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第21回豊川の明日を考える流域委員会 議事概要

豊川の明日を考える流域委員会事務局

日時:平成13年8月30日(木)午後5時00分〜8時00分
場所:ホテル白豊 5階「鳳凰の間」

1. 第20回流域委員会の議事概要について、配布された(案)のとおり確認された。
2. 豊川流域における本年の渇水状況並びに台風11号による降雨量、出水状況の概要について事務局から説明した。
3. 河川整備計画原案に対する関係住民からの意見並びに豊川行政懇談会の概要について、配布した資料に基づき事務局から説明した。
4. 審議の中で委員から出た意見、質問と事務局からの説明は次のとおり。
(1) 住民の方などから意見を聞いて、それに対して事務局から返答をして終わりか、何のために住民の意見を聞いたのか分からなく、その意見をどういう形で反映させるかということがどこかで保障されない限り、ただやりましたということにしかならない。
 住民の人たちの意見によって、原案が全く改善されることがないとしたら、形式的にやりましたということ以外に、従来のやってきたこととどこが違うのか理解できない。
 
反映できるものについては反映することとしている。
反映できないものについては、基本的には全ての項目に対して、当方の考え方や流域委員会で議論された事項並びに原案での記載内容を記して説明しており、住民の意見を全然聞いていないとは考えていない。
最終的には整備計画案を作成した段階にならないと断定できないが、内水対策などについては、地域の方から具体の意見なども伺っており、反映できるものについては出来る限り対応することを考えている。
(2) 委員会の中でそれぞれの課題についていろいろ検討してきたことを、最初から情報公開しておれば、住民の意見、不安や疑問なども無かったと思い、情報公開の必要性を感じている。
(3) 意見交換会時に実施したアンケート結果を見ると、設楽ダム、水利用や節水に関心を持っている人が非常に多い。特に、設楽ダムについては関心度が74%と高いが、この関心度はダムを造って欲しいという関心度なのか、あるいはダムは不必要という関心度なのか、何故、具体的に出されないのかなと思っているが、関心度の中味はどの程度把握しているのか。
 
関心度の中味については、今回のアンケートでは把握していない。
(4) 原案に対しての意見を聞くための住民意見交換会や行政懇談会の結果、原案を修正するほどの意見は出なかったと解釈しているのか。
 
多くの方から意見を頂いたが、結果的には原案を大幅に変更するような意見は頂けなかったと思っている。
(5) 意見交換会に参加した498名は、豊川に関心があって参加したと思うが、アンケート調査の回収率が58%というのは低いような気がする。
 「豊川に対する関心をいつから持ち始めたか」という質問に対しても、今回の回答がどの程度正確なものかについては、幾分疑問を持っている。
豊川のどういう面に関心を持っているかということは、もう少し詳しく調査する必要があるのではないかと感じた。
 
回収率に関しては、アンケートの自由意見に「アンケート項目が多すぎる」との意見もあり、アンケートの項目数が多過ぎたのかも知れない。
アンケートの回答は全体290名の内、当日提出された方が205名、後日郵送された方が85名である。
(6) アンケートの回収率は、その内容によって異なると思う。質問の内容については皆さんが分かり易く、アンケート項目の少ない方が効果的であると思う。
(7) 流域委員会の会議内容については、毎回ホームページで詳しく情報を公開しているし、意見交換会を東三河全域で開催した今回の取り組みは、地域住民の様々な考えを多面的に公平公正に聞くことができ、非常に意義があったと前向きに考えるべきであると思う。
 地域住民の方も設楽ダムや霞堤など、治水問題に関することに関心が集まっており、流域委員会での審議も概ねそのような傾向だったと思っている、そういう意味では豊川問題というものを意識し、関心が深まってきたということは、非常に意義があったと思い、これからもずっと生かしていかなければいけないと思っている。
 東三河地域としては、豊川の流域問題は永遠のテーマであり、現状のままでも緑のダムといわれている森林はどんどん崩壊し破壊されつつある。また、現状のままでも三河湾はさらに汚染が進行している。今後、地域の親水計画も大きなビジョンをもって取り組んでいかなくてはいけない。
 今回の整備計画は30年計画であるが、豊川問題は長期的なテーマであり、自然と人類の関わりあいはこれからも技術の進展などによって変化するので、柔軟な見直しも含めてやっていくということが必要だと思っているし、今後もこういう問題について調査し、あるいは勉強をしていくような組織を継続してつくっていくということが必要だというふうに考えている。
(8) 意見交換会の開催案内は新聞報道や市町村単位での回覧等でなされていたが、参加者が意外に少なくてちょっとびっくりした。逆に言えば現在進行している整備計画に住民の人は大概満足しているのかなとも解釈している。
 折角、今回のこのような前例をつくったのだから、整備計画策定後も随時意見交換会を開いて、住民の意見を聞きながら進めて頂きたい。
 
原案作成段階でも地域住民の意見を聞くべきであるとか、整備計画策定前に意見交換会などの場をつくるべきであるとか、整備計画作成後も開催し、住民との意見交換を図るべきであるという意見を関係住民からも頂いている。
整備計画を作成した後の説明会などについては、当然実施しないと事業は進んでいかないのではないか考えている。
(9) 意見交換会にはもっと多くの参加者があってしかるべきではなかったかと感じている。特に農業の受益者、受益地である渥美半島での出席率が少なかったが、そういう意味でまだまだ計画を公開するということが浸透していない、あるいはダムと利水というのが直結していないのではないかと感じている。特に渇水が最も厳しい時期に開催をされたというようなことを考えると、賛否は別としてもっとこうした機会を浸透させる努力は、地域側にも必要だということを痛感させられた。
(10) 水の需要の問題が一番問題になっており、地域への説明としては避けて通れない問題であるため、担当部局である愛知県等からも説明をすべきではないかという意見がかなり寄せられている。
 同時に愛知県全体として、この東三河の地域経済をどのように考えていくのかというビジョンをはっきりさせていくことも、必要ではないかと思っており、今後の行政の横断的な体制というものも、こういう意見交換会がある場合には必要であると思う。
 
利水地域の住民が多い会場には、愛知県の水担当部局も出席し、説明などをさせて頂いた。
(11) 設楽町内での開催時には、設楽町民が出席者の80%位であったが、町民の中でもいろいろな意見があり、特に早く解決をしてほしい、要するにはっきりしてほしいという意見は水没地区の人からも出ていた。蛇の生殺しのような形でこういう議論を重ねていくこともどうかなということであり、この問題の早期決着を願う意見が強かったと思っている。
 ダム建設が決まった場合、費用負担はどうなるのかということについてもきちんと説明をしていただく必要があると思う。例えばダムができた場合、地域整備は水源地域対策特別措置法に基づいて実施するという話は聞いているが、地元にも費用負担が生じ、当然下流域においても相当の負担をして頂くことになる。
 水特法での費用負担も含めると、多岐にわたり費用負担の問題で紆余曲折も予想されるので、特に国土交通省にはこういう場でもっときちんと説明していただかないと皆さん方の関心は深まっていかないような気がする。
 
ダムに付随し水源地域へいろいろな整備をすると思うが、一つはダム事業の中でやる事業がある。次に水特法によって実施する方法や豊川水源基金で実施する方法があると思う。最終的にはその各々の負担になるが、ある程度計画が固まった段階には、できるものについてはなるべく説明したいと思っている。
当面は河川整備計画でダム計画を位置付ける事が先決かと思っている。
(12) 水没地域への代償であるとか、支援体制、費用負担、そういうものを明確にするためには、一応結論を出すということが必要ではないかと思っている。そういう意味で水没地域で早期に解決の声が出ているように、あまり引き延しは得策ではない感じがしている。
 ダムというのは計画から着工まで20年くらいかかり、非常に長期の大きな計画であるので、20年間の間にどういうことが起きるか予測もできない。計画の一部見直しも含めて柔軟に対処するということが必要だと思っている。
5. 河川整備計画原案に対する委員からの意見として出た意見と事務局からの説明  などは次のとおり。
(1) 21世紀は人間がもう一度原点に立ち返って、自然を見つめ直す新しい世紀の始まりだと思っており、そのためには自然保護、自然環境の再生という、自然にやさしい川づくりが河川整備の原点でなければならないと考えている。各地区の意見交換会で出されたダム建設に異論を唱える真摯なご意見にも、こうした観点から環境保全を中心に据えた河川整備を再考すべきだという多くの方々の心情が伝わってくる。
 当面する利水の切実な課題だけに目を向けるのではなく、自然の生態系や森林破壊、ひいては大きな財政負担というリスクを後世に残しかねない新たなダムの建設は、今一度原点に戻って再考すべきではないのか、外部に頼らない水源樹立の可能性に向けて原案を修正していく道を探るべきだと考えている。
 河川整備という従来の枠内だけで進めるのではなく、国土交通省が主体性を発揮し、各省庁の節水システムの開発案を促して、その原案を踏襲してあるべき姿を具現化し、河川環境の原案に反映していくことが大事だと考えている。
 ダムの開発には大きなコストとリスクが伴うので、これからの利水の問題解決は従来のダム依存の体質にメスを入れて利水の問題や治水の問題を解決していくべきだと考えている。
 利水の問題も単なる流域という狭い範囲の枠内で問題を解決するのではなく流域圏を超えた、あるいは横の連携を密にした水の需給システムの構築という視点で解決の方途を探るべきであるというふうに考えており、限られた水資源を有効に活用するためには、流域圏を越えた視点から水の有効活用と農産物の需給システムという調整の構築を考えれば、新たなダム建設に頼らなくても済む可能性があるのではないかと考えている。
 ダム建設には森林破壊や、予期しない大きな人災による洪水被害の潜在的な要因も含んでいることが考えられ、従来型の治水、利水の河川整備計画ではなくて、自然環境保護優先の河川整備計画に据えて原案を再考していく必要性があるのではないかと考えている。
 
1世紀は自然を見つめ直す新しい世紀で、自然にやさしい川づくりを目指すべきだということに対してはそのとおりだと思う。そういった考え方に立った上での治水や利水をどうすべきかということについては、今までのこの流域委員会でも、いろいろな説明をさせていただいた。ただ、節水だけで今後の水需要なり、あるいは安定した生活なり、経済活動が賄えるかは難しいのではないかと思っている。
節水は非常に大事であり、今後とも節水の努力は続けなければいけないが、今後の水需要を考えると、それだけではとても賄えない。長期的な視点に立って、ユーザーの方々の計画等とも歩調を合わせながら水資源の開発が必要ではないかと思う。
ダムの建設が洪水被害を激化させるということについて、ダムを造っても設計以上の洪水が来る可能性は否定できない。このような場合、ダムだけに頼らずに適切な情報を提供して避難をして頂くとか、備えて頂くということは非常に大事である。しかし、このような場合にもダムに流入した以上の水を放流することはなく、下流への負担を軽減しており、洪水を激化させるということはあり得ないと思っている。
(2) 設楽ダム計画には反対である。その理由として水利用についてダムが完成する約20年後には日本の人口は減り始めており、家庭用水がそれほど増えるということは考えられない。工業用水についても大量の資源とか、水を使う作業といったものは衰退し、知識集約型の産業に移行せざるを得ないだろう。また農業用水については増えるということは考えられない。水需要の将来予測がいい加減であると思う。
 次に、環境の問題であるが、設楽ダムの場合レッドデータブックに載っている天然記念物のネコギギがダムの建設現場に一番沢山おり、今の世の中の情勢からいって、国内のみならず、国際的に見ても環境保護、自然保護から認められるとは思われない。
 地域の意見を反映すると言っているが、具体的にどういう形でやられるのかということが保証されないと単なる空文句で、従来のやり方と本質的にどこが違うのかという危惧を持っており、ダム建設計画を前面に出した計画に対しては非常に疑問があり、慎重でなければいけないと思う。
(3) 素案の段階で委員会として6項目の提言を作成したが、その際、ダムあり、なしを含めて7ケースを検討し、その議論の結果を踏まえて原案を作っていただいたわけであり、ダムを含めた原案に賛成である。
 本年はまだ途中過程ではあるが、降ってくる雨、水と共生するという発想をとるべきであるということをこの夏の出来事で理解した。できる限り水を合理的、効率的に利用するにはプールする場所があった方が良いと痛感し、水の問題を含めてダムが必要だという意見を支持する。
 原案の中に、流域一体観への取り組みが盛り込まれており、これらも評価している。
 流域委員会での審議資料や地区別意見交換会などでの意見を参考資料等として整理して頂きたい。
(4) 人類は常に危機管理というようなことを考え、それに対応する形でこの地域づくりを進めてきており、当地域における水の問題というものをどう考えたら良いかということで、この流域委員会でいろいろな検討がされてきたと思っている。
 そういう意味では原案が一番妥当な考え方ではないかと思い賛成をしているが、原案の中にもあるように21世紀は環境と共存する時代ということは事実であり、資源をできるだけ大切に扱っていくためのさまざまな努力をしていくことは最も重要な問題である。
 今後、設楽ダムを建設するにしても非常に長期的な問題であるので、状況の変化に応じた計画の一部見直しを、十分念頭に置いていくことが重要ではないかと思っている。
 現時点においては人類の英知を、あるいは我々日本人の英知を結集して環境問題を最も大事に考えながら、ダム問題を考えるということが必要ではないかと思っている。
(5) 原案についてすぐコメントするわけにはいかないが、流域委員会でのシビアな検討や議論も踏まえた上で作成された原案については評価させていただきたい。
 ただし、環境問題の中で森林整備という項が非常に少ない感じがする。昨年の東海豪雨時における矢作川上流部の状況からも森林がきちんと管理されていないところから流木が川へ入っている。
 従って、ダムを建設することになった場合には、特にダム上流域の森林をきちんと整備することが絶対条件であると思う。豊川行政懇談会でも上流の町村長は異口同音に森林の整備をすべきであるとの意見が非常に多かったと思っている。流域委員会として提言をまとめる時には、森林整備という問題を項目の中に入れて頂きたい。
(6) 自然は大事でそのまま残したいのは当然であり、ダムを建設せずに全て解決するのであればその方が良いが、ダム計画が出て以来20年以上経過しているが、節水の意識もあまり向上しないし、抜本的、具体的な渇水対策になるような決め手も出てこない。今まで流域委員会で一生懸命議論した結果として原案をまとめた以上は、原案に沿って進んで行く方が良いと思う。
(7) ダム建設に関して地球環境保全の面からすれば、必ず環境破壊が起きることから反対する訳であるが、反対していないということには理由がある。
 今年、もし台風11号が到来しなければ現在非常に深刻な問題になっていたと思う。また、農作物への影響も多大ではなかったかと思う。日本においては食糧自給率を現在以上に上げる必要があり、それには水が必要である。
 次に、当面の問題ではなく地球の環境がどうなっているかということに十分に配慮する必要があると思う。温暖化によって海面が上昇し、海水が河川に逆流すると酸素不足により魚類は減少死滅する。同時に河川の生態系が塩水によって破壊されるため、上流からの水量というものが非常に重要になってくると思い、その対策がダムによって実行できるものと思う。
 さらに、山林の保水力の確保が絶対に必要であり、一部の人によって山林の間伐が実施されているが、これには限度があると思うので、行政が抜本的な対策を考慮する必要があると思う。
 この地域が日本を代表する渇水地域であってほしくなく、10年、20年という長いスパンでもって計画を立てていくべきであり、将来、我々の子々孫々のためにもやはり水がめは必要であると思う。
(8) 豊川水系の河川整備を考える場合、森林問題がダムと同じ位に重要なテーマだと考えており、ダム問題を一つの機会にして、環境整備ということだけでなく、奥三河全体の森林問題についてのビジョンを明確にしていくということが非常に大事だと思っている。
 水没地域で早期解決を求める声が出ているように、最早引き延ばしは適当ではないと考えており、早く結論を出して水没地域の代償を明確し、同時に水没地域の支援体制、費用負担、それからこの水没地域を中心とした奥三河の森林体制をどういうふうに長期にわたって新しく再生させていくかということについて、全力を挙げて東三河地区が取り組むということが大事だと思っている。
(9) 口の減少とか、作付け面積の減少とか言われているが、この地方をより一層発展させていくためには水は必要であると思う。
 事業を進めるに当たって、生物や自然環境の保護を踏まえながら取り組むことは当然であると思う。
 水没地域の問題などは、上下流一体の問題であるということを考えながら進めるべきであると思う。
(10) 地球の温暖化が進むと蒸発が盛んになり雨量が増えるという考えもある。また、ダムを建設すると、三河湾へ流れ込む水量が減り、水質悪化になるということも指摘されている。
 地球環境がどうなるかとか、温暖化でどういう結果になるかというのは、非常に難しく、それをもって良いとか、悪いとかの議論は不可能であると思う。
 ダムを造って建設工事をすれば、必ず環境破壊、自然破壊が起こるというのは避けられないと思うが、その影響を具体的に小さくするとか、天然記念物を保護するとかの見通しが全くない段階で、ダムの建設を認めることはよくないと思う。
6. ダム問題についてはさまざまな意見が出ているが、流域委員会としては設楽ダム建設を含む原案を支持する方向で取りまとめることとした。
7. 次回流域委員会では、設楽ダム関係以外の項目についての意見並び原案に対しての流域委員会としての意見をとりまとめることとした。
 
以上

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