ふじあざみ 第43号(1)
ふじあざみ タイトル
 
富士吉田市から眺める富士山
450年続く富士山の神事
登山道を開く「お導開き(おみちびらき)」 北口本宮富士浅間神社
~6月30日 富士吉田市~
 毎年7月1日の富士山の山開きを前に、富士吉田市では6月30日、開山前夜祭が行われます。今年も北口本宮富士浅間神社(富士吉田市上吉田)の吉田口登山道入り口では、約450年続いているとされる登山道を開く神事「お導開き(おみちびらき)」が盛大に行われました。
 そびえたつ富士山を背に諏訪の森に鎮座する北口本宮富士浅間神社。
 現在の本殿は1615年(元和元年)に再建、1688年(貞享5年)に社殿を造修、本社殿は桃山時代の高荘な建造物として国の重要文化財に指定されています。
 この神社から富士山頂へと続く一本の道は、吉田口登山道として古来より多くの人々に親しまれてきました。登山道入口の鳥居に張られた注連縄(しめなわ)を切り、山開きをする神事がお導開きです。
 前夜祭は、30日午後1時半、富士山信仰を再現した「富士講パレード」で幕を明けます。市内の幼稚園児や婦人会の女性ら約120人が行衣姿に金剛杖を持ち、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」などと唱えながら金鳥居公園から同神社を歩きます。
 同神社でおはらいを受け、夏山の安全を祈願した後、「お導開き」が行われます。天岩戸(あまのいわと)にこもった天照大神(あまてらすおおみかみ)が外から聞こえる笑い声につられて岩戸を少し開けた際、手で岩戸を押し広げたという力の強い神様「手力男之命(たぢからおおのみこと)」に扮した男性が同登山道入り口の鳥居に張られたしめ縄を切り落しました。
 1日は同神社や富士スバルライン五合目の小御岳神社で開山式が行われ、8月26日に行われる北口本宮富士浅間神社と、境内社諏訪神社の秋祭りであると同時にお山じまいの祭りでもある「吉田の火祭り」までの富士山の短い夏が始まりました。
 山開きの神事は、他にも富士宮市、河口湖町をはじめとする登山道入口各所や周辺の多くの浅間神社でも行われ、登山の安全が祈願されています。


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