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第4回議事概要

矢作川流域委員会事務局
  日時:平成16年11月11日(木) 9:17〜11:57
場所:名鉄トヨタホテル 7F 孔雀の間

1.開会挨拶(中部地方整備局河川環境課長)

2.第3回流域委員会議事概要(案)の確認
 第3回流域委員会の議事概要について、配布された(案)のとおり確認された。

3.議事
(1) 河川整備計画と矢作川流域委員会のスケジュールについて
 河川整備計画と矢作川流域委員会のスケジュールについて、配付した資料に基づき事務局から説明した。
 次回委員会については、来年2〜3月頃を予定していることを説明した。
(2) 矢作川の環境・利水・維持管理について
 矢作川の環境・利水・維持管理について、配付した資料及びそのパワーポイントに基づき事務局から説明した。審議の中で委員から出た意見、質問と事務局からの説明は次のとおり。
1) 人工林の荒廃や河川流量の減少といった問題は、水源涵養林保護政策が欠如していることによる。
2) ダムがあることによって生物生息環境の保全に大きな障害が出ているため、保全政策についても明記すべきである。
3) BOD、SSについては改善傾向にあり、環境基準もほぼ満足しているとの報告だが、水質改善の政策としてはまだまだ大きな欠点がある。特に大腸菌群数は環境基準の何百倍という状況である。
4) 矢作川流域は生産額から言えば日本一であり、国際都市であるにもかかわらず、流域の汚水処理施設の整備率は全国平均より低い。汚水処理施設の早期実現を行うことが環境保全の抜本的対策と考える。
5) 森林保全の問題は、治水、利水、環境のいずれにも関わる根源的な問題であるが、河川整備計画では、河川を整備することで流域の問題のどの部分が改善されるといったことが議論の対象となるため、基本方針策定作業の中での記載等を、事務局に検討頂きたい。
6) 大腸菌については、水利用での親水活動等の観点から整理する必要がある。
7) 矢作川の水質は、全国の直轄水系の中でどの程度の順位か。
平成15年は、全国で上位3分の1程度であった。
8) 植生については、流域(集水域)と河道内(河川沿い)に分けて考える必要があり、それぞれ詳細なデータを示してほしい。例えば、流域(集水域)であれば、スギ、ヒノキの造林で植皮率は上がったが自然植生の確認ができない。また、河道内(河川沿い)においては、河岸の土砂流出を防ぐツルヨシや低木の柳などの種分布の把握、また、河床低下に伴う裸地にどのような植生が出来るかといった把握が、管理していく上でも必要である。
9) 流域の植生変化と林業従事者の変遷、また、河道内の変化の状況等、代表的な特徴を、上・中・下流域や年代別に整理し、変化の状況が把握できる資料も必要である。
10) 森林の荒廃や水田の休耕により保水力の低下を感じる。
11) 課題についてのとりまとめが行われているが、実態が示されているだけであり、対策についても示すべきである。
12) 災害時における緊急輸送路的な河川(高水敷等)の役割についても、意識する必要がある。
13) 河川利用と自然環境の保全について、今後、どのような方針で計画をまとめていくのか。
バランスのとれた自然環境の保全と河川利用の整備を行っていきたい。特に矢作川については、市街地が隣接していることもあり、地域の方々に親しんでもらうことが重要な要素である。しかし、利用を優先すべき区域であっても、これまでの生態系や自然環境について最大限配慮することが直轄区間での基本となる。
14) 新たな生態系を考えるのであれば、現在の自然環境や利用状況等、相互関係などのポイントを押さえて議論する必要があり、また、その中にはゾーン分けという概念もあるかもしれない。
15) 矢作川では水利権量に対し、実績の取水量は6割程度である。水利権量からみれば矢作川は年中水不足であり、これにより、矢作ダムをつくったが、32年間で20回の取水制限が行われている。また、明治用水頭首工より下流においては、維持流量が確保出来ない状況が頻発している。このように、矢作川の水利用は限界に来ていることを十分承知しながら、その状況を放置し、むしろ積極的に矢作川流域以外に水を供給している。こういった状況を踏まえながら議論していきたい。
矢作川の水が利用されることで、この地域一帯の社会的・経済的発展があったことは、紛れもない事実であるが、かつては、河川環境という非常に重要な側面を重視していなかったことは反省すべきところである。水利用の歴史や関係する機関・部署も多岐にわたることから複雑であるが、問題認識は十分持っており、ご指導いただく中で、今後何をすべきか、何ができるかを考えていきたい。
16) 水利権量と実績の水利用(取水量)に差がある状況、水資源計画により矢作ダムが建設されながら渇水が頻発する状況、工事実施計画に記載されている維持流量が確保できていない状況など、原因の解明が出来るものについては、整理をお願いしたい。また、広域利水の具体的イメージについても、委員全体での共通認識が出来るような資料の作成をお願いしたい。
17) 直轄の許可水利についてのみ資料整理がなされているが、支川等の水利用も含めた資料で議論すべきである。
18) 矢作ダムの利水計画基準年は昭和24年であり、現在における利水の安定や河川の維持流量の確保といった観点からも、利水の計画基準についての議論も必要である。また、人口の増加等、現在の水利権量との関係についての資料整理もお願いしたい。
19) 水利権と取水実績の関係については、年総量での比較だけではわかりにくいため、農水であれば期別の取水状況や、少雨時や渇水時での取水状況などを整理した資料での議論も必要である。
20) 水資源計画における水利権量の考え方についても、今後、説明をしてほしい。
21) 広域利水は、流域内あるいは氾濫域を越えてどのように利用されているかがポイントであり、また、水利権に対するそれぞれの負担者についても併せて整理してほしい。
22) 水利権量と実績取水量については、実際の供給可能量と合わせた議論とすることで、より逼迫した状況がわかるのではないか。
23) 降水量を見ると、上流域(桑原地点)は年によってばらつきが大きく、水利用という点では非常に厳しい状況になると思われる。逆に、流域の南西側は非常に降水量が少なく、水利用という点では盛んになるという特徴がある。こういった必然的な制限がある中で、どの程度、正常流量や維持流量が確保できるのかといったことも考える必要がある。
24) 取水制限の表中で、年によっては2期に分けて書いてあるが何故か。
年内のその期間に取水制限が行われたということである。
25) 降水量を表すときには、その地点が本当に流域を代表した地点なのか、また、その地域の特徴等を書き表すなどすべきではないか。
26) 降水量についての議論であるが、本来雨は、海まで一直線に通過していき、それは電気もつくらず、田畑でも使われない。よって、降水量の変動を議論するのではなく、正常の水量からどのような流況としていくかといった議論をすべきである。
27) 矢作ダムができてからの現状については資料があるが、逆に、無かった場合の資料も提示されないと、的確な判断ができない。
28) 水の需給関係において、工水など、水の再利用も進んでいると思われるため、そういう要素もデータとして整理できれば参考となる。
29) 整備計画を考える上で、将来の水利用計画(水利用予測)も踏まえて議論すべきである。
30) 降った雨を保水するものはダムとは限らず、流域を保水力の高い植生とすることで、流量もある程度コンスタントに流れるのではないか。
31) 工業の発展や宅地開発など長期展望を見据え、確保しなければならない水量と環境への配慮に対しどう対応していくかを見定め、上下流の交流の中で、地域間が理解し合うことが大切である。
32) 農政問題であるが、田畑を休耕したとしても、転作等で対応している実態もあり、全く水を入れないというわけにはいかない。また、大きな目で見れば、田畑に水を張ることは、自然環境にも配慮した行為である。
33) 渇水になれば、農水は上水の2倍程度の節水率で協力をしており、また、支川巴川流域では、常時、節水や断水を行っている。こういった状況の中で、工業や地域住民の発展を守るため、限られた水源に対し、将来どのように確保していくかが大きな課題である。
34) 渇水が頻発しても、一般住民の生活に影響が感じられないことは、農水のフレキシビリティー(柔軟性)で達成されていること、また、農業用水の多面的機能についても理解しながら議論する必要がある。
35) 農業用水の水利権量と取水実績に差があるから農業用水を削ろうという議論ではなく、流域に一番良い方向での水の配分を委員会で議論したい。
36) 住民レベルでの水源涵養のための取り組みも行われており、今後、大きな動きとしての活動を期待している。
37) 緑のダムとして水源涵養を行うことは良いことだが、それにより洪水が防げると思っている水文学者はわずかと思われる。現時点で、数字としてはっきり説明できる状況ではないが、今後、市民の方々にもわかるような説明を行う必要を感じている。
38) 河川管理において河道内樹木は、自然植生と捉えるのか樹木として捉えるのか、はっきりしていない。自然植生を考慮した維持管理としてほしい。
今後、環境に配慮する区間や治水に配慮する区間など、矢作川における具体の姿についてご審議頂きたいと考えており、また、これまでに頂いたご意見については、事務局で具体の検討をする中で反映させたい。
39) 水質事故が増加傾向にあるが理由は何か。
住民の関心が高くなって報告されるケースが多いことによるものと考えるが、事故内容について、再確認しておく。
40) 河川管理において、動植物へ配慮した除草なども検討して頂きたい。
41) 河道内樹木の伐採については、単年度での対応ではなく、継続して管理を行わないと、数年で伐採以前よりひどい状態となってしまう。
42) 矢作ダムの資料を整理する場合において、ダムによる効果や、ダムができたことによる課題、また、ダムの堆砂等の現状などがまとめてあるとわかりやすい。
43) 利水計画は高度成長期前のものであり、現在の社会情勢や人口、また、環境という視点も重要となってきていることから、整備計画策定に際し、きちんと整理しておく必要がある。
44) 水防活動での問題点の説明があったが、矢作川では、水防活動のための拠点整備や資材の確保など、河川管理者として、水防活動を円滑に行うための問題点はないか。また、資材確保の状況についての資料があるとわかりやすい。
水防拠点の整備としては豊田市の防災ステーション、また、サポート体制としては、水防資機材の整備、水防活動で異常が発見された場合に応急復旧を行うための業者との連携、また、水防団と毎年連絡会を開催し色々な意見を聞くなど、現段階で大きな課題を抱えているという認識はない。
45) 樋管・樋門について、補修を行う基準は設けてあるのか。
異常の規模にもよるが、軽微なものであれば、単価契約で補修を行う。規模が大きくなれば予算要求を伴って補修を行い、更に大規模なものとなれば、再改修を行うことになる。現状においては、逐次工作物の点検も含めて行っており、大きな問題はないと認識している。
46) 光ファイバーは、出水での断線を避けた場所に敷設されるのか。
基本的には、堤防の定規断面を外した位置に設置しているが、埋設できない箇所については添架などで対処している。添架の場合、台風等の強風で電柱が倒れたりする可能性もあるため、今後、二重化等を考える必要がある。
47) 豊田市では、11月1日に合併の調印が行われ、矢作川中・上流域、岐阜県域、長野県域の1市6町村が豊田市となる。今後、流域の視点から、水源涵養のための水源基金や水質改善のための下水整備など、環境に対する取り組みが出来ると思う。また、そのためには県を越えた流域交流も重要と思われるが、資料において触れられている部分が少ないことから、方針なりに反映して頂きたい。
48) 水との触れ合いについては、河川利用と限定されており、その内容も河川敷利用が中心となっているので、他の部分についての記述も必要であり、その中には、内水面漁協もあるべきである。
(3) 矢作川流域の現状と課題及び委員会からの意見等一覧について
 矢作川流域の現状と課題、意見等一覧については、資料−4を持ち帰り、内容を確認の上、事務局に指示することを委員長より提案され了承された。
(4) 次回以降の予定について
 次回は、これまでのご審議を踏まえた課題を整理することを確認した。

4. 閉会
以上

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