ふじあざみ 第34号(11)

審査風景 第6回  富士山への手紙・絵コンクール 最終審査会で受賞作品決まる!
 第6回富士山への手紙・絵コンクールは、手紙・絵各部門合わせて、海外4ヶ国を含め、過去最高の7,505点の応募がありました。10月29日に作家の村松友視審査委員長を迎え最終審査が行われ、9部門で、最優秀賞9名、優秀賞27名、特別賞1名、佳作179名、合計216名が選出され、12月9日に表彰式を行います。
最優秀賞作品
●富士山への絵
廣橋 奈央子さんの富士山への絵 磯野麻友さんの富士山への絵 大石有紀さんの富士山への絵
▲幼児の部
   廣橋 奈央子さん
▲小学生低学年の部
    磯野 麻友さん
▲小学生高学年の部
    大石 有紀さん
角田充さんの富士山への絵 上野都志江さんの富士山への絵
▲中学生の部 角田 充さん ▲高校生・成人の部 上野 都志江さん
●富士山への手紙
ぼくは、おねがいしたことがあります。それは、ぼくの小さいかわいい友だちのふかみかんざくんのおかあさんのびょうきがなおりますようにって。でもかなわなかったよ。おほしさまになってしまったよ。ふじさんがだいすきでおやすみのたびにふじ山にあるゆうえんちであそんだりしたんだよ。ゆきがいっぱいふったときゆきがっせんもしたんだよ。二さいのかんざくんは、おかあさんにあえなくなってさみしいだろうけれどよいこにしているんだよ。テレビでふじ山がでると「にいににいに。」とぼくのことおもいだしてくれるんだよ。もう一どおねがいしてもいい?かんざくんがさみしくないように見まもって!大きくなったらのぼるから、おねがいします。 わたしの富士山へ
 富士山を手のひらにのせてみた。わたしのいつも見ている富士山は両手をさし出すとわたしの手の上にちょこんとのる。これはわたしだけの富士山、わたしだけのもの。
 夏の夜、まどからふじ山を見てみるとゆらゆらゆれる明かりが見える。一列になって登っていく。そっと手のひらに富士山をのせるとみんなはわたしの手の中を頂上めがけて登っていく。
 今年の夏、おばあちゃんが頭の手じゅつをした日、いつも富士山を見る土手へ行った。でもこの日だけは富士山を手のひらにのせなかった。そのかわりにそっと富士山に手を合わせた。富士山、わたしのお願いをきいてくれてありがとう。
▲小学生低学年の部 中村 徳亜さん ▲小学生高学年の部 望月 真紀子さん
 初めて眼鏡を買った。鏡の前でニッと笑ってみた。かわいくないと思った。似合ってないと思った。ブスにますますみえた。
 眼鏡をかけて、外に出た。富士山をみた。いつも見ている富士山と違うようにみえた。山肌がはっきりみえた。白いドームもはっきりみえた。
 二年前に初めて登った事を思い出した。岩だらけで、上に行くほどに息が苦しくて辛く、長い道のりだった事を。
 御殿場に行った。富士宮から見ている富士山とは違った。宝永山の位置が違う。大沢くずれの位置も違う。いつも見ている富士山ではなかった。全く別の山のように見えた。富士山はこんなに角度によっては違うということを再確認した。富士宮からの富士山が一番美しくみえると思った。けれど、御殿場で見た富士山もハッとする発見があった。山も人もいろんな角度からみなくては全体の姿がわからないと思った。
 眼鏡をかけてまたニッと笑ってみせた。さっきのわたしよりずっとかわいくみえた。部屋の窓から見たあなたは、りりしく私の眼鏡にも写りました。
 高校二年のとき死に臨む母さんが「アイタイ…」と呟くのを耳にしました。悪く想像して母さんを恨みました。そして何も知らず母さんを看護する父に同情しました。
 高卒後、就職しました。母さんの三回忌の前に家内を整理しました。押入に手文庫を見つけました。それには独身の母さんが父と交した手紙が収められていました。見てはいけぬと思いながらつい見てしまいました。山を通じて愛を育んだ母さんと父。山頂のプロポーズ。山頂に親子で立とうと誓っての指切りなど。大変感動しました。また死に臨む母さんの呟きは「立ちたい…」と理解しました。母さん、誤解していました。ご免なさい。
 三回忌のあと父に案内されて山頂に立ちました。もちろん母さんの遺影も一緒に。
 母さん、懐かしい富士の山頂に立つ私たちを天国からご覧になりましたか。
▲中学生の部 山中 智美さん ▲高校生・成人の部 小林 友紀さん
富士山立体地図 「富士山立体地図」製作
15万分の1の富士山麓一帯の立体地形と土地利用、そして過去2000年間の噴火活動実績マップから火山災害を総合的に把握するためのものです。
■静岡大学 小山真人教授のコメント
●火山噴火が山麓の地形に及ぼした影響を容易に実感できる。(たとえば青木ヶ原溶岩と本栖湖、西湖など)
●地形と溶岩の流れる方向の関係が一目瞭然である。
●普通の山地の地形と火山の地形の比較、火山がまわりに広大で平坦な土地をつくり出し、人間がいかに利用しているかがわかる。
●見た目に美しく、壁に貼ったり、置いて飾ったりするのにも最適。
 青木 玉さんの新刊に
  「富士砂防」登場!!
青木 玉著 「上り坂 下り坂」
平成11年11月富士砂防30周年記念行事で基調講演をいただいた作家、青木玉先生の新刊「上り坂 下り坂」が出版されました。平成10年から13年に執筆された随筆をまとめられたのですが、なんと「富士砂防」という小編があります!!是非、ご一読ください。
青木 玉著 「上り坂 下り坂」
出版元:講談社 定価:1,500円

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