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資料−4

矢作川流域の現状と課題、意見等一覧
平成16年5月21日現在

項目 大区分 中区分 小区分 細別 現状と課題 委員会の意見
流域 地形と勾配       地形が急峻なため、急流河川の様相を呈し、出水時には洪水が一気に流出する。  
地質       流域内は主に風化しやすい花崗岩が分布し、脆弱であることが山地崩壊・土砂流出の原因のひとつと考えられる。  
東海豪雨時の状況 上流部の各所で、山地崩壊が発生した。  
山地の植生       山地は人工林が多く、水源涵養機能は決して高いとはいえない。 治水計画上の森林の位置づけを明確にすべきである。
森林経営の不振に伴い、間伐等の維持管理が、適切になされているとはいえず、山地崩壊、流木発生の原因のひとつと考えられる。 流域全体としての取り組みが必要である。
東海豪雨時の状況 沢ぬけ等により、河川に大量の流木が流出した。  
年間降雨量       山間部の降雨量が多く、山地崩壊・土砂流出、洪水が発生しやすい。 流域内で貯留する仕組みについて検討すべきである。
社会情勢       近年は人口・資産、重要施設のさらなる集積が見られ、流域の重要度が増している。  
治水 洪水調節施設 整備状況      工事実施基本計画では、洪水調節施設により、岩津(基準点)において、1,700m3/sの洪水調節をすることとしているが、現在設置されているのは矢作ダムのみであり、洪水調節機能は十分とは言えない。  
矢作ダム 施設規模   既設矢作ダムは、工事実施基本計画以前の計画に基づき計画規模1/80で整備されており、既定計画の1/150に対応していない。  
洪水調節 東海豪雨時の状況 計画流入量以上の規模の洪水が流入したため、計画最大放流量を上回る放流となった。  
渇水によって利水容量に空きがあり、結果的に、この容量も用いて洪水調節が行われた。  
流木対策 東海豪雨時の状況 大量の流木が流入した。  
堆砂対策   完成後32年間で、計画堆砂量の95%が堆砂し、有効容量が減少したため、利水・洪水調節への影響が懸念されており、流域全体の対策が必要になっている。  
ダム湖等への流入土砂の堆積により、下流河川への供給土砂量の減少が、河床低下の原因のひとつと考えられる。  
上矢作ダム     現在、実施計画調査中である。  
その他の上流ダム群     具体的な計画は未策定。  
堤防・護岸 堤防 整備率   堤防整備率は、完成31%と中部管内でもかなり低い整備水準にある。 工事実施基本計画に対しての現況整備状況を具体的に整理すべきである。
東海豪雨時の状況  上流部の豊田地区においては、HWLを越え、堤防高が低い一部区間で越水が発生した。 下流域と比較して、豊田市は非常に厳しい状況にある。
堤防や基礎地盤は砂質層が多く、洪水による水位上昇及び雨水浸透により、法面崩壊が発生した。  
漏水     堤防や基礎地盤は砂質層が多いため、基礎地盤漏水による破堤の原因になりやすい。 東海豪雨時には水位が低く、河床掘削する必要性については出発水位・河床掘削効果との関係で整理すべきである。
東海豪雨時の状況 矢作ダムの洪水調節効果により、全川にわたり水位が低下したものの、沿川区間では堤防漏水が発生した。  
侵食・洗掘     砂河川であるため、水衝部は、洗掘されやすく、破堤の原因になりやすい。  
河床低下対策 砂利採取   天井川による河積不足と高度経済成長期での骨材不足から、昭和30年代後半より砂利採取が行われ、さらに、上流ダムの完成や治山事業の進展等もあり、河床低下が進行した。河床低下により、護岸基礎が浮き上がるなどしたため、既設護岸施設の根継ぎを行うとともに、砂利採取も規制され、昭和63年以降は砂利採取は行われていない。  
柳枝工の施工   砂河川での伝統工法として矢作川で古くから採用されている柳枝工護岸は、くっとう性が良く堤防法面となじみの良い工法であり、根固工に用いている粗朶単床は法先の洗掘防止に効果を発揮している。しかし、時間経過に伴い柳が成長し、計画的な伐採等の管理が行われていないため、新たな洪水の阻害原因となっている。  
河道断面 河積     計画的な堤防の整備や砂利採取、ダム堆砂等による河床低下により河積が拡大しているが、計画規模の洪水に対しては、不十分である。  
  東海豪雨時の状況 上流部の豊田区間における水位上昇は、鵜の首狭窄部による背水や明治頭首工による堰上げ影響等が主な原因である。 水害の要因として、狭窄部であることと、明治頭首工の存在が関係している。
砂州     砂州の固定化、冠水頻度の減少に伴う植生の繁茂や植生による土砂捕捉効果により、砂州の規模拡大が見られるなど、植生による河積阻害が見られる。  
砂利採取の中止後、河床低下は収まり、安定しているが、河床材料が粗粒化している。  
流木   東海豪雨時の状況 上流部より大量に流出した流木は、その多くが矢作ダム湖内に貯留されたが、河道に流下した流木は、橋での閉塞を生じさせるなど、洪水流下の支障となった。  
明治頭首工     堰の敷高が、計画河床高より高い位置にあり、鵜の首狭窄部とあいまって、河積阻害となっている。   
矢作古川への分派   東海豪雨時の状況 現在、自然分派となっている矢作古川は、東海豪雨時には計画分派量以上の洪水が分派した。矢作古川沿川の浸水被害軽減には、分派量低減の対策等が必要である。  
矢作川河口堰     河口堰中止に伴う、治水の代替対策を策定する必要がある。 河口堰中止に伴う治水対策について具体化すべきである。
支川   東海豪雨時の状況 本川の背水や支川の堤防高不足・河積不足等により、浸水被害が発生した。 本川だけでなく、支川も含め流域全体として整理すべきである。
本川の流下能力不足に伴う水位上昇により、支川の内水被害を助長させている恐れがある。  
東海豪雨時には、支川の内水排水ポンプを稼働させ、内水被害を最小限に食い止めたが、本川堤防の破堤等を回避するための措置として、排水機場のポンプを停止する場合も想定される。  
高潮 高潮対策   伊勢湾台風高潮対策事業 河口部はS34.9の伊勢湾台風による洪水と高潮により甚大な被害を受け、それを契機にスタートした伊勢湾等高潮対策事業により高潮堤防が完成しており、台風時などにおいてはその機能を発揮し、近年では高潮による被害は発生していない。  
地震・津波 東海地震、東南海・南海地震     既往点検箇所における要対策区間については、全て堤防耐震対策済みではあるが、東海地震防災対策強化地域、東南海・南海地震防災対策推進地域に指定されたことを受け、耐震点検を行うとともに、必要に応じて対策を行う必要がある。  
森林の保全       森林の荒廃による洪水時の土砂流出、流木の増加等による河川への悪影響が懸念される。  
危機管理 地域との情報共有と連携による洪水被害の軽減     現状の治水整備水準を越える洪水が発生した場合においても、できる限り被害を軽減できるよう、河川沿いにCCTV、情報表示板及び光ファイバー網の整備をすすめ、洪水や気象に関する情報を、水防警報、洪水予報に加えて発信している。また、各種メディアを通じて地域住民への情報提供を行うとともに、浸水想定区域図を指定・公表しており、関係市町では洪水ハザードマップの作成が進められている。  
水防活動     洪水や高潮などにより災害が発生する恐れがある場合、自治体を通じて水防団の出動を要請し、危険箇所の巡視や堤防等が危険になった場合には水防活動が行われている。また、防災拠点として、防災ステーションの整備を行っている。   
災害対策車両     出水等の災害における緊急時に、浸水被害の軽減等に努めるため、災害対策車両を維持・管理している。  

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