TOPページ流域オンラインVol.05
流域オンライン


 豊田市南部にある『竹村新池公園』は、明治時代からこの地域に20箇所ほどあった農業用ため池の最後の一つである『新池』を、“人と自然が共生できる公園”にしようと、『埋立ての危機』を乗り越え、行政・地域の方々が一体となって整備に取り組んでいる公園です。

一緒に汗を流しながら地域理解を得る
 「自然豊かな“ため池”がそのまま残り、周りが公園になるのかと思っていたら、全てが工事で削り取られ、自然が消えていました。岸辺は一度コンクリートで固められ、そこへ石組みをするという。とても、自然には程遠いものでした」。
 『カエルの分校』は、かつてのため池時代のような豊かな自然を取り戻そうと、計画段階から参加し、草原(くさはら)の手入れや、植裁、ゴミ拾い、観察会などの活動をしています。
 「雑草だらけに見える草原が、生き物たちにとって大切な生息場所であることなど、地域のみなさんと一緒に草取りなどで汗を流しながら少しずつお話しし、理解していただいています。おかげさまでトンボも19種類戻ってきました」。
 枝下用水から分けていただいた矢作川の水が“せせらぎ”を作り、水辺の雑草なども大切に育まれ、『新池』は以前の自然を少しずつ取り戻そうとしています。

生活の中で3%だけ自然のために使ってみる
 「人間の生活様式の変化もあり、ここ40年ほどで野山の荒廃が一挙に進みました。何千年もの長い間、農業と共に生き長らえて来た生き物たちも、その影響を受け、各地で激減しています。そこで、高齢化などで谷間に放置された田んぼを借り受け、棚田のように維持管理すれば、昔のような生態系が戻ると考え、『50年かけて50年前の美しかった日本の自然を取り戻そう』という活動も行っています」。
 放置されていた田んぼを耕し水を引き入れると、当時の植物がその瞬間を待っていたかのように芽吹くのだそうです。
 「生活の中で3%だけ、自然のために使って使ってみませんかっていうんです。お金も体も頭もね。もともと自然には回復力がありますから、かまい過ぎないで、ほんのちょっと手を貸すだけでいいんですよ」。
 口コミで広がってきた『カエルの分校』は、現在50名ほどで活動中。最近では、自分の家の近くで仲間を募って始めますといった嬉しい“のれん分け”の会員もいるそうです。
 生まれてからずっと、自然からいろいろな恩恵を受けている私たち。これからは、多少の恩返しをしても良いのではないでしょうか。

取材日は、トンボの羽化の時期と重なり、様々な種類のトンボと出会うことができました。
左から2番目の写真の方が今回お話をおうかがいした『カエルの分校』代表の大内秀之さんです。

荒れた棚田に本来ある自然を再生
耕作されずに放置されて久しい棚田を借り受け、本来その地に根付いている自然を再生しています。写真は『風の谷』と名付けた活動フィールド。現在では、同じような自然再生を豊田、岡崎、足助の5箇所で行っています。
地元小学校も学習に利用
竹村新池公園は、地元竹村小学校の学習にも利用されています。
公園の『今』を地域に知らせる
今、公園にはどんな生き物が見られるのか、自然再生はどこまで進んでいるのか。地域の方々にお知らせする『公園歳事記』を発行し、公園内に掲示しています。
●『カエルの分校』の連絡先 大内秀之/TEL.0565-52-9417


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