TOPページへ
TOPページ矢作川流域委員会議事概要 > 第3回議事概要
第3回議事概要

矢作川流域委員会事務局
  期日:平成16年5月21日(金) 15:30〜18:06
場所:名鉄トヨタホテル 7F 孔雀の間

1.開会挨拶(中部地方整備局豊橋河川事務所長)

2.第2回流域委員会議事概要(案)
 第2回流域委員会議事概要について、配布された(案)のとおり確認された。

3.議事
(1) 河川整備計画と矢作川流域委員会のスケジュールについて
河川整備計画と矢作川流域委員会のスケジュールについて、配付した資料に基づき事務局から説明した。
(2) 矢作川の治水計画について
 第2回委員会資料5の「矢作川流域委員会の役割」について、OHCにより事務局から再度説明し確認した。引き続き、矢作川の治水計画について、配付した資料及びそのパワーポイントに基づき事務局から説明した。審議の中で委員から出た意見、質問と事務局からの説明は次のとおり。
1) 矢作川に建設されているダムについて、気象状況の変化や社会情勢による社会基盤の変化に対応できるよう、ダム運用の基準を見直せば、矢作川は安全な状態となり、新たなダム建設の必要はなくなるのではないか。
2) 新たなダム建設は大きな環境破壊を招き、また、膨大な予算の投入が必要となる。一方、矢作川の堤防整備率は31%と低いため、新たなダムに依存してしまうのではないか。今後、ダム計画について見直しを行った他河川の事例も参考にしながら、矢作川の整備メニューを議論していきたい。
矢作川の堤防整備率が低い状況については、砂利採取が非常に盛んだった時期があり、河床が低下したことに対応する対策を優先してやってきたという経緯がある。
現在の計画では、河川の整備を行ったとしても、岩津地点で6,400 m3/sの流量を限界としている。したがって、8,100 m3/sという基本高水のピーク流量との差分について、どうやって処理をしていくかということを考えていかなければならない。
3) 矢作川では多くの水利用(取水)がなされており、河川流量は水利権量の半分も無い状態である。水利権についても、気象状況の変化や社会情勢による社会基盤の変化といった、時代の変化を見据えた論議をしたい。
4) 整備メニューについては、どの程度の河道で対応するのかといったタイムスパンを考慮した議論が必要である。
5) 現在の計画での計画降雨量は、昭和47年までのデータを用いた150分の1の2日間雨量が321oということだが、東海豪雨も含めたその後のデータでの150分の1の降雨量は、どの程度になるのか。
具体の数値については、現在、河川整備基本方針を策定するにあたり、データを積み上げているところであるが、現計画でも、明治24年から昭和47年までと長い統計期間をもって流域平均の2日雨量を決定しており、大きく変わることはないと思われる。
6) 矢作ダムの堆砂がかなり進んでおり、有効貯水容量内にも堆積しているが、現在、どれぐらいの洪水調節能力があるのか。また、河道流下能力の資料もあると、今後、議論がしやすい。
矢作ダム完成後32年で1,400万 m3が堆砂しているが、これは早いのか。また、他のダムと比べて矢作ダムは多いのか。
・有効貯水容量内における現在の堆砂量は約1,400万 m3であり、治水容量1,500万 m3の中に約100万m3、利水容量5,000万 m3の中に約700万m3が堆砂している。今後、矢作ダム貯水池総合管理計画検討委員会での内容についても、流域委員会の中で報告していく。
7) 土地利用の変遷を見ると、20年代は市街地が小さく、平成になると市街地が多い。昭和47年ごろは水源涵養ができていたが、市街化が進む中で水源涵養をする人口が減り、根羽村では水源の管理が全くできていない状態である。水源を管理すれば、新たなダムの必要性もなくなり、また、水源の管理を行わなければ、幾ら大きなダムをつくっても無駄であると感じる。
・豊田市、岡崎市を中心に市街化が進んでいるが、現在、流域全体で数%であり、市街化はそれほど特化したものではない。山林については、昭和25年と平成10年を比べると、戦後の荒廃したところに植林をしたため、山林の面積割合だけでいえば平成10年の方が多くなっている。
8) 森林については、緑のダムという議論もあるが、その効果については現段階では、まだ解明できていないという印象を受ける。しかし、東海豪雨で感じたことは、大量の土砂や流木が流出するなど山地はかなり荒廃しているが、矢作ダムで捕捉し、下流への流出を防ぐという効果があったということである。
9) 東海豪雨のときには豊田市の堤防が切れてもおかしくない状況であり、破堤等により浸水した場合には、中心地が5m以上の浸水となる、全国的にも特殊な地域である。東海豪雨において破堤等していれば、何千人という市民の生命が奪われた可能性もあり、全体の優先性の中でも、豊田市の堤防整備は最優先すべきである。
10) 森林の管理や人工林から自然林への転換といった意見があるが、その効果が現れるには100年必要であり、その間にやらなければならないことはたくさんある。流域全体を踏まえた議論が必要である。
11) ダムへの堆砂は本来の自然の姿ではなく、本来は、下流域へ土砂が流出し、堆積して河床が上昇していく。このため、堤防の嵩上げなど対策が必要となるが、ダムに堆砂することで、対策のための時間稼ぎができるため、その間に議論ができるといった認識も必要である。
12) 人工林は国策であり、一本一本、人の力で植えて一生懸命育ててきたが、根が浅く、少しの雨でも流出してしまう。根が重なり保水力のある自然林と人工林を組み合わせた森林づくりが課題である。
13) 人間がつくる社会と必要とされる水問題を含め、自然が優先されるのか、治水・利水が優先されるのか、現在・将来を見据えての方策を論点としたい。
14) 流域委員会での議論が20年〜30年後であるため、その頃の流域全体のイメージをもって議論する必要がある。
20年〜30年後の具体なイメージについては、現状をベースに考えていたが、各委員からの意見を踏まえ、再度検討したい。
15) 森林の水源涵養による効果については、戦前、量水試験というものが群馬県等で盛んに行われていた。その効果については、樹種の差や降水量によって異なり、また、瀬戸内等、日本でも比較的雨の少ない地域では、量にもよるが、木が逆に水分を吸ってしまう。矢作川流域は花崗岩地帯であり、表土は風化されているので、水の滞水量は豊川流域に比べたらはるかに大きいと思われる。降水量と、貯水されてから下流への流出の関係についても議論したい。
16) 今後、整備メニューを議論するにあたり、内水についての認識、また、支川排水について河道負担をどうするといった想定はあるか。
計画を定めるに当たって必要となる内水や支川との関係については、今後、豊橋河川事務所とそれぞれの管理者間で協議、調整を進めていきたい。
17) 矢作川河口堰建設中止後の治水対策をどう考えているのか。また、河床掘削を行うと、塩水の遡上による農作物への影響があるということだが、実際、塩水遡上による被害はあるのか。
河口堰の治水代替案については、次回以降説明していきたい。
塩水遡上による農作物への影響については、現在、豊橋河川事務所で把握している限りでは被害の情報はない。これは、河口堰事業は建設中止となったが、関連工事として矢板や堤内地側への承水路、また、除塩施設などを行ったことも考えられる。
18) 20年〜30年後の整備計画メニューを議論するため、今後、優先順位をつけていく必要がある。
19) 東海豪雨時の痕跡水位を水位縦断図で見ると、鵜の首狭窄部で水位が上昇しており、明治用水頭首工付近では河床も高くなっている。全体の整備メニューを議論する上で、明治用水頭首工等の構造物を改築した場合の効果なども必要である。
20) 資料3のP15「地点別実績流量・水位」における矢作ダムのグラフについて、時間軸がずれている。
矢作ダムの時間軸を修正し、後日郵送する。
21) 東海豪雨のときには、流域住民は大変な被害を受けた。この被害は、ダム運用の適正なやり方に問題があるという声が多く、ダム容量に空(あき)があるにもかかわらず、ある程度貯留してからの放流に対し疑問を持っている。
22) ダム運用にはルールがあり、仮に、利水容量に空(あき)があり、洪水調節容量として操作を行ったとしても、空振りした場合には、本来のダム運用に対し違反や責任問題となるため、ダム運用はフレキシブル(柔軟)な操作は難しい。今後、矢作ダムの洪水調節容量の見直しや、上矢作ダムの位置づけについても議論したい。
23) 矢作川の河川整備計画については、流域委員会の中で、整備計画の策定に向かって議論を行うこととなると思うが、各委員の意見は最終的にはとりまとめることとなるのか。また、基本方針の内容と違った結論となっても良いのか。
24) 流域委員会で議論する内容によって、基本方針が左右されることはないが、整備計画策定のための作業と基本方針策定のための作業は調整されるものと理解し、議論したい。
25) 治水計画の概要には、洪水調節施設として、ダム、遊水池(地)、放水路とあるが、最終的に、矢作川の洪水調節施設はダムのみとなったのはどうしてか。
治水計画の概要にある高水処理計画では一般的な考え方を記載しており、最初から洪水調節施設はダムしかないという考えのもとで、矢作川の工事実施基本計画を定めているものではなく、矢作川の現在の計画では、総合的に判断して、矢作ダム、上矢作ダム等を位置づけている。
26) 水位縦断図にある計画高水位は、河口堰の建設を前提とした計画河床に対しての水位であり、現在の河床(断面)で、計画高水流量が流下した場合にはどれぐらいの水位となるのか。
計画高水位は、基本的には過去の洪水履歴を包絡するような形で決めており、計画高水流量が流れる水位を計画高水位としているわけではなく、計画高水位に対して、計画の流量が流れる河道の整備を行うこととしている。河口付近においては、現在の断面では足りないという状態である。
27) 課題対策メニューにある本川と支川との関係については、矢作川本川と矢作古川のみとなっているが、他の支川についても考慮する必要がある。
28) 市街地を抱える内水対策が必要な支川と本川との治水に対するバランスついても考慮すべきである。
29) 流域対策についても何らか検討を行うのであれば、花崗岩の風化の状況や森林との関係、過去の崩壊の事例なども踏まえた議論をしたい。
30) 鵜の首狭窄部の改修は、豊田市から洪水を防ぐという意味で緊急性が高いと思われるが、見た限りでは、非常に環境の良い場所であると感じた。周辺住民を含め、鵜の首狭窄部の環境はどう思われているのか。
31) 鵜の首狭窄部については、早期改修が可能なものと、何らかの問題等により早期改修が望めないものといった整理も必要である。
32) 鵜の首狭窄部の川幅は100mとなっており、明治用水頭首工では170mである。鵜の首狭窄部における掘削幅を170mとした場合、水位低下効果はどうなるのか。
33) 東海豪雨時の痕跡水位を見ると、明治用水頭首工付近を境に3m程度の落差があるが、実際に現場を見ていたが、3mという落差は感じられなかった。
(3) 矢作川流域の現状と課題及び委員会からの意見等一覧について
矢作川流域の現状と課題及び委員会からの意見等一覧について、配付した資料に基づき事務局から説明した。
矢作川流域の現状と課題及び委員会からの意見等一覧については、本日の流域委員会での審議内容を踏まえ、配付資料に追加したものを、後日、各委員に郵送し、内容のご確認をいただくことで了解を得た。
(4) 次回以降の予定について
次回は、利水、環境についてご審議いただくことを確認した。
次回の開催日については、後日、日程調整することとした。

4. 閉会
以上

↑ページのトップへ戻る