富士山周辺の側火山
 富士山には山頂部から山腹にかけ半径約13kmの範囲に側火山・側火口が70以上(明確なものは約60個)あり、その数は日本一となります。

北西麓の側火山群
北西麓側火山群
側火山の分布とその成因
 富士山の側火山の半数以上は図-1に示すように、山頂をとおる北北西-南南東方向に分布しています。この原因は、図-2に示すように、太平洋にあるフィリピンプレートが北進し、富士山が乗っている大陸プレートを南南東方向から北北西方向へ向かって押しつづけています。
 このため富士山付近では北北西-南南東方向との直角方向に引っ張られる力が作用するため、地下深部では北北西-南南東方向に割れ目が発生し、この割れ目に沿ってマグマが上昇し、噴火の発生が繰り返されたものと考えられています。
図-1富士山の側火山はこちら⇒
代表的側火山
代表的な側火山は表のとおりです。
主な側火山
図-2富士山と日本列島周辺のプレート
図-2富士山と日本列島周辺のプレート
北西側 南東側
山名 標高(m) 山名 標高(m) 山名 標高(m)
大 室 山 1,300 桟 敷 山 1,800 宝永火口 第1
       第2
       第3
2,400
2,250
2,150
長 尾 山 1,424 大 平 山 2,100
片 蓋 山 1,468 丸  山 1,700 二ツ塚第一丘 1,926
弓 射 塚 1,570 カタボッコ 1,290 二ツ塚第二丘 1,802
伊賀殿山 1,490 東  剣 1,649 荊  塚 1,651
野 頭 山 1,510 天 神 山 1,430 浅 黄 塚 1,575
二 ツ 塚 1,492 塒  塚 1,598 桧  塚 1,390
西  剣 1,570 犬涼み山 1,206 西 臼 塚 1,293
臼  山 1,720 御庭東火口列 2,500~2,200 西 黒 塚 1,470
椹  山 1,630 御庭西火口列 2,600~2,200 平  塚 1,495
氷  山 1,553 奥  庭 2,180 腰 切 塚 1,474
幸 助 丸 1,870 焼  山 1,660 赤  塚  1,374
八 軒 山 1,770 小 富 士 1,906 鑵 子 山 1,306

富士山の側火山とは
 富士山の側火山とは、富士火山の本体が成長するにつれて、その山腹に噴出したもので新富士火山(1万年前の現在見えている富士山)の溶岩活動に伴うものが大部分で、その噴出時期は、旧期、中期、新期に分かれます。西麓の犬涼み山、西臼塚は旧期、宝永火口や長尾山は新期にあたります。側火山には以下のような特徴をもつものがあります。 宝永噴火口
宝永噴火口
宝永火口:爆裂火口
長尾山:多量の溶岩を流し、西湖、精進湖、本栖湖の誕生に関わった。
大室山:山頂にスコリアの噴出口(直径500m矩形360m火口の深さ120m)をもつ典型的な噴石丘
御庭・奥庭火孔列:噴火口列、噴火割れ目、津屋弘逵(1943)参考