TOPページへ
TOPページ豊川の明日を考える流域委員会議事概要 > 第19回豊川の明日を考える流域委員会議事概要
第19回豊川の明日を考える流域委員会議事概要

豊川の明日を考える流域委員会事務局
 
日時:平成13年3月14日(水)午前9時〜11時50分
場所:ホテル白豊 5階「鳳凰の間」
 
1. 第17回流域委員会の議事概要について、配布した(案)のとおり確認された。また、前回保留としていた第16回流域委員会の議事概要についても、魚類関係の専門家の確認が得られたため、案を削除し正式な議事概要として、豊橋工事事務所のホームページに掲載してあることを報告した。
2. 前回の委員会で絞り込まれた2案の河川整備計画案(素案および修正・代替案)の比較について、配付した第19回流域委員会資料−2に基づき準備部会から説明された。審議の中で委員から出た意見、質問と準備部会などからの説明は次のとおり。
(1) 放水路の浚渫は本当に可能なのか。また、他水系からの導水案について、将来的に供給可能な水源の保障についての見通 しや具体的な話し合いはどうなっているのか。
  治水及び利水安全度の現況との比較評価において、B1’案はA2案に比べてどの程度の安全度が達成されるのか。
 
放水路の浚渫については、地下水への影響や河口付近での土砂堆積、あるいは地域の方々の理解などについての検討などがなされていないため、可能性についてはペンディングだと思う。むしろ比較案としての検討からは除外した方が良いと思う。
他水系からの導水案については、現在具体的な交渉はされていないと聞いている。この問題については、昭和40年代にも議論があったが現在は立ち消えの状況と理解している。
治水安全度の評価について、B1’案はA2案に比べて設楽ダムの治水効果 分が不足する。
利水安全度の評価について、B1’案における他水系からの導水では、河川維持用水までの導水は困難ではないかとの前提であるため、その点が評価の差となっている。
(2) 治水安全度について、設楽ダムをつくったとしても3分の1位 の効果しかないと言われており、現況との比較はあくまでもダムをつくるという範囲内でのプラスであり、絶対的な評価ではないということにならないか。
 
河川整備基本方針と河川整備計画の差の話であると思う。
(3) 今回の資料では、現況との比較評価を素案も含めて行ってあり、割とはっきりしている。
(4) 今回の資料のように、具体的な評価が出れば非常に分かり易いと思う。
  設楽ダムが完成した場合でも、牛川以外の霞堤は締め切れないという前提に立って良いか。
 
そういうことになると思う。
(5) いつどんな洪水が起こるか分からないので、(霞堤は)残せるものならこのまま残してもらいたいと思う。
(6) 他水系からの導水ということの難しさを感じている。
(7) 他水系からの導水については、将来的に長いスパンで見た場合、非常に不安定な要素であると思う。特に地球の温暖化等に伴う異常気象を考えた場合、誰も予測できないと思う。
 三河湾の浄化については、A2案、B1’案ともにプラスと評価されているが、例えばB1’案での放水路浚渫に伴う土砂流出などを考慮すれば、両案ともに同じ条件になるのか疑問である。
 
浚渫土砂は湾内に流すのではなく、陸上に上げて処理することになると思う。
(8) 豊川の流域は一体的に考えていかなければならない問題であり、現在下流域が非常に充実しているのに対し、上流域が劣化しているのは事実であるため、ダムをつくることによって、さらに豊川流域全体が大きく発展するような立場で考えていきたい。
 今後とも豊川流域全体の人間環境、自然環境、生活環境をいかに保全し、そして発展させていくかということは、永遠の課題として取り組んでいく必要があると思う。
(9) 上流部に住んでいる者はきれいな水と安心して暮らせる水を適切に流すという使命を持っていることから、今回、森林保全の問題が共通 として取り上げられたことに大きな評価をしている。
 山間部の自然環境の評価について、特にダムができるとするならば、その地域の自然環境というのはマイナスが2つぐらいついても良いと思う。
 その他の項目については、適切な評価であると思う。
(10) 評価そのものについては特に異論はないが、生態的な評価の部分がこれで良いのかなという感じはする。
(11) 評価について、プラス・プラスとかプラスという形で出ると、絶対的な意味を持ちそうな印象を受けてしまう。プラス・プラスとプラスの間にどれだけの差があるかということについて大いなる疑問を持つ。
3. 河川整備計画案(素案および修正・代替案)を絞り込むあたって、審議の中で委員から出た意見は次のとおり。
(1) 本日、欠席している委員からは「委員会の意向に従う」との意見が委員長より報告された。
(2) 判断基準は、ダムに頼らずに治水、利水に対する安全度が将来的に確保できるかどうかであると考えている。ダムがなくても将来的に可能であれば、ダムの必要はないと考えている。
 議論の内容が、河川を中心にされ過ぎたのではないか。一人一人の人間が自立的に水源を考えていく時代にならないと、折角ダムをつくっても、また水が足らなくなればまた水がほしいと言うことになる。
 これからの河川整備のあり方は、河川から一歩外に踏み出して考えるべきであり、生活・農業・工業用水を利用しているいろいろな人々、団体の方々が、今水に対してどれだけの切実感、危機感を抱いているのか伝わってこない。
 水を利用する方々が一生懸命考えて、どうしても水が必要だということがないといけない。
 現在では、蛇口を回せば水が出るという非常に豊かな生活の中、子供達も水に対する危機感などが薄れてきてしまっている。
 お金を払えばいくらでも水を使っても良いという感覚の世代が増えてきたが、水は大事という心づくりも踏まえ、地域の方々、人を育てていかないと困るだろう。
 河川整備計画を考えるにあたっては、河川を取り巻く多くの方々、住民全員の意識を改革していかなければいけない。
(3) 他水系からの導水を考える場合には、天竜川水系だけでなく西三河の方からの水も合わせれば十分余裕があると報道されており、地域の水をその地域で全部賄わなければならないということはないと思う。地域の中での対応のみでは、いくらたっても資源は無限に必要だということになる。
 以前にもダム建設に反対と述べたが、一つには水需要予測が全く承服できない。最近新聞報道にもあったように、造成した工業用地が東三河ではかなり空いている。
 農業用水についても、今後食料自給率を上げると聞いたが、東三河では花を作るということでがっかりした。水を使わなくてもできる小麦などを栽培すれば、水が増えなくても食料自給率は上げられ、利水安全度も十分クリアできるため、A2案、B1’案の代替案にはほとんど差はない。むしろ、環境に与える影響を広く考えれば、B1’案の方が良いことにもなる。
 さらに、全く何もしないというのも一つの案であると思う。資料のように(1)〜(5)という項目が並列的にあり、プラスが幾つで足したらどっちが多いからという議論が、本当に良いのか本質的に疑問を感じる。
 ダム建設を認めて自然破壊を容認することが決定されるというのは非常に不本意である。
 愛知県は、既に藤前干潟や海上の森の問題で、日本のみならず全世界の環境保護、自然保護団体から袋叩きにあっており、それをまた繰り返すことになるA2案には反対である。
(4) 比較表におけるプラスマイナスのウエイトが違うのは当然であると思う。
 行政を預かる立場としては、生活用水を安定的に確保するのは責務だと思う。さらに、農業も含めた経済発展を考えれば、どうしても水が必要である。
 治水の問題にしても、洪水による被害をないようにするのも行政の責任者が当然果 たさなければいけないと考えている。
 環境の問題についても森林保全という対応を明記し、環境面にも配慮した上でA2案での選択をしていただき、提言に盛り込んでいただきたいと主張する。
  節水対策を含め、上流域とのコミュニュティのあり様についても考えていかなければいけない。
(5) プラス・プラスとかマイナスの記号をそのまま足して多い方が良いとは思っていない。2年間の長い議論の中で各人それぞれの立場で理解された評価があり、示された評価に対して各人でそれが適正かどうか判断するものであると思う。
  他水系からの導水は世界的な課題であり、世界の各地では実現されている。日本の場合には非常に難しい問題があるが、中部経済連合会でも数年前から国全体で他水系からの導水を検討すべきであると提案している。漁業補償等、日本古来の伝統があり簡単ではないと考えているが、今後も粘り強く検討を進めて行きたいと思っている。
 奥三河全体の自然環境、森林環境を保全し、今後大きく発展するための一つの材料にしながらダムを建設するということが人間の英知として必要ではないかという判断から、A2案を選択していただきたいと思っている。
 多数決で決めることは非常に難しい問題であるが、いろいろな意見があったことを付け加え、全体としてはこうだったというような形で整理したらどうかと思っている。
(6) 何もしなければ今のままの川も環境も残るが、それでは困っているから2年間委員会で議論をしてきたと思う。
 何が何でもダムをつくれという訳ではないが、何もしなければ今までと同じように洪水被害や水も不足することになる。これまで議論を重ねた以上はどちらかに判断せざるを得ないと思っている。
  ダムの建設を決めたとしても、明日から直ちに環境が変わる訳ではない。今までのいろいろな経験を踏まえて、極力環境破壊をしないように、自然を大切に保つ方法を考えながら進めるのが、これからの知恵ではないかと思う。
(7) 利水の面においても諸外国と日本とでは立地条件が異なり、日本は日本としての対策を独自に立てるべきだと思う。当然、環境破壊が問題になるが、これは立地条件からやむを得ないことであると考える。しかし、環境破壊を最小限にとどめることは当然のことである。上流部の山間部では必ず問題となってくるが、ダムをつくることによるメリットとのバランスを取って考えるべきであると思う。
 家庭用水の節水について、日本ではただ単に市民が心がけているだけだと思う。ドイツなどでは家を新築する場合には、国行政が支援して必ず雨水タンクをつくりその水を利用しているため、これらが日本でも徹底されれば大きな節水効果 となるが、期待できないのであれば、将来的に長いスパンで考えればダムは必要ではないかと考えている。
(8) ダムについてはつくられる立場であり、設楽町が治水や利水問題で困っている訳ではない。従って、我々が積極的にダム建設やダム問題に望むものではない。しかし、当該下流地域は恒久的に水不足であり、水がないと東三河の発展は望めないとかの意見が多い中、東三河地域の一員として協力が必要であろうとの判断から平成4年にダムの調査を認めたが、建設同意をした訳ではない。
 これからどのような事態が到来しても、町内のいろいろな立場の方々の意見を賜り、態度を決めていかなければならないと思っている。
 ダム問題から約30年近く振り回されており、空き家や廃屋が多いとともに、関係町民の高齢化も進んでいるため、ダム問題の結論を早く出して頂きたい。
 ダムの問題に直接該当する立場の者としては、A2案、B1’案のどちらにするかという採決には辞退させていただく。
 この委員会としての結論が出て、提言として国土交通省や愛知県に提出することになれば、それを重く受け止め対応をしていきたいと考えている。
4. 以上の意見などを踏まえ、委員会としては比較案のうちA2案でまとめることとし、原案作成に向けての提言を提出することとした。
 ただし、設楽ダムの建設を含むA2案には、強硬に反対する委員の意見もあった。
5. 河川整備計画の原案作成に向けての提言について、配布した第19回流域委員会資料−3に基づき委員長から説明がなされた。提言内容を審議するにあたって、審議の中で委員から出た意見は次のとおり。
(1) 委員会としての最終的な答申は、今後、公聴会等での意見を反映した後に作成することになる、整備計画案を委員会で審議する段階で河川管理者に提出する予定であることを委員長が提案した。
(2) 本日比較評価した、治水安全度、利水安全度、山間部の自然環境、河道部の自然環境、三河湾の浄化など5項目については提言内容の構成要素になると思う。
(3) 代替案A2に記されている、森林保全、三河湾浄化、節水活動などのそれぞれの項目が提言内容になると思う。なお、原案作成段階での提言であるため、提言内容は項目の記載のみでよいと思う。
(4) いろいろな提言をする中で、ダムありというところが非常にポイントになるため、例えば水没する人たちの生活再建とか、その地域の整備を実施するということを提言の中に入れて頂きたい。
(5) 現地の方々の声に十分耳を傾けるとともに、自然環境などに対してのマイナス面 に十分配慮していくという項目を強調することが必要である。
 また、現在でも自然環境は崩壊しつつあり、この機会に奥三河の森林を中心とする自然環境、あるいは人間の生活も含めた環境を再生できるような検討をして頂きたい。
(6) これからのダム地域への取り組みに当たっては、十分に意見を聞く事が必要だと思う。また、様々な自然環境を最大限残したり、生態系への影響などについての調査研究が必要であると思う。豊川のあるべき姿を最大限残したことを考慮してほしいと思う。
(7) 広葉樹林の保全について移植も含めて考慮することが大きな問題であると思う。また、ダムへの土砂流出量 の予測や水質悪化対策について、山間部、河道部含めて検討する必要がある。
(8) 提言には、整備計画の素案で欠落していた事項などをまず項目で明示すべきである。各論的に議論した内容については系列的、事項的に記すとともに、付言的に強調すべきことを記せば良いのではないかと思う。
(9) ダム下流に住む住民の恐怖感やふるさとを追われる方々に対する、心理的なアフターケアをして行く必要があると思う。
(10) 環境に配慮するとか、壊された自然環境を復元すると言うが、一度壊した生態系を復元することはある意味では不可能である。壊してしまったら駄 目であり、できる範囲内のことを明確に記載しておく必要があると思う。
(11) 河道改修などを行う際には、河川にかかわる地域の方々の要望や意見を聞きながら進めていただきたい。
(12) 上下流の運命共同体と言うか、一体としての流域に対する意識の変革というか、そのようなことも大切ではないかと思っている。
(13) 流域全体の共生とか、共存、共栄とかいう意識を是非入れて頂きたい。
(14) 三河湾の浄化に関連して、高度処理も含めた下水道の整備について考えて頂きたい。
(15) 上流の人達がダム完成後も、森林保全とか環境保護のための仕事で働けるような方向付があれば良いと思う。
(16) 上流から下流まで通しての水質保全が必要だと思う。それがなければ河川の生態系を維持することもできないと思う。
(17) 河川を中心として考えるのではなく、流域全体で考えた方が良いと思っており、特に水を大切にするとか、大事にするとかいう人づくりが重要であると考えている。
6. 以上の意見などを踏まえて、提言原案をまとめることとし、委員への最終的な確認方法などについては委員長に一任された。
7. 今後、河川管理者は提言を受けて整備計画原案を作成することとした。
 
以上

↑ページのトップへ戻る