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第8回豊川の明日を考える流域委員会議事概要

豊川の明日を考える流域委員会事務局
 
日時:平成11年12月3日(金)午後9時30分〜12時
場所:豊橋市職員会館 5階会議室
 
1. 委員会設置要領第4条第3項に基づき、委員長が中村俊六委員を副委員長に指名された。委員長欠席のため、副委員長代行で審議した。
2. 第7回流域委員会の議事概要については、あらかじめ各委員の確認を得ている。
3. 本日の議題について、配布した資料に基づいて次の事項について事務局から説明した。
(1) これまでの討議の総括として、豊川の河川管理に関する主要事項の歴史について、資料−1に基づいて説明した。
(2) 河川整備計画の策定に向けてとして、河川法改正の内容、豊川水系河川整備基本方針の内容、河川法施行令で定められている河川整備計画を作成する上で考慮すべき3つの事項(・洪水、高潮等による災害の発生の防止又は軽減に関する事項、・河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項、・河川環境の整備と保全に関する事項)に係る現状と課題、河川整備計画の実施に関する目標を踏まえた河川整備計画の構成案について、資料2−1及び資料−3に基づき説明した。なお、河川整備基本方針の中で、基本高水並びにその河道及び洪水調節ダムへの配分については、結果として従来の工事実施基本計画の内容を踏襲しており、この流域委員会でも議論されたので次のとおり補足説明した。河川整備基本方針では、昭和46年に策定された工事実施基本計画の内容について、その後に発生した洪水の状況、自然的条件及び社会的条件の変化等を総合的に考慮して必要な見直しが行われた。具体的には、従来の基本高水のピーク流量 7,100m3/sを見直しする必要性について、現在までの雨量や流量データを含め、2つの方法で検証した。一つは流量確率による評価で、平成8年までの毎年の流量データから 150年に1回の確率で発生する可能性のある規模の流量は、予測に用いる手法により差があって5,800〜7,200m3/sの幅があり、基本的にこの範囲内に計画値が入っていれば妥当ではないかと判断している。もう一つは実際に起こり得る流量であるかどうかで、実績の洪水としては 6,000m3/sの洪水があったが、仮に前期降雨があって流域が湿潤状態のときにこの洪水と同じ雨が降れば 7,500m3/sとなり 7,100m3/sを超える洪水が実際に起こり得ることを確認している。また、流水の正常な機能を維持するため必要な流量の5m3/sについても同様に最近のデータを含めて検証している。また、県管理区間の河川整備計画について次のとおり説明した。県管理区間についてはまだ手を付けていないが、基本的な構成は大臣管理区間と同様な形になる。県管理区間は、河川数や関係市町村数が多いため、新城市と豊橋市の市境いで上流と下流の2つの計画に分けて策定する予定である。策定時期については、大臣管理区間との整合を図るために大臣管理区間の策定後に検討する。
4. 審議の中で委員から出た意見、質問と事務局からの説明は次のとおり。
(1) 計画高水流量図で、豊橋地点の2,850m3/sと放水路の1,800100m3/sの計4,650m3/sと当古地点の4,550m3/sとの差の100m3/sは、その間の支川流入量か。
そうである。
(2) 河川整備基本方針の有効期間は何年くらいで、途中での見直しはあるのか。また、中部地建から基本方針の変更という要求はできるのか。
かなり個人的な見解であるが、河川整備計画は20年程度で見直しすることとなり、その時点で世の中が変化していれば、基本方針を見直すこともあり得ると思う。また、流域委員会から基本方針に対し、例えばこういう理由で基本高水が大きすぎるというような意見があれば、その意見を東京に上げる。それをどう反映するかは東京で考えると思う。
河川審議会でも同じ議論があり、基本方針と整備計画との関係に矢印はなく、社会的情勢の変化等により見直すことがあると説明されている。
(3) 河川審議会のある委員に、基本方針に対して流域委員会として疑問や意見があった場合、質問書や意見書を河川審議会に提出できるか伺ったところ、提出は建設大臣宛にしてくれとのことであった。
(4) 基本方針を関係する流域の首長へ説明することはあるのか。
直轄区間沿川の5市町の担当課と豊川改修促進期成同盟会を対象に説明会を開催した。流域については整備計画に関わる行政間の調整の場を今後設けることを考えており、また個別にも情報を提供していく。
(5) 流域委員会での議論を首長に情報提供することは考えているか。
行政間の連絡調整の場が設けられれば、その場で報告することになるが、これまでも個別に説明してきている。
(6) 資料−1で、正常流量、制限流量、確保流量が治水編にだけ入っていないが、流水の正常な機能の維持は治水の概念ではないか。
洪水対策も低水時の管理も広い意味では治水になるが、ここでの治水は洪水対策をまとめたもので狭い意味で取り上げている。
(7) 原生自然的な手つかずの自然の地域、二次的な自然で生物の多様性が図られている地域、開発が進んで自然回復を図らなければならない地域とあるが、これらについて今後の河川としての取り組みをどうするかという視点が必要で、河川環境という概念の位置づけが必要ではないか。
(8) 基本方針に150年に1回という計画規模の記述がないがなぜか。
基本方針の目標は洪水による被害を最小限にすることであり、本来上限はない。しかし河川法で定められている施設計画をする上では何らかの数字が必要であり、治水では基本高水のピーク流量が、利水では正常流量が示されているが、その計算過程は基本方針本文には入っていない。
(9) 豊川の将来像を考えると流域の一体化が一番大事であり、豊川が閉鎖性水域の三河湾に流れていることから、河川から見た三河湾について相当触れていく必要があるのではないか。大学で山と海と川の一体的な研究を総論でなく相当専門的に行うことが、東三河地域の将来像を考える場合に最も重要であると思う。
前回の流域委員会でダムにより洪水流量が減った場合の三河湾との関わりについて質問を受けており、検討を始めているところである。いろいろな要素が絡み合って川から見た対応だけで解決する問題ではないと認識しているが、雨が川を流れて海で蒸発するという水循環系の一つの構成要素として、三河湾の問題を流域の諸問題の一つとして、関係機関、地域との連携のもとに、健全な水循環系を構築するということになれば整備計画に入れる部分もあると思う。
(10) 設楽ダムの治水効果が全体の3分の1しかなく、他の3分の2については計画に入っていないが、何も考えていないということか。
整備計画では、今後20年から30年に実施する事業について検討するもので、現在実施計画調査が進展している設楽ダムを盛り込んでおり、残りの洪水調節施設については、これ以降の整備計画の課題だと考えている。
洪水調節が必要な 3,000m3/sのイメージは持っており、そのうち設楽ダムで1,000m3/sを調節することは事務局の考えであって、流域委員会ではまだ議論はされていない。残りの2,000m3/sについては公表できるほどに熟度が達していないが、将来流域委員会で議論され位置付けされなければ基本方針の変更もあり得る。
(11) 河川整備計画について、流域の市町村の意見を反映できるのはどのような場か。
流域の行政機関が集まって調整する場として、行政懇談会というものを今後設置する予定にしている。
5. 豊川の将来像のイメージについて、委員からの意見は次のとおり。
(1) 治水、利水機能はもちろんであるが、今後、高齢者が増えたときの利用場所や街中では少ない遊び場として、河川の持つ自然環境や水辺空間を生かした地域住民の憩いの場が河川に沿ってできたらいい。
(2) 豊川から見た三河湾等流域の一体的な検討をすること、インターネット等できる限り公開を進め、いろいろな市民の意見を聴くこと、環境の保全だけでなく自然環境を取り戻していくことが重要である。
(3) 水源地域としては、設楽ダムの重要性をもっと強調できるような形が必要である。特に、森林の持つ保水機能をどう保全し維持していくかが設楽ダムという問題を踏まえた上では重要であり、実行できる方策を議論してもらいたい。また設楽ダムの方針に関するもう少し具体的な議論がされるとありがたい。
(4) 豊川での当面の一番大きな課題は設楽ダムに関わる問題だと思う。
(5) 基本高水のピーク流量7,100m3/sについては、あれほど議論しても疑問が残っていたが、基本方針ではその数値が変わらなかった。そして流量確率を計算しても7,100m3/sは妥当であり、既往最大洪水を流域が湿潤状態であると想定して計算すると7,500m3/sになり得るという追加説明があった。基本方針にそのまま出てきたことに対して、不信感を抱き続けることを一番恐れたが、皆さん納得したようで安心してもいいのかなという気がする。
(6) 7,100m3/sが妥当かどうかは疑問に思っているが、地球温暖化等の環境変化によって、ある地域では砂漠化が進み、ある地域では大洪水が起こるという現状において、20年先のことを数値で裏付けることはほとんど不可能である。日本でも九州で集中豪雨が多くなっているが、将来何%増やせばいいかは非常に難しく、現段階でそれを決めるには過去の実績及び統計資料からやらざるを得ないと思う。また、河川環境としては、江戸と隅田川、京と鴨川の例からも河川と都市開発は切っても切れない関係にあり、東三河の人たちが豊川に親しみを持ち、何らかの接触を持つような、心を豊かにするような環境ができればと希望している。
(7) 自治体が上流と下流に分かれていると利害関係みたいな感じでぎくしゃくするが、流域一体となって東三河全体が栄えていく方向を目指すことが必要である。7,100m3/sについては、集中豪雨の頻発もあり計算からはあり得ないことではないと思う。ただ、残り2,000m3/sの洪水調節のために上流の村が消滅するのでは、流域全体が助け合って暮らしていくという社会を将来的に壊すことになりいけないと思うが、今回の整備計画には入らない話なので、取りあえず割り切って、それ以上深く考えないことにしようと個人的には思っている。豊橋市役所の13階からとてもきれいな豊川の眺めが見え、市民にとっても心のふるさととなっており、この美しい姿を残してほしい。洪水への対応のため手を加える必要がある場合は、自然の再生等に最大限取り組んでもらいたい。地下水は水道の大切な水源であり、保全しなければ将来禍根を残すことになる。霞の取り扱いも非常に大きな問題であり、基本方針の中では将来閉じられるが、遠い将来のことであり、被害を軽減する方策を考えるなど地元の要望も整備計画に反映してもらいたい。(霞について、「基本方針の中では将来閉じられる」という発言に対する事務局からの説明は次のとおり)
従来の工事実施基本計画における流量配分は、霞の締め切りを前提にしたものであり、基本方針はそれを踏襲していることに間違いはないが、基本方針の中で霞そのものの取扱いについて意志決定しているものではない。
(8) 豊川は、流出量に対する水利用量の割合が非常に高い河川というイメージがあり、水利用がこの地域の発展の足かせになる時代が近づいてくるのではないか。水の利用率が高まるほどダムで調整できる量もなくなってくるので、広い意味での治山、治水をもっとしっかりやる必要があると感じている。また、基準年を昭和43年にすることで利水安全度が向上するのかわからないが、利水安全度は1/10に向上させてもらいたい。
(9) 上流域では人工林が多く、自然林が非常に少ない。全国的には温暖化によりブナの原始林がどんどん北上しており、将来枯れつつある人工林のメンテナンスによって保水の量は大きく変わるので、それも将来計画に入れた方がいいのではないか。
(10) 治水、利水、環境について知らないで川や水を利用するのと、関心を持って活用するのでは、随分利用の仕方が違ってくると思う。小さい頃から川や水が自分たちの生活と大変な関わりがある事を理解していれば、関心を持ち自分たちも協力していこうという気持ちになる。学校においても簡単な利水、環境の教育をしているが、川を活用した教育環境の整備も整備計画の中に入れてもらいたい。特にたくさんの子供たちを連れていくことから安全面の配慮も必要である。
(11) みんなの川づくりの時代が始まったと今強く感じるが、みんなとは誰なのか、みんなの川とは何なのか、この委員会の中で勉強できるかなと思っている。
(12) 宇連ダムができて約40年経つが、ダムにはほとんど堆砂していない。地質は複雑であるが、日本全体の中では安定した流域であり荒廃地域ではないと思う。ただ、水源涵養という意味ではもっと山の手入れをしていく必要はある。
(13) これからの川づくりは行政だけではとてもできない時代になる。NPO等いろいろな組織ができ、そういう市民を巻き込んだ形で豊川のことを考えていくことが必要だ。
6. 準備部会規則(案)について、提案のとおり了承された。なお、準備部会規則第4条第3項について、自治体の長のみ代理出席できることになった。
7. 次回の流域委員会は、12月22日午後1時30分から4時まで、この会場で開催する。
以上

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