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資料3 『中間報告書』および第15回流域委員会の論議に対する質問書

(案)
平成13年2月
豊川を勉強する会
 代表  松倉 源造  様

豊川の明日を考える流域委員会
委員長  藤田 佳久

 時下、ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。
 平成13年1月26日付け「『中間報告書案』および第15回流域委員会の論議に対する質問書」にて、ご質問のありました事項のうち、本委員会がお答えできる内容につきまして、下記のとおり回答いたします。


1について
1、『中間報告書案』をめぐる第15回流域委員会の審議の中では、その大部分を費やして、情報公開と、今後の審議手続きが議論されました。地域住民と情報を共有し合い、また住民から広く意見を求めるためHPを活用して「事前周知」をはかるというのは、それじたい決して悪いことではないと思いますが、その場合、誰の責任で誰が作成するのか? また、書き込まれてくる意見を、どんな機会に、どのように審議に反映させるのか?  当日の議論の限りでは、納得できません。
ホームページには、委員会資料等の関係住民への早期周知を図るため掲載する予定であり、資料内容の責任は資料を作成した河川管理者が負うべきであると考えております。また、ホームページ自体は事務局が作成することとしております。
ホームページへの意見につきましては、委員会への意見と事務局等への意見とに区別されると思われますが、委員会への意見につきましては、委員会での審議等を踏まえてホームページでお答えする予定です。また、事務局等への意見につきましては、関係住民の意見として河川整備計画の案に反映されるものと考えられます。

 かりに準備部会がそれを担当するとすれば、少なくとも、そういった一切の情報交換じたいの公開性をも保証する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか? HPを<隠れ蓑>にすることは許されません。
ホームページへの意見等のうち、委員会への意見は上記のとおりです。また、事務局等への意見は、どのように河川整備計画の案に反映したのか、ホームページでお答えするなど、全て公開で対応されるものと考えられます。

 それはそれとして、HPを開設することより重大な疑問が2つあると思います。
 第1に、「勉強会の廃止」と「準備部会の役割強化」というとき、この準備部会も非公開だとすれば、一般住民にとっては、これまで同様、当惑する事態が続くだけであり、同時に「役割強化」が、具体的には「代替案の作成」、「委員会で議論すべき事項の明確化」および「委員会での説明」の役割を果たすことだとすれば、審議の実質は準備部会に移り、委員会は形式だけのものになりがちです。この会が「河川に関し学識経験を有する者」で構成されていると言うなら、このような<二重手間>を、何故とられるのでしょうか? また、これまでの経過を見るかぎり、そもそも準備部会を設置した意味は何なのでしょうか?
準備部会は、河川整備計画の案の策定に向けて、委員会の議論が活発かつ効率的に行われるよう、委員会での検討事項についての課題等を整理検討することを目的としております。


2について
(2)、治水については、昨年12月の河川審議会の答申、約言すれば、これまでの連続堤方式による近代高水工法を反省して、今後の治水対策は流域対策を念頭においた総合的かつ多様なものにすべきだ、とくに洪水氾濫域では霞堤などを積極的に活用し、そのためには「地区内の建築物の立地等について土地利用方策」をとる必要がある、というものです。そうだとすれば、「素案」に見られるダムと河道改修中心の治水対策と、従来の治水対策に根本的な転換を迫る河川審議会答申との整合性を、どのように担保されようとしているのか?
平成12年6月12日に開催されました第11回流域委員会において、河川整備計画の素案が事務局より提示されましたが、霞堤の対応方針等につきましては示されていません。今後、河川審議会の中間答申も配慮し、豊川流域の過去の洪水等による災害の発生状況等を勘案の上、審議する必要があると考えております。


3について
3、利水に関して、『中間報告書案』では、設楽ダムの必要性を、豊川用水渇水の発生状況や愛知県の『新世紀へ飛躍〜愛知2010計画』(以下、「7次計画」という)における平成22年目標の水需給計画から説明しようとしているようにみえます。
(1)、しかし、掲げられている図2.4.3を見るかぎり、この図は正確とは思えず、以下のような疑問が生じます。
 [1]、農水における「7次計画」の終値の数値は、どこに出典があるのですか?
 [2]、農水の実績値は大きすぎるし、この30余年の間に明らかに減っていると思われる  のに、このグラフでは増えていることになっています。その根拠は何ですか? また、  その予測値で、需要が伸びているのは具体的にはどういう根拠からですか? さらに、  それが地区内水源利用可能量が減ることから結果するであろうというのは、下流の無  為無策からだと思われますが、いかがですか? 最後に、土地利用率が増えるからだ  とするのは、既往の趨勢と異なりはしませんか?
 [3]、大野頭首工掛かりの農水供給が、この30余年間減ってきているのに、牟呂松原掛  りの供給量が変わっていず、しかも、それが当初計画を初めから大幅に超過してきた  のはなぜだと考えますか?
 [4]、上水と工水の実績値のグラフは逆ではありませんか?
 [5]、[4]が逆だとして、生活用水の将来需要が平成7年を底にして以後のトレンドが若干  上向いているのを根拠に、そのまま延長して将来予測に結びつけるのは正しい手法と  思いますか? また、「生活用水」を家庭用水、都市活動用水、工場用水に区分すると  すれば、何がそれほど伸びるのですか? さらに、給水原単位は実績値でほとんど伸  びていないにかかわらず、なぜ生活用水需要が伸びることになるのですか?
図2.4.3は、「愛知2010計画」を基に作成したものであり、間違いはありません。


4について
4、豊川の河川環境については、緊急課題として「設楽ダムによってもたらされる環境流量の増加が、下流の生態系に及ぼす…効果」があげられていますが、『中間報告書案』第2章でも指摘されているとおり、それのみでなく、「ダム地点地域社会への影響」、「ダム地点周辺の自然環境・生態系への影響」、冷濁水による、あるいは河床フラッシュ効果減少などによる「ダム下流の影響」、「三河湾の水質への影響」も早急に検討すべき課題だと思われますが、そのつもりはないのでしょうか?
いずれも検討すべき課題であると認識しており、過去の流域委員会においても資料提供を受けながら、何回か審議されてきております。しかし、(第16回の流域委員会でも説明したように)これらのほとんどは定性的にはともかく、定量的には速やかに試算ができるものではなく、今後、引き続きデータの収集等に努める必要があると考えております。



平成13年 1月26日
『中間報告書案』および第15回流域委員会の論議に対する質問書
「豊川の明日を考える流域委員会」
   委員長   藤田 佳久  殿
豊川を勉強する会
 代表  松倉 源造

 「豊川の明日を考える流域委員会中間報告書(案)」(以下、「中間報告案」という)を読み、なおかつ第15回流域委員会の審議を傍聴して、隔靴掻痒の感を深くしました。問うべき質問や言うべき意見は多々ありますが、そのすべてについては順次、他日に譲るとして、とりあえず以下の質問を提出しますので、委員会で慎重かつ具体的に審議され、委員会として責任ある回答を求めます。


1.  『中間報告書案』をめぐる第15回流域委員会の審議の中では、その大部分を費やして、情報公開と、今後の審議手続きが論議されました。地域住民と情報を共有し合い、また住民から広く意見を求めるためHPを活用して「事前周知」をはかるというのは、それじたい決して悪いことではないと思いますが、その場合、誰の責任で誰が作成するのか?また、書き込まれてくる意見を、どんな機会に、どのように審議に反映させるのか?当日の議論の限りでは、納得できません。
 かりに準備部会がそれを担当するとすれば、少なくとも、そういった一切の情報交換じたいの公開性をも保証する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか?HPを<隠れ蓑>にすることは許されません。
 それはそれとして、HPを開設することより重大な疑問が2つあると思います。
 第1に、「勉強会の廃止」と「準備部会の役割強化」というとき、この準備部会も非公開だとすれば、一般住民にとっては、これまで同様、当惑する事態が続くだけであり、同時に「役割強化」が、具体的には「代替案の作成」、「委員会で議論すべき事項の明確化」および「委員会での説明」の役割を果たすことだとすれば、審議の実質は準備部会に移り、委員会は形式だけのものになりがちです。この会が「河川に関し学識経験を有する者」で構成されていると言うなら、このような<二重手間>を、何故とられるのでしょうか?また、これまでの経過を見るかぎり、そもそも準備部会を設置した意味は何なのでしょうか?
 第2に、今後の手続きとして、第11回委員会で事務局が提示した河川整備計画策定までのフロー・チャートを無視して(「フローに縛られなくてよい。決まったルールはない」とまで言い切って!)、諸手続きを「パラレルに」考えてもよいというのは、どんなものでしょうか?たとえば、「住民説明会」や「公聴会」も「個別分野の学識経験者の意見」聴取も、すべて原案あるいは計画案作成までに平行してやってしまうとするなら、手続きも何もあったものではないということになりませんか?かりに百歩譲って、これを認めるとしても、「公聴会」などを実施する主体は誰なのでしょうか?また、原案あるいは計画案作成の主体は誰なのでしょうか?国土交通省なのでしょうか、それとも委員会なのでしょうか?

2. 豊川の治水、利水、環境に関しても、以下のように質問します。
(1) 、「河川整備基本方針」では「工事実施基本計画」と同様、豊川の基本高水のピーク流量を7,100m3/sとし、「流域内洪水調節施設」(ダムだけではない!)による調節流量を3,000m3/sとし、石田地点での計画高水量を4,100m3/sとしていますが、第15回流域委員会では、この基本高水のピーク流量を「次期以降の河川整備計画策定時における十分な再検討に委ねる」としてタナ上げしています。しかし、そうすると、たとえば戦後最大洪水を上回る規模の洪水が近い将来に起こり、被害が発生した場合の責任は、一体、誰が取ることになる、と考えればよいのでしょうか?
(2) 、治水については、昨年12月の河川審議会の答申、約言すれば、これまでの連続堤方式による近代高水工法を反省して、今後の治水対策は流域対策を念頭においた総合的かつ多様なものにすべきだ、とくに洪水氾濫域では霞堤などを積極的に活用し、そのためには「地区内の建築物の立地等について土地利用方策」をとる必要がある、というものです。そうだとすれば、「素案」に見られるダムと河道改修中心の治水対策と、従来の治水対策に根本的な転換を迫る河川審議会答申との整合性を、どのように担保されようとしているのか?
 また、「中間報告書案」では、治水安全度を向上させるため、設楽ダムの建設と霞堤の締め切りとを緊急の課題として検討していく方向を打ち出しています。その場合、すでに締め切られている東上霞の復活と牟呂松原頭首工下流左岸の河川改修(拡幅もしくは後背地の掘り割り)によって、設楽ダム抜きで、しかも他の左岸霞堤をすべて開けておいた場合、全川で洪水時の水位低下がどのようになるか、シミュレーションすることはできませんか?

3.  利水に関して、『中間報告書案』では、設楽ダムの必要性を、豊川用水渇水の発生状況や愛知県の『新世紀へ飛躍〜愛知2010計画』(以下、「7次計画」という)における平成22年目標の水需給計画から説明しようとしているようにみえます。
(1) 、しかし、掲げられている図2.4.3を見るかぎり、この図は正確とは思えず、以下のような疑問が生じます。
 [1]、農水における「7次計画」の終期の数値は、どこに出典があるのですか?
 [2]、農水の実績値は大きすぎるし、この30余年の間に明らかに減っていると思われる  のに、このグラフでは増えていることになっています。その根拠は何ですか?また、その予測値で、需要が伸びているのは具体的にはどういう根拠からですか?さらに、それが地区内水源利用可能量が減ることから結果するであろうというのは、下流の無為無策からだと思われますが、いかがですか? 最後に、土地利用率が増えるからだとするのは、既往の趨勢と異なりはしませんか?
 [3]、大野頭首工掛かりの農水供給が、この30余年間減ってきているのに、牟呂松原掛  りの供給量が変わっていず、しかも、それが当初計画を初めから大幅に超過してきたのはなぜだと考えますか?
 [4]、上水と工水の実績値のグラフは逆ではありませんか?
 [5]、[4]が逆だとして、生活用水の将来需要が平成7年を底にして以後のトレンドが若干上向いているのを根拠に、そのまま延長して将来予測に結びつけるのは正しい手法と思いますか? また、「生活用水」を家庭用水、都市活動用水、工場用水に区分するとすれば、何がそれほど伸びるのですか? さらに、給水原単位は実績値でほとんど伸びていないにかかわらず、なぜ生活用水需要が伸びることになるのですか?
(2) 、蒲郡地区の都市用水(上水と工水)は平成10年で年間2,000万m3余を豊川用水から給水していますが、広域水道の理念と、新たな水資源開発による費用負担を避ける意味から、矢作川水系の幸田上水場からの導水(現在工事中)によって補給できないのですか?

4.  豊川の河川環境については、緊急課題として「設楽ダムによってもたらされる環境流量の増加が、下流の生態系に及ぼす…効果」があげられていますが、『中間報告書案』第2章でも指摘されているとおり、それのみでなく、「ダム地点地域社会への影響」、「ダム地点周辺の自然環境・生態系への影響」、冷濁水による、あるいは河床フラッシュ効果減少などによる「ダム下流の影響」、「三河湾の水質への影響」も早急に検討すべき課題だと思われますが、そのつもりはないのでしょうか?

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