧縮強度試験による確認
(1) 請負者は、テストハンマーによる強度推定調査の再調査の平均強度が所定の強度が得られない場合、もしくは1カ所の強度が設計基準強度の85%を下回った場合は、監督職員と協議するものとする。なお、その結果監督職員が必要と認めた場合、原位置のコアを採取し、圧縮強度試験を実施しなければならない。
(2) 請負者は、コアを採取する場合は採取位置、供試体の抜き取り寸法等について設計図書に関して監督職員と協議しなければならない。
(3) 請負者は、コアの抜き取り及び圧縮強度試験については「コンクリートからのコア及びはりの切取り方法並びに強度試験法(JISA1107)」により実施しなければならない。
(4) テストハンマーによる強度推定調査は、気乾状態の箇所で測定することを原則とするが、やむを得ず表面が濡れた箇所や湿っている箇所で測定する場合には、測定装置のマニュアルに従って補正する。不明な場合は、以下の値を用いても良いものとする。
測定位置が湿っており打撃の跡が黒点になる場合
→反発度の補正値+3
測定位置が濡れている場合→反発度の補正値+5
(5) 強度推定は以下の式(材料学会式)による。
 F(N/o2)=0.098×(−184+13.0×R)
 ここで、F:推定強度
      R:打撃方向と乾燥状態に応じた補正を行った反発度
(6) 請負者は、圧縮強度試験を実施する場合は事前に段階確認に係わる報告を所定の様式により監督職員に提出しなければならない。
また、監督職員から段階確認の実施について通知があった場合には、請負者は、段階確認を受けなければならない。
(7) 請負者は、圧縮強度試験を実施した結果を書面により監督職員に提出しなければならない。
3) ひび割れ発生状況の調査
(1) 請負者は、高さが5m以上の鉄筋コンクリート擁壁内空断面積が25u以上の鉄筋コンクリートカルバート類、橋梁上・下部工及び高さが3m以上の堰・水門・樋門の施工完了時にひび割れ発生状況の調査を実施しなければならない。
ただし、いずれの工種についても、プレキャスト製品およびプレストレストコンクリートは測定の対象としない。
(2) 調査方法は、0.2o以上のひび割れ幅について、展開図を作成するものとし、展開図に対応する写真についても提出しなければならない。
また、ひび割れ等変状の認められた部分をマーキングしなければならない。
(3) 請負者は、ひび割れ発生状況の調査を実施した結果を書面により監督職員に提出しなければならない。
(4) ひび割れ調査は、構造物躯体の地盤や他の構造物との接触面を除く全表面とし、フーチング・底版等で竣工時に地中、水中にある部位については、竣工前に調査する。ひび割れ調査の面積計上について、代表的な構造物について下図のとおりとする。
   
 

図−1 擁壁
   
 

図−2 カルバート
   
 

図−3 橋梁下部
   
 

図−4 橋梁上部
   
  3. 請負者が、銘板を作成・設置する場合の材質、寸法、記載事項、及び設置位置等は、下記によるものとする。
(1) 表示対象施設は、重要コンクリート構造物のうち、次のコンクリート構造(場所打ち)とする。
@ 鉄筋コンクリート擁壁(H=5m以上)
A ボックスカルバート(中空断面積A=25u以上)
B 橋梁(上・下部)
C トンネル
D 砂防堰堤
E 樋門・樋管・水門
F 洞門
G ダム及び堰
H 杭基礎(躯体がある場合は併せて表示する)
(2) 工事関係者の働きがいの高揚並びにコンクリートの耐久性向上の観点から、銘板に表示する項目及び内容は、以下のとおりとする。なお、詳細については設計図書に関して監督職員と協議するものとする。
@ 構造物名称、工事名
A 完成年度
B 発注機関名
C 設計会社(コンサルタント等)名
D 施工会社(元請・下請)名
E 延長・幅・高さ・内空断面等の構造物形状・規模に関する事項
F 適用基準・基準類の名称と年度
G 主たるコンクリートの配合に関する事項(設計強度、現場配合時の水セメント比、セメントの種類、最大骨材粒径など)
H 生コン製造プラント名
(3) 銘板の材質・寸法は以下のとおりとする。
材質:JISH2202(鋳物用黄銅合金地金)
寸法:縦500〜1000o、横500〜1000o、板厚8o、字厚5oの計13oとする。
なお、詳細については設計図書に関して監督職員と協議するものとする。
(4) 設置枚数は、原則1現場1箇所とするが、構造物によってコンクリート配合が異なる等により、構造物毎に設置することが望ましい場合は複数設置する。
設置場所は、「大衆が容易に見られる場所」を標準とする。なお、詳細については設計図書に関して監督職員と協議するものとする。
(5) 共通仕様書で義務付けているコンクリート構造物についての銘板工(樋門、砂防ダム、橋梁、トンネル等)は記載内容を本規定により実施するものとする。
   
  <参考> 銘板記入例(砂防工)

   
  <参考> 銘板記入例(樋管工)

   
  <参考> 銘板記入例(橋梁下部工)


 特仕5-3-2 レディーミクストコンクリート
  1. レディーミクストコンクリートの品質を確かめるための検査(JISA5308)は、請負者が自らもしくは公的機関又は生コン工業組合等の試験機関で行うものとする。現場付近に公的機関等の試験場が無い場合又は公的機関等で試験を行う日が休日となる場合等、やむを得ず生産者等に検査のための試験を代行させる場合は、設計図書に関して監督職員の承諾を得るものとする。
  2. JIS認定工場にて生産する日当り打設量が小規模(配合別50m3/日未満)となるレディーミクストコンクリートを使用する場合の品質管理については、「日当り打設量が小規模となるレディーミクストコンクリートの品質管理基準(案)」に基づくものとする。
  3. 請負者は、レディーミクストコンクリート圧縮強度試験については、材令7日及び材令28日についても行うものとし、材令7日強度から材令28日強度の判定にあたって強度上疑義がある場合には、品質が確認されるまで一時当該レディーミクストコンクリートの使用を中止しなければならない。
  4. 普通ポルトランドセメント使用の材令7日強度より材令28日強度の判定にあたっては、JIS認定工場の推定式を参考とするものとする。なお、これによりがたい場合は、次式を参考にするものとする。
  5. 高炉セメント使用の材令7日強度より材令28日強度の判定にあたっては、JIS認定工場の推定式を参考とするものとする。なお、これによりがたい場合は、次式を参考にするものとする。
  6. 請負者は、砂防ダム工事において、現場練りコンクリートを使用する場合には、設計図書に関して監督職員の承諾を得なければならない。
  7. 一般土木工事に使用するコンクリートの配合は、設計図書に示す場合を除き表5−1とする。
     
    表5−1 配合表 →クリックしてご覧ください。
     
   
(1) 請負者は、コンクリート用高炉スラグ粗骨材(JISA5011)を使用する場合には、高炉スラグ砕石コンクリート設計施工指針案(土木学会)によるものとし、高炉スラグ粗骨材の分類はBとしなければならない。
(2) 請負者は、表5−1の配合表において、高炉セメントにより難い場合には、設計図書に関して監督職員と協議しなければならない。
  8. コンクリート2次製品の目地・据付等に使用するモルタル配合は、設計図書に明示した場合を除きセメントと砂の重量比1:3程度とする。
  9. レディーミクストコンクリートの品質を確かめるための検査におけるコンクリートの供試体の確認方法は、下記の方法のどちらかにより実施しなければならない。
(1) A法
@ コンクリートを供試体枠に投入したときの写真撮影時に、型枠外面に供試体を特定できる番号・記号等を記載し撮影すること。
A 供試体頭部硬化後、型枠外面に記載した番号、記号等と同一のものを頭部にも記載し、2ヶ所の番号、記号等が1枚の写真でよくわかるように撮影すること。ただし、写真は型枠脱型前に行うこと。
B 写真については、ネガにて保存するものとし、工事アルバムには適宜掲載するものとする。
(2) B法
@ 供試体型枠の内側にグリース塗布後、所定の事項を記入した供試体確認版(QC版)の表を上にして型枠側部におき、コンクリートを打設すること。
A 強度試験前に供試体に転写した部分を写真に撮り資料採取時のものと同一のものか確認すること。

 特仕5-3-7 コンクリート打込み
  請負者は、擁壁背面が岩盤の場合には、擁壁背面を岩盤に密着させなければならない。やむを得ない理由で余掘が著しい場合には、設計図書に関して監督職員の承諾を得て擁壁背面型枠を使用し背面空隙は、裏込砂利等で充填するものとする。

 特仕5-3-9 施工継目
  1. 伸縮継ぎ目の目地の材質、厚については、「特仕」第1編特仕2-12-2目地板の規定によるものとする。
  2. 無筋コンクリート擁壁の目地構造については、次の各号によらなければならない。
(1) 請負者は膨張目地を10m程度の間隔に、収縮目地を5m程度の間隔に鉛直に設置しなければならない。高さが1m未満となる場合はコンクリート簡易構造物の規定によるものとする。
(2) 膨張目地は、図5−1に示す構造とする。
   
 

図5−1
   
(3) 収縮目地の構造は、巾12p程度の目地板を表・裏に入れるものとする。なお、スリップバーとして鉄筋(φ16o×1.2m)を、50p間隔に水平に設置するものとする。
(4) 収縮目地は、図5−2に示す構造とする。
   
 

図5−2
   
(5) 水平打継目の構造は、鍵形として表・裏をそれぞれ10p程度の位置に異形鉄筋(SD295A16o×1.0m)を50p間隔に配筋するものとする。
(6) 水平打継目は、図5−3に示す構造とする。
   
 

図5−3
  3. 鉄筋コンクリート擁壁の目地構造については、次の各号によらなければならない。
(1) 請負者は膨張目地を20m程度の間隔に、収縮目地を10m程度の間隔に垂直に設置しなければならない。
(2) 膨張目地の構造は「フラット型」として、目地材は厚さ1p以上の瀝青系目地材又はこれと同等以上の材料を用いるものとする。
(3) 収縮目地の構造は、深さ3p程度のV型の溝を垂直に表側に入れるものとする。
  4. 排水孔の施工にあたっては、次の各号によらなければならない。
(1)
(2) 請負者は、水抜きパイプ設置箇所には、吸出防止材又は透水材を設置しなければならない。また、その形状は、設計図書によるものとし、施工にあたっては、細部にわたり十分注意をはらい行うものとする。
  5. コンクリート簡易構造物の施工にあたっては、次の各号によらなければならない。
(1) 請負者は伸縮目地の施工に際しては、厚さ10o以上の杉板又はそれと同等品以上の材料を用い、10m程度の間隔に入れなければならない。
(2) 請負者は既設構造物を嵩上げ・継足しする場合には、既設目地・クラック等に合わせて伸縮目地を入れなければならない。
(3) 嵩上げ・継足しに接着剤を使用する場合は、エポキシ系樹脂接着剤とし使用量は0.6s/uとする。
(4) 請負者は、側溝・集水桝天端等で路面排水が必要と考えられる箇所(暫定供用も含む)に排水口を設けなければならない。その設置位置・形状・寸法については設計図書に関して監督職員の承諾を得なければならない。

第5節 鉄筋
 特仕5-5-3 鉄筋の組立て
  スペーサーの個数については、鉄筋の鉄筋組立て完了時に段階確認を受けなければならない。

 特仕5-5-4 鉄筋の継手
 

第6節 特殊コンクリート
 特仕5-6-8 超速硬コンクリート
  1. 請負者は、硬化後荷重を載荷する時の強度及びその確認方法について、施工計画書に記載しなければならない。なお、施工にあたっては、調査試験及び確認資料を整備・保管し、監督職員の請求があった場合は直ちに提示するとともに、検査時に提出しなければならない。
  2. 超速硬コンクリートの品質管理試験の基準は、下記のとおりとする。
(1) 試験回数(圧縮強度試験)コンクリート打設日毎に(交通開放前)圧縮強度試験を行うこととする。
(2) 品質規格
3時間圧縮強度24N/mm2以上
Q3HスランプMax
24−12−25

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