【特集】 土石流の被害を防ぐ
〜富士山 スラッシュ雪崩に対する大沢川遊砂地の効果〜

大沢くずれ写真

●大沢崩れ

 大沢崩れは富士山西斜面にあって、山頂直下から標高2,200m付近までの延長2.1km、最大幅500m、最大深さ150mに及ぶ日本最大級の崩壊地です。 富士砂防事務所では、富士山源頭部から扇状地までの変動状況を把握するため、富士山源頭部の堆積土砂量について調査を実施しています。令和2年11月との比較で青色に着色されている箇所が浸食(土砂が減っている)箇所です。標高2,500mから3,000mにかけて谷底部が濃い青色になっており、浸食量が大きくなっています。

■発生状況

 令和3年3月21日、富士山大沢崩れからスラッシュ雪崩によると思われる土石流が発生しました。
 土石流は大沢崩れの下流にある大沢川遊砂地に流れ出ましたが、遊砂地内で大半は捕捉されたため、下流域の被害はありませんでした。

静岡県富士宮市上井出 岩桶終端

■気象状況

 富士山周辺で3月21日の降雨により、大沢川上流の大滝雨量観測所で時間最大雨量31mm(3月21日15時から16時)、累加雨量258mmを観測しました。富士砂防事務所では防災体制をとり、監視カメラによる監視を行ってましたが、14時8分頃に土石流の発生を確認しました。

土石流発生グラフ

■映像で見る土石流

 富士砂防事務所では、富士山の渓流や周辺にライブカメラを設置して、365日監視しています。これらのカメラは雪崩や土石流を監視するために設置されています。
 下の映像は今回の降雨により発生したスラッシュ雪崩に起因すると思われる土石流です。近年は、局地的な豪雨が頻発するなど、災害リスクも高まっていることが指摘されており、いざというときに行動できるよう、想定される事態を把握し、避難場所や避難タイミングなどの情報収集をお願いいたします。

土石流画像 2021年3月21日 14時頃

土石流画像1・2・3

■大沢川遊砂地ってどんなもの?

 大沢扇状地は全長約4km、幅約1kmで約150万m3の土砂を貯めることができる日本最大規模の砂防施設です。大沢崩れから流出した土石流から下流を守る為に作られました。
 これらの施設の下流には、沈砂地を通過した流水が河床及び渓岸を浸食することなく流下させる流路工が設置されています。施設の整備とともに堆砂容量確保のため、除石を実施しており、除石した土砂は土地改良・道路建設盛土材、海岸の養浜材などに利用されています。
大沢川遊砂地


もどる ホーム つぎ FUJISABO通信 令和3年8月 第118号
発行:国土交通省中部地方整備局 富士砂防事務所
静岡県富士宮市三園平1100 電話 0544-27-5221