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TOPページ豊川の明日を考える流域委員会中間報告書 > 2.4 利水計画関連事項
2.4 利水計画関連事項

2.4.1 過去の渇水発生状況
表−2.4.1 豊川水系における渇水発生状況(昭和52年〜平成10年)
取水制限実施期間 日数 最大節水率(%) 水源の最低貯水率%
開始日 終了日 水道 工業 農業
S52.9.9 S53.7.13 308 15 15 40 3.5
S53.9.1 S56.9.8 1104 15 15 40 17.9
S57.7.7 S57.7.28 22 15 20 40 41.7
S58.8.10 S58.8.17 8 5 15 20 44.7
S59.1.24 S59.6.30 159 15 20 40 7.0
S59.8.11 S59.8.22 12 5 10 20 68.1
S59.10.12 S60.3.13 153 22 27 44 0.0
S61.2.21 S61.3.31 39 15 20 40 11.0
S61.8.28 S62.1.26 152 20 27 44 19.3
S62.8.24 S63.5.24 275 24 31 48 2.7
H1.8.23 H1.8.31 9 5 10 20 31.2
H2.8.9 H2.9.19 42 5 10 20 41.0
H3.8.23 H3.9.18 27 10 15 30 33.5
H4.8.1 H4.8.17 17 10 15 30 45.1
H4.9.11 H4.11.4 55 10 15 25 23.4
H5.4.27 H5.6.30 65 10 15 20 11.1
H6.6.16 H6.10.24 131 35 60 60 2.9
H7.2.10 H7.4.24 74 20 40 40 7.3
H7.8.11 H8.4.1 235 30 50 50 5.4
H8.5.8 H8.7.9 63 25 45 45 8.5
H8.8.9 H8.12.5 119 15 30 30 28.3
H9.3.28 H9.5.16 50 5 10 10 18.2
H9.9.8 H9.12.1 85 10 20 20 42.0
H10.8.21 H10.8.31 11 5 10 10 43.2
注)1.取水制限実施期間、日数は自主節水を除く。
   2.水源の最低貯水率は午前9時の値。



豊川では、ほぼ毎年のように、数十日以上の取水制限による節水を必要としている。表−2.4.1の22年間(1977〜1998年)のうち水源の最低貯水率が10%を切った年が6ヶ年を数え、平均すれば4年に1回程度は取水制限による節水をしなければダムが枯渇していたと考えられる。



2.4.2 水利権
豊川に設定された水利権は下表のようであるが、農業用水が圧倒的に多い。
表-2.4.2 豊川水系における水利権一覧表
用水名 用水目的 件数 最大使用水量
(m3/sec)
最大取水量
(m3/sec)
豊川用水
豊川総合用水
水道用水
1 4.183
牟呂松原頭首工  8
大野頭首工 30
小計 38
工業用水
1 2.43
農業用水 1 20.96
上記以外 水道用水 9 0.48677 0.48677
工業用水 2 0.95074 0.95074
農業用水 91 1.9359 1.9359
80 8.2017 8.2017
その他 7 0.04676 0.04676
発電 (3) (14.817) (14.817)
計(発電を除く) 192 39.19487 49.62187
平成13年1月現在
*法:河川法第23条の許可を得たもの
*慣:河川法施行前から存在する慣行水利
*豊川用水・豊川総合用水の大野頭首工における最大使用水量は19.407m3/secであるが、河道外貯留施設への洪水導入のために最大取水量は30m3/secとなっており、豊川水系全体での最大取水量は約50m3/secである。



2.4.3 利水計画に関係する組織あるいは計画
図-2.4.1 水利用における各主体の主な役割と連携協力の考え方
図-2.4.1 水利用における各主体の主な役割と連携協力の考え方

利水計画は、県、市町村、企業、土地改良区、および国が、支援・連携・協力しあう複雑な世界である。豊川の場合、国土庁の水資源開発基本計画と愛知県の地方計画が、建設省の工事実施基本計画(現「基本方針」「整備計画」)と連動しており、整備計画においては、
  利水計画=流水の正常な機能の維持+新規水資源開発
      =河川環境確保のための流量確保+既得用水の取水の安定化
                        +新規開発水量確保
を意味する。

図-2.4.2 豊川水系における利水計画の流れ
図-2.4.2 豊川水系における利水計画の流れ



2.4.4 利水関係事項年表
整備計画での「利水計画」は、豊川用水事業、豊川総合用水事業、水資源開発水系指定(水資源開発基本計画)と続く長い歴史の延長上に位置する。



2.4.5 水需要予測
(1)愛知県地方計画委員会「新世紀へ飛躍〜愛知2010計画」
 愛知県の「愛知2010計画」には、愛知県における平成22年目標の水需給計画(地域別水需要見通し)と水資源開発事業の促進が記されている。
 地域別水需要見通しは、水利用の実態に合わせて細かく分類した上で推算し、それらの積み上げとして算出されるが(表−2.4.4)、東三河地域需要量については、おおむね下記の式、および表−2.4.4〜表−2.4.5に集約できる。
東三河地域需要量=生活用水需要量(地域別総人口、水道普及率、1人1日平均有収水量等が関係)+工業用水需要量(業種別の工業出荷額、回収率、使用水量原単位が関係)+農業用水需要量(作物別消費水量、土壌別減水深、作物別耕地面積、有効雨量などが関係)
 また、これを需要実績とともに示せば図−2.4.3のようである。
表-2.4.4 愛知県地方計画における水需要推計
推計の基本条件
(1)目標年次 平成22年
(2)地域区分 尾張地域(木曽川水系)、西三河水系(矢作川水系)、東三河地域(豊川水系)の3区分
(3)需要推計用途 生活用水、工業用水、農業用水及び養魚用水
(4)地方計画のフレーム値 人口:725万人〜735万人
工業出荷額:約55兆円(経済成長率2.7%程度)
農地面積:約8万1百ha
需要量算定方法
[1]生活用水 日最大給水量(m3/日) 総人口×水道普及率×1人1日平均有収水量÷有収率÷負荷率
総人口 県地方計画による推計人口(フレーム値)
1人1日平均有収水量 一般都市、観光都市及びその他都市毎に、家庭用水(さらに5用途に分類し推計)、都市活動用水、工場用水の3用途に区分して推計
有収率 総有収水量と総給水量との比較
負荷率 日最大給水量と日平均給水量の比
[2]工業用水 淡水補給量(m3/日) 工業出荷額×使用水量原単位(m3/日/億円)×(1-回収率)
使用水量原単位、回収率 産業中分類に区分し30人以上の事務所の実績値を基に推計
工業出荷額 県地方計画による推計工業出商額(フレーム値)
[3]農業用水 河川本川依存量(m3 作物別消費水量(又は土壌別減水深)×耕地面積−有効雨量−地区内水源利用可能量
作物別消費水量(土壌別減水深) 作物及び土壌要因に分類
畑は月別、水田は稲作生育別に変化
有効雨量 実績降雨量のうち用水として有効に利用できるもの
地区内水源利用可能量 小河川及び溜め池等
[4]養魚用水 (東三河は対象外) 養魚用水需要量(m3 養魚面積×単位水量
単位水量 魚種別

表-2.4.5 東三河地域の2010年の水需給見通し (単位: 百万m3/年)
地域 用途 総需要量
(1)=(2)+
(3)+(4)
依存水源 新規水源
河川本川 河川水
ため池
その他
(3)
地下水
(4)
河川本川
需要量
(2)
既得
水量
(5)
新規
必要量
(6)=(2)
-(5)
新規
供給
可能量
(7)
需給差
(8)=(7)
-(6)
東三河 生活用水
工業用水
農業用水
養漁用水
125.9
82.3
275.0
49.2
95.6
38.5
177.9
0.0
55.4
56.6
126.4
0.0
40.2
△18.1
51.6
0.0
47.9
0.0
51.6
0.0
7.6
18.1
0.0
0.0
14.2
20.3
94.8
35.1
16.2
23.5
2.2
14.1
豊川総合用水設楽ダム
小計 (10.0)
522.3

312.0

238.5

73.6

99.5

25.7
(10.0)
154.4

56.0
(注)1 本数値は、すべての需要地点で表示したものである。なお、端数処理により合計が合わないところがある。
2 ()内は工業用水の生活用水依存分で、「計」ではその重複分を除く。
3 工業用水の「需要量」は淡水補給必要量(海水・回収率は含まない。)である。
4 (2)欄の「河川本川需要量」とは水資源開発計画の対象となる河川依存量である。
5 (6)欄の「新規必要量」の△印は未利用水量を示す。
6 (7)欄の「新規供給可能量」には新規水源による計画開発全量(2010年以降の水需要に対応する供給量含む。)を計上している。
7 (8)欄の「需給差」の△印は不足量を示す。また、無印の水量には、長期的な水需要や地域間の需要の不均衡の是正に対応する水量が含まれており、供給量に余力がある期間は、異常渇水時等にも対応できる。

(2)水資源開発基本計画(国土庁;通称「フルプラン」)
 豊川水系における平成12年度目標の水需給計画であって、現在、上記の「愛知2010計画」を参考にして見直されつつある。
 豊川水系水需給目標と水資源開発事業とからなる。

上記(1)および(2)における水資源開発事業は、豊川総合用水事業と設楽ダム建設事業とからなる。

図-2.4.3 東三河地域の水需要の実績と予測(需要量ベース)
図-2.4.3 東三河地域の水需要の実績と予測(需要量ベース)

(3)設楽ダム計画との関係
 設楽ダムは、上記の各種水需給計画の一翼を担うものとして、他のダム等と連携して、取水量が制限されたり河川環境保全のための流量が確保できなくなる事態を、ある確率(通常10年に1回程度で計画され、設楽ダムもこの値で計画されている)以下に抑えるように利水容量が設定されている。
 設楽ダムの利水容量が途中で変更された理由のひとつは、統計期間の延伸に伴って、この利水安全度1/10に対応する基準年として、昭和32年では利水安全度が低いことが判明したため、昭和43年に変更されたことによる。
 利水容量変更の他の理由は、主要取水地点における河川環境保全のために確保する流量(制限流量)を強化したことと、前計画で前提としていた天竜川からの新たな導水が当面見込めなくなったためである。(他に、治水容量と堆砂容量も変更されているが、治水容量変更は測量精度向上による貯水池形状の見直しに対応して、洪水吐きの構造を変更したことに伴うものである。堆砂容量変更の理由は、隣接する矢作ダムでの実績データ等を用いて変更したものである。)

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