ふじあざみ 第42号(3)

 


 富士山の北西麓には青木ヶ原樹海と呼ばれる原生林が広がっています。登山道や自然歩道などで樹海に足を踏み入れると、この原生林の下にはごつごつとした溶岩があることがわかります。また西湖・精進湖・本栖湖の湖岸でも溶岩が見えています。これらの溶岩は貞観6年から7年末(864年~866年初頭)にかけて起きた貞観噴火によって流れ出した溶岩で、青木ヶ原溶岩と呼ばれています。
図1:新しく見つかった火口 図2:溶岩じわ
図4:地形から推定された溶岩トンネルの例 (青破線)
図5:青木ヶ原樹海の様子
図3:キプカ (青線で囲んだ部分):本文参照
 噴火には火山灰を降らせるもの、溶岩を流すもの、両方を出すものなど、いろいろな噴火形態があります。貞観噴火は、富士山で歴史時代に起きた噴火のうち、主として溶岩を流す噴火として代表的なものです。
 富士砂防事務所では、この貞観噴火についてよりよく知り、今後の噴火対策を検討するため、レーザー光線を使った地形計測と現地での地形・地質調査を行いましたので、調査結果の一部をここに紹介します。現地調査と調査結果のまとめには、レーザープロファイラ立体画像(ふじあざみ38号参照)を活用しました。

ごつごつとした青木ヶ原溶岩の上に樹海が広がっています。樹海の木々には木漏れ日のさすような隙間があり、レーザーが地表に到達できます。