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第6回豊川の明日を考える流域委員会議事概要

豊川の明日を考える流域委員会事務局
 
日時:平成11年7月12日(月)午前9時30分〜12時
場所:ホテル白豊 4階慶雲の間
 
1. 委員長から、冒頭挨拶の中で、本委員会の議論の足りないところを補うための専門委員会をつくることについて、基本方針が出た後に改めて提案したいとの意見があった。
2. 第5回流域委員会の議事概要について、配布された(案)のとおり確認された。なお、議事概要に関連して、第5回流域委員会で配付した資料の一部訂正について、今回配布した資料に基づいて説明した内容は次のとおり。
昭和34年9月型で 285.1mm/日の場合の流出計算結果は、前回配布した資料では 5,568m3/sとなっていたが、これは計算条件の入力ミスがあったので 5,300m3/sと訂正する。昭和44年8月の実績が 276mm/日で 4,770m3/sなのに対し、この 5,568m3/sは説明しきれないほど大きいがなぜかという委員からの質問があったが、訂正後の 5,300m3/sは、雨量の差、降雨パターンの違い、モデルと実績の差の積み重ねによるものとして説明できる。
3. 利水について、配布した資料に基づいて事務局及び愛知県水資源対策室から説明した内容は次のとおり。
(1) 河川における利水計画では、渇水時においても河川の生態系等を維持しつつ、将来の水需要を含めた必要な用水が安定的に取水できるように、ダムなどの水資源開発施設を計画的に整備していくことが重要である。この利水計画に必要な要素は3つあり、1つは将来を含めた水需要で、これには各県が長期的な地域づくりの指針として策定している地方計画と、国土庁が水資源の総合的な開発及び利用の合理化の基本となる計画として策定している水資源開発基本計画の2つの計画がある。2つ目の要素は河川における流水の正常な機能を維持するために必要な流量で、河川の基準となる地点においては正常流量といい、工事実施基本計画の中で定めることになっており、牟呂松原頭首工下流でおおむね5m3/sとしている。3つ目の要素は水供給能力で、建設省が造れるダムは洪水調節機能を有するダムで、新規利水などの目的を加えた多目的ダムとすることによって水資源開発施設となる。この他水資源開発公団、農林水産省等が施工管理するダム等もある。
次に、ダムの必要容量については、利水計算によって求められ、まず、現況と将来の水供給施設と水利用形態に合わせて、利水計算モデルを作成する。利水計算の基本データとしては、実測流量から既に行われている取水やダム運用などの人為的影響を戻した自然流況と、現況及び将来の水需要量が必要で、条件データとしては、河川における流水の正常な機能を維持するために必要な流量を各地点毎に制限流量又は確保流量として設定する。利水計算では、計算期間を昭和21年10月16日から昭和61年10月15日までの40年間のデータを用い、10年に1回程度発生する規模の渇水に対しても安定的に取水できる(利水安全度1/10)ように、計算期間の40年間のうち4番目に大きな渇水の年(不足量が4番目に大きな年)を基準年とし、この基準年(豊川では昭和43年)で不足量がちょうど0となるようにダムの必要な容量を設定する。
将来の水供給施設には、水資源開発基本計画に記載されている豊川総合用水施設と設楽ダムがある。現在の水利用の実態としては、ほぼ毎年取水制限が行われており、平成7年度に試算した結果によると豊川では4年に1回程度ダムが空になる。水資源開発基本計画による水需要想定では、新規部分が全て豊川用水地域であり、この地域における計画策定時の需要量が年間平均で約 8.9m3/sあり、それが平成12年までに約14.3m3/sと約 5.4m3/s増えることとなっている。その内訳は、水道用水が約 2.3m3/s、農業用水約 3.1m3/sで、当面の施設として、豊川総合用水施設で 3.0m3/s、設楽ダムで約 1.1m3/sの計約 4.1m3/sを確保することとなっている。
(2) 愛知県の地方計画は、長期的な愛知県の地域づくりの指針として、目標年次を2010年とした「新世紀へ飛躍〜愛知2010計画」を平成10年3月に策定した。この中で水需要の推計については、渇水に強い県土づくりを目標に、地方計画のフレームに基づいて、流域単位に尾張、西三河、東三河の3つの地域区分と、水の用途から生活用水、工業用水、農業用水、養魚用水の4つの用途区分に分けて推計している。生活用水については、総人口に水道普及率と一人一日当たり平均有収水量を掛け、有収率と負荷率で割って日最大給水量を出す。総人口は地方計画から2010年頃までは穏やかな増加を続け、県全体で725万人から750万人程度になると見込んでいる。また、需要推計に関係する一世帯当たりの人数は、現在の2.79人から2010年には 2.5人に核家族化が進むと想定している。その他の指標については、昭和60年から平成6年までの実績を用いて時系列的な回帰分析により将来値を設定している。工業用水については、産業別に3業種に分類し、工業出荷額に使用水量原単位と(1−回収率)を掛けて淡水補給水量を出す。工業出荷額は地方計画では経済成長率を、国が見込んでいる 2.5%に対し、我が国の経済の牽引役を担うものとして 2.7%とし、2010年に県全体で55兆円程度を見込んでいる。回収率は業種により異なるが平均して87%程度と推定している。農業用水については、作物別土壌別の消費水量に面積を掛け有効雨量を差し引いて出す。2010年における東三河地域の水需給見通しは、豊川本川に係る需要量が3億1200万m3/年で、2億3850万m3/年の既得水量(豊川用水で確保されている量)では不足するので、豊川総合用水と設楽ダムによる新規供給可能量9950万m3/年(取水地点に換算して年間平均 4.1m3/sに相当)を2010年時点で確保する計画としている。2010年時点では豊川総合用水や設楽ダムがないと水需給は非常に窮屈となることから、設楽ダムが2010年までに建設される計画として位置付けている。
4. 審議の中で委員から出た意見、質問と事務局及び愛知県水資源対策室からの説明は次のとおり。
(1) 現在の水不足は、渇水に明確に現れている。一方将来としては、産業構造の変革、人口の減少、効率を追求する社会への切り替えというようなことから、水需要は原則としては減少する社会に変わる。しかし、同時に文化や環境を維持、保全していくための新しい産業を支えるための水需要が生まれつつある。また、新しい文化サービスの観光産業も大きくウェイトを占める時代が来て、その面の水需要も増える感じがする。水道用水については、人口が日本全体では2005年がピークであるが、県の提案では2010年くらいをピークにしており、東三河地区は三遠南信を含めた地方分散のモデル地域として人口が漸増し、高度な市民生活が形成されるという意味で、水道用水が2010年まで漸増するという提案は極めて適切であると考える。工業用水については、まず、生活関連産業に、流通、商業、医療という分野での水需要が含まれているのか質問したい。県の水需要の見通しでは、東三河地区は △1,800万m3/年と減る形になっているが、東三河の工業用水は限界まで有効利用されており、国際的な流通センターやリサイクル等を含めた環境産業のセンターとして計画を進めていることから、今まで以上に工業用水の需要が発生すると考える。農業用水については、水利用の効率化を精力的に進めていく必要があるが、東三河地区の日本一の農業地域を今後とも高収益農業として確保していくことは非常に大事であり、日本の食糧需給の観点からその役割を果たすためにも、農業用水の需要は引き続き必要になってくると思う。このような点から考えると、水需要について日本全体では多分減少していくと思うが、当地域では漸増する見通しが必要と思う。
業種区分については、水利用の原単位が違うものを大まかに分けており、基礎資材産業には、化学工業、石油製品製造業、金属製品製造業、鉱工業等が、加工組立産業には、電気機械器具製造業、精密機械器具製造業等が、生活関連産業には、プラスチック、紙・パルプ製造業等が分類されている。流通や医療については、水道用水の中の都市活動用水となり、小工場など水道用水を使っているものも含めて、水道用水に含まれている。また、水需要の見通しで工業用水の新規必要量が △1,800万m3/年とマイナス表示しているが、これは既に確保されている水量のうちの2010年時点での未利用水量を示しており、この量については、2010年以降に需要が発生するとしてこのまま確保していくこととしている。
(2) 水需要のデータの単位を統一して同一軸上に並べ、わかりやすい形にしてもらいたい。また、水資源開発の目的には、渇水河川として現況利水安全度の1/4を通常の1/10にすることと、将来の水需要を確保することに分かれると思う。この利水安全度について、グラフ上のどこかに線を入れることによってわかりやすい形に表現できるのではないか。
意見になるべく沿えるような形で再整理したい。
(3) 既定の豊川用水の基準年は本来昭和22年であるが、今後、昭和43年の基準年で水資源開発することについての議論はこれからであると思う。
(4) 水需給の見通しについては、尾張、西三河、東三河に分けているが、基本的な考え方として、尾張地域の工業用水の余裕を東三河地域に回すという考えはないのか。やはり、流域として独立して安全を確保するのが基本方針なのか確認したい。
尾張地域では、名古屋市分も含めて長良川河口堰の工業用水にまだ需要が発生しておらず、この使い方について県の中で検討している。ただ、基本的に従来から流域単位で計画しており、現段階で東三河に回す議論はしていない。基本的には流域単位で水需給バランスを図っていきたいと考えている。
(5) 土地利用としては、農地は減ることになっているが、農業用水の新規需要が増えるのはなぜか。
農地は確かに減っているが、例えば施設畑(ハウス物)の増加等、豊川用水を計画した当時とは作物の内容や営農形態が違ってきて水需要量が増えている。次回にその内容を説明できるようにしたい。
(6) 水需要予測が一つのモデルに基づいてこれが絶対だという説明であったが、経済のマイナス成長、雨水の有効利用、環境問題を考えれば、必ずしも右上がりに上昇するとは考えられれない。将来について考えられることをもっと仮定してモデルをつくってもらいたい。
地域計画における水需要予測は、一つの指標であり絶対というものではない。具体的に事業を進める場合には、農業であれば土地改良事業計画を、水道であれば水道の事業計画を、その時点で見直しながら策定している。
5. 次回は、8月下旬か9月始めに、利水についての説明の残りの分を含めて開催する。
以上

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