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流域オンライン


増え続ける「荒廃した人工林」
 地域に豊かな恵みをもたらす母なる川『矢作川』。そんな矢作川の豊富な水は、水源地域の広大な森林によって育まれてきました。しかし、戦後、盛んに行われた植林(スギやヒノキなど)や輸入木材の増加による木材価格の低迷、山村地域の高齢化や過疎化などによって、水源地域には、間伐などの手入れが行われていない『荒廃した人工林』が増え続けています。このままでは、森が水を貯える力や水をきれいにする力など、暮らしに欠かせない森林の持つ機能が果たせなくなってしまいます。

全国的に注目される先駆的な取組
 水道水の原水の70%以上を矢作川から得ている豊田市にとって、水源の森の荒廃は、なんとしても食い止めなければならない市民全体の問題でした。『豊田市水道水源保全基金』は、そのような水源地域の森林を保全するために平成6年に創設されました。
 豊田市民が支払う水道料金の『1 m3(1トン)あたり1円』を上流の森林保全に役立てるというこの基金は、財源を市民が負担することで『生活に欠かすことのできない水の循環や環境保全の重要性』を考える契機になるなど、水源の森を守る仕組みの先駆的な事例として全国的に注目されています。

欠かせぬ世代を越えた理解
 「間伐」を中心とした公的な管理を20年間にわたって実施するこの事業は、世代を越えた理解がなければ続けることができません。現在、豊田市では、『水源の森ツアー』を実施するなど水源の森を健全に保つことの大切さをみなさんに知っていただく取り組みも合わせて
行っています。また、2005年に開催される『愛・地球博』では、間伐材で作ったベンチなどの『屋外家具』を会場に設置することになっています。
 現在、藤岡町、小原村、足助町、下山村、旭町、稲武町で基金を利用した人工林の間伐作業が行われています。みなさんも市町村の枠を越えた『矢作川の隣人』として、水源の森のことを考えてみてはいかがでしょう。

豊田市の『水道料金・料金表』には、「水源保全のために使用」とことわりの文章が添えられています。
『愛・地球博』の会場に設置される“間伐材”を利用した屋外家具は、公募で決定したデザインをもとに、市民が製作しています。
(写真左はテーブル・イスセット部門最優秀製品賞、右はベンチ部門最優秀製品賞)
放置された私有の人工林2ha以上の区域を『水源保全林』に選定し、間伐を実施していきます。
(写真は選定された保全林に立てられている看板)

「豊田市水道水源保全事業」に関するお問い合わせは
豊田市環境部環境政策課:TEL.0565-34-6650
様々な水源保全の活動が行われるなか、水源地域では、6団体の森林ボランティアが無料で間伐の「お手伝い」をするなど、山主さんと一緒に豊かな森づくりを目指して活動を行っています。

●お問い合わせ先
矢作川水系森林ボランティア協議会
TEL.0565-42-1101(毎週水曜日のみ)


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