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第9回豊川の明日を考える流域委員会議事概要

豊川の明日を考える流域委員会事務局
 
日時:平成11年12月22日(水)午後1時30分〜3時45分
場所:豊橋市職員会館 5階会議室
 
1. 委員長ご逝去のため、副委員長代行で審議した。
2. 新委員長については、次回流域委員会までに新たな委員を委嘱し、次回流域委員会で互選する。
3. 第8回流域委員会で配布し説明した資料1について一部訂正した。
4. 第1回及び第2回準備部会について、部会長からの説明は次のとおり。
(1)
2人の学識経験者から意見をいただいたが、再度来ていただくこととした。
(2)
河川整備計画の具体案について討議する前に、これまでの流域委員会で出た質問や意見に対する事務局からの説明について納得していない委員もみえるに違いないため、次の3点について次回流域委員会までにわかりやすく整理し直すこととした。
[1] 基本高水のピーク流量7,100m3/sの根拠について
[2] 利水計画の考え方について
[3] 霞堤のもう少し詳しい情報について
(3)
従来から河川管理を行ってきているので、事務局として今後の河川整備についてのイメージを持っているはずであり、それを出してもらうこととしたが、その前に豊川の治水の現状についてのより具体的な説明を聴いたので、その説明をこの流域委員会でもしてもらうこととしたい。
5. 豊川の治水の現状として、準備部会で作成した図面により、支川や霞の位置、河川堤防や内水排水機場の整備状況、昭和54年10月洪水における浸水区域、基本高水のピーク流量及び戦後最大洪水のピーク流量と計画高水位との関係等について事務局より説明した。
6. 審議の中で委員から出た意見、質問と事務局からの説明は次のとおり。
(1)
霞の面積は全部でどのくらいあるのか。
手元に資料がないので、次回に説明する。
(2)
洪水調節必要量3,000m3/sのうち、設楽ダムによる1,000m3/sの残り2,000m3/sについては、霞堤を締めない場合は、霞堤へ逃がすという考えなのか。
残り2,000m3/sの洪水調節について、将来的にどうするかはまだ決めていないが、計算上は霞堤を締めることとしている。
(3)
霞堤の締め切りは不可能ではなかったか。
霞堤で洪水を受けさせるためには、石田地点から霞堤までの間においても引堤などの河道整備が伴うため、計算上は霞堤を締めることとしている。
(4)
霞堤を締めることは前提とした考えで、設楽ダムで1,000m3/sを背負わせ、後の2,000m3/sを何とかした後に霞堤を締めるというのが基本的な考え方か。
基本高水のピーク流量7,100m3/sの計算において、霞堤を締めた計算をしているのであって、具体的な整備に当たっては今すぐ締める状況になっていない。
基本方針の100年先、200年先のレベルでは霞堤を締めた形で計算しているが、1回目の整備計画の20年、30年の間は霞堤を全て締め切ることはできず、設楽ダムができた後の2回目の整備計画でも締め切れないと思う。
(5)
記憶に残っている近年の大きな水害である昭和54年10月洪水の時の主な被害はほとんど霞堤の区域であり、乱暴な言い方をすれば霞堤の区域をどうやって安全にするかが整備計画における治水の目的ではないのか。だから、霞堤を締めるか締めないかという質問には答えにくいと思う。
(6)
仮にダムを造らずに霞堤を締めたら、市街地に相当な被害が予想されるのか。
戦後最大洪水の昭和44年8月洪水と同じ4,600m3/sの洪水が出た場合、霞堤があると洪水の流下可能な区間があるが、霞堤が締めてあると石田地点から牛川の霞堤までの全区間が危険な状態になる。
(7)
将来的に3つのダムができなければ、現実問題として霞堤は締められないということか。
洪水調節に必要なダムが全てできるのは、基本方針レベルの遠い将来の話であり、現実としては、ダムや河道の状況等を考慮しながら少しでも減災対策をしていくことを考えている。
(8)
7,100m3/sで考えると、全てのダムができなければ霞堤は締められない事になるが、取りあえず4,000m3/sや5,000m3/s程度の洪水を想定すれば、河道の掘削などにより対処できることになり、そういう議論になってくると思う。準備部会では、現時点で掘削を考えている範囲を示してもらったので、ここでも示してもらいたい。また、河道という連続したものの中に1箇所でもマウンドのような流下阻害があれば、その上流が堰上がるものであるため、その掘削想定範囲は浚渫が著しい効果を上げる区間と考えてよいか。それから、河川の中の民地を示してもらいたい。
この掘削範囲は、石田地点で計画高水流量の4,100m3/sが流れたときに、それより下流の河川水位が計画高水位以下になるようにするために必要な掘削範囲を概略示したもので、やはり狭窄部を掘削することになる。掘削は低水路の河岸で、高水敷の樹林の伐採と掘削を想定しているが、実施に当たっては、生態系等の環境や河川の利用面などを考慮しながら詳細な調査を踏まえて行う。また、堤防を守るためにはある程度の高水敷の幅が必要であり、掘削できる幅にも限界がある。それから、塩水の遡上や将来の維持管理面を考慮して、現在の河床を掘り下げることは考えていない。
(9)
河床を掘削すると魚類に影響はあるのか。
浚渫により河床を掘り下げても、動ける魚類などは住めるが、貝類など水深が深くなって生息できなくなる場合は補償したケースもある。なお、豊川の場合は高水敷の多くの部分が民有地で、そこを掘削する場合には土地と立木の補償をしないと掘削できない。
(10) 設楽ダムの予定地も全部民地であり、単価は違うが買収という点に関しては同じではないか。
河道整備についても買収は伴うので、条件は同じである。
(11) 現状の把握について大変わかりやすくなった。
(12) 霞堤を全部締めたらどうなるか、環境問題は別にして民地を全て買収して掘削しとことん人工化された川にしたらどのくらい流せるかなど、そういうものを全部見せてほしい。そして仮にダムなしでいこうとしたら、全く別の部分でこういう規制が出てくるというようなものを示してもらいたい。
(13) 河川内の民地の歴史を教えてもらいたい。また、いつからどういう理由で国有地を持ったかは調査しているのか。
調べてみないと分からない。
(14) 霞堤にこだわるのは、ダムと霞堤のどちらが豊川にとって利があるのか。そして上流と下流の利害関係がどうなるのか。今すぐでなくてもいいので、いろいろな立場で事務局の考え方を聞きたい。
上流ダムによる3,000m3/sの洪水調節の代替方法としては、堤防の嵩上げ、引堤、河床の浚渫、遊水地がある。堤防の嵩上げについては、現在の河道で7,100m3/sが流れると、水位が河口から14km地点で現在の堤防高より約2.8m高くなるため、住宅地と水位の差が大きくなって危険度が増し、13くらいある橋梁を供用しながら持ち上げなければならないために非常に費用がかかる。引堤については、約5,000戸の民家を移転しなければならず、橋梁の架け替えも必要となる。浚渫については、水位上昇や家屋移転はないが、生態系への影響や塩害が出てくる。遊水地については、霞堤の中には住宅が相当あって開発計画もあり、また遊水地より上流の河道改修も必要になる。これら代替案に必要な費用を概略試算すると、引堤が最も高く、5,000m3/sを流れるようにするだけで約1兆円の費用がかかる。嵩上げについては7,100m3/s対応で約4,500億円、浚渫については約3,500億円、遊水地についてはそれより上流の改修を嵩上げで行い遊水地内の用地も買収ではなく地役権設定した場合でも約4,000億円の費用がかかる。これらに対し、3,000m3/sの洪水調節のための上流ダムに必要な費用は約2,500億円であり、これらを総合的に判断して現在のような計画となっている。
(15) 残り2,000m3/sの洪水調節施設の説明はできないか。
できない。
(16) ダムの代替方法として、堤防の嵩上げ、引堤、浚渫、遊水地とあるが、どれか一つの方法で対応するのではなく、実際に行う場合を考えていくつかの方法を組み合わせた案をできるだけたくさん出してもらいたい。
嵩上げと引堤では、水位への影響が異なり、水面勾配の問題がある。
嵩上げは計画高水位が上がり、万一破堤したときの被害が非常に大きくなるため、全国的にもあまり例がなく、浚渫も費用は安いが河口部の深さや潮位との関係で限界があるなど、想定できるケースはかなり絞られてくると思う。
(17) 牛川の霞堤は、現在開発計画があり、市役所の真裏という非常に貴重な場所で有効利用したいため、できれば閉めることを検討してもらいたい。その他の霞堤も今すぐ閉められないとしても、できるだけ減災対策により安全度を高めることを希望する。ただ、それによって豊川の危険度が本当にどれだけ増すのか考えなければならないので、その辺の判断材料が必要である。
早急に検討したい。
(18) 豊川は土砂が出にくく、土砂災害の少ない河川であるが、生態系から見た瀬と淵とか、瀬の産卵場のリフレッシュという意味からも、土砂の問題は重要な気がする。
(19) 浚渫した場合に塩害は考えられるのか。
(20) 水田としては、下流の神野新田での塩害はあるが、むしろ豊橋市の上水で渇水時に塩分濃度が水質基準の200ppmを超えると思う。
(21) 塩分濃度が上がる範囲はどの辺までか。塩分が遡上する地点より上流で浚渫すれば塩害の問題はないのではないか。
縦断的な塩水遡上の調査は行っていないが、豊橋市上水の取水地点で塩分の連続観測をしている。最近では、平成6年、8年の渇水時に塩分濃度が上がっているが、数百mg/l程度であり、この地点ぐらいが用水として障害の出る上限と思う。
(22) 豊川用水などが整備されてきたこの30年間に、豊橋市の人口は1.5〜1.6倍に増えているが、奥三河の人口は半分くらいに減っている。また、所得については、上流と下流では数倍の格差が出ており、流域の一体化を考える場合、上下流の所得格差は慎重に検討する必要がある。穂の国森づくりの会では、水源地の森を守るために下流から上流への資金の環流を考えているが、河川整備計画の中でもソフト面を検討する必要を感じている。
いろいろ勉強していきたい。
(23) 7,100m3/sがどういう森林の状態を想定しているのか分からないが、水源涵養林の整備状況によってどう違ってくるかも河川整備計画の中で考えていくべき。
7,100m3/sの根拠については、準備部会で指導を得ながらまとめていきたい。
(24) 霞堤など、市町村の境界を越えた問題が発生しており、東三河全体のポテンシャルをいかに生かしていくかという観点で、豊橋市がリーダーシップを取り、東三河広域連合のような組織で豊川の問題を検討していくことが必要ではないか。
(25) 市町村の意見を聞く場を設けられるということなので、その中で一緒に検討できると思う。河川敷の利用についてはいろいろ希望がある。環境には絶対ふれずに安全にしろというのは無理な気がする。河道を広げることによって樹林が失われるなら、代替的な樹林をどこかにつくることを計画の中に盛り込んでもらいたい。塩水の遡上も心配であるが、上流の工事で伏流水の水脈が遮断されることを心配している。
(26) 7,100m3/sと利水との関係はどうなっているか。
豊川の場合、低水時の流量も含めて利水上の問題を解決するための方策は、ダムに不特定容量を確保することが基本となっている。そのダムが治水目的を含む多目的ダムの場合は、ダムの代替案が治水と利水を含む幅広いものになる。
今日は治水を中心に説明しているので利水とは切れているように思えるが、治水上も利水上も現状で問題を抱えているので、同時に解決する方策を考える必要がある。
(27) インターネットのホームページや公聴会などで、流域内のできるだけ多くの人の意見を聞いていきたい。
(28) 豊橋市では市民の提案によって公園づくりをしている感じがするが、霞堤の中を含めた河川公園づくりを地域の人に意見を聞いたり、直接参加してやっていくのも一つの方法ではないか。
(29) 現在は、利水については設楽ダムを造れば全て良しという感じで、その辺に疑問がある。豊川の治水や利水に関係する自治体の首長に河川整備計画を説明する場を設けられるという話があったが、上下流の問題を含めて相当突っ込んだことを豊橋市長が中心となってやってもらわないと、地域の首長が納得し世論喚起することができない気がする。
非常に重要な視点であり、豊川は国家的見地から水利用がなされている水系でもあるので、きちんとしていきたい。
7. 次回の準備部会は、1月24日13時から15時まで豊橋工事事務所で行う。次回の流域委員会は、その後に日程を調整の上開催する。
8.
平成12年度の設楽ダムの予算について、事務局からの説明と質疑は次のとおり。
平成11年度の設楽ダムの予算は、調査段階のダムとしては破格の10億円であり、来年度も同じである。このような予算が2年続くといった現実を踏まえながら、流域委員会から多くの意見をいただくと同時に、地域ができるだけ早く是非つくってもらいたいという話も受けていることも、頭の中の一部に入れていただけるとありがたい。
(1)
部分的な整備計画もあり得るということか。
初めてのケースであり、組織としての見解はないが、中間答申的に設楽ダムを整備計画に位置づけるということも選択肢としてあるのではないかと思う。
9.
第8回流域委員会の議事概要については、意見があれば後日伺い、了解が得られれば公表する。
以上

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