青空に向けて山頂を目指す(写真:遠藤久・山梨県南部町)
●富士登山の厳しさ
 登山シーズンの7月1日から8月末頃までの約2ヶ月間には、日本全国はもとより海外からも多くの登山者が訪れ、小学生からお年寄りまで多くの方が登山を楽しみます。しかし、なんといっても日本一の高さを誇る富士山(標高3776m)、下界と山頂の気温差は20度以上、空気も3分の2の薄さになってしまいます。更に森林限界を超えれば、風をよける場所もなく、雨が降れば下からも吹き上げます。そして、それに加えて過酷な登り坂が続きます。
 山頂に到達したとしても、次には折り返しの下りが待っています。下りは登りよりも滑りやすく、膝や爪先を痛めやすくします。
 そしてさらに気をつけなければならないのは、登山中に体調がおかしいと思ったとき、そんなときは高山病の前兆かも知れません。高山病は高所で空気が薄くなり、血液中の酸素が低下すると、それに体が対応して心拍数があがったり呼吸数が増えたりし、体が対応できなくなり始めると頭痛、吐き気といった症状が現れます。無理をせずに自分のペースを守り、徐々に体を高所環境にならしていくことが大切です。
●安全を願う
 毎年、富士山の登山シーズンは、登山者等の安全を祈願して行われる7月1日の「お山開き」から始まります。「お山開き」は、元々各登山口で行われる宗教的行事でした。そして近年はそれに観光的意味合いも加わり、様々な行事が行われ、富士山周辺の夏の風物詩となっています。