TOPページ流域オンラインVol.04
流域オンライン


 『矢作ダム湖を覆う大量の流木』。恵南(東海)豪雨の際に、みなさんを驚かせたダム湖の姿、その原因の一つには、矢作川上流に広がる『人工林』の荒廃があるといわれています。
 山は”ほったらかしでいい“というのが一般的な考え、でも、植林などを通じて人間が手を入れて作った『人工林』は、人間がずっと管理し続けなければならないといいます。林業隆盛の頃に生まれた日本各地のそうした人工林は、ここ10年の内に手入れをし、健全な森林の姿を取り戻さなければ、『大雨や台風などで倒木や土砂崩れを起こす危険がある』といわれています。

山を知らない山主さんへの『出張森林塾』
 そんな現状を憂い、矢作川流域では5年程前から森林ボランティアグループが次々と誕生しています。『矢作川水系森林ボランティア協議会(通称・矢森協)』は、交流のなかった各グループの活動を今後、流域全体として見つめていきたい、単なる点的な活動を面的に広げていきたいと昨年の1月に結成されました。
 本来の『山仕事』は世代で繋がれていくべきもの。今の山主(やまぬし)さんの大半は山仕事の経験がなく、持ち山から遠く離れた街で生活する山主さんも大勢いるのだそうです。
 「矢森協の普段の活動は、山のことを知らない山主さんのためのいわば『出張森林塾』といったところでしょうか。山主さんも一緒に作業を行い山仕事を学んでいく。一緒にやった経験を通じて山のことが分かっていけば、今後、山主さん本人が管理するもよし、森林組合に依託するもよし。そこまでのレベルアップ、橋渡しを協力するのが私たちの役目です」。

市民による『森林(もり)の健康診断』を実施
 「私たち素人が間伐できる量なんて知れています。だから、山主さんだけでなく、街の人に山の現状を知ってもらうための『啓蒙活動』は森林ボランティアの大きな使命。今年からは一般の方々も対象にした、『人工林の荒廃』を目で見て体感してもらうための『森林(もり)の健康診断』の開催を予定しています」。
 矢作川流域100箇所を目標に実施される『森林(もり)の健康診断』。このような市民による人工林調査(観察)は全国でも前例がないのだそうです。調査結果はもとより、かけがえのない自然とのふれあいから生まれる”森林再生への願い“が流域全体へと広がっていくことを私たちも期待せずにはいられません。

技術や知識のレベルアップ、会員間の交流などを図るための『合宿』では、専門講師を招いたレクチャーも開かれています。 現地調査の後、計算式を使って『理想の山の姿』を算出。山主さんの要望などを加味して間伐計画を立てていきます。 間伐計画に基づいて選木。細く弱々しい木、曲ってしまって木材として利用価値の少ない木から伐っていきます。選木は、間違って伐ってしまわないようキチンと印をつけていきます。

お問い合わせは:矢作川水系森林ボランティア協議会TEL.090-4160-9065


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