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第5回豊川の明日を考える流域委員会議事概要

豊川の明日を考える流域委員会事務局
 
日時:平成11年5月24日(月)午後2時〜4時56分
場所:ホテル白豊 5階鳳凰の間
 
1. 第4回流域委員会の議事概要について、配布された(案)のとおり確認された。
2. 治水について、配布した資料に基づいて追加説明した内容は次のとおり。
(1) 昭和38年の改定計画では、まず計画の規模として、過去の雨量、水位、流量データから確率規模別流量を求め、既往最大流量相当の計画規模となる 1/100相当とした。実績降雨量データは、明治26年から昭和35年の67年間のデータを使用し、降雨継続時間としては、一洪水の主要部分が2日に及ぶようなものはないので日雨量を用いた。降雨量の確率評価は、対数正規確率紙にハーゼンプロットの方法により年最大流域平均日雨量をプロットして推定し、さらに、日雨量から24時間雨量に変換して、291.0mm/24hrを 1/100計画降雨量とした。計画降雨パターンは、昭和28年9月型、昭和33年8月型、昭和34年9月型の3つの実績降雨パターンから昭和34年9月類似型を採用した。流出解析モデルは、単位図法、合理式、中安総合単位図法(I)、同(II)、立神単位図法、佐藤流出関数法の6つのモデルを用い、各モデルを7つの実績洪水波形で検証した。これらの流出解析モデルに計画降雨を当てはめた時のピーク流量は、4,120〜5,100m3/sとなり、平均で約 4,700m3/sとなる。基本高水のピーク流量は、このような確率雨量から流出解析によって算出したものに加え、年最高水位より確率水位を求めH−Q式で流量に変換したもの、年最高水位よりH−Q式で年最大流量を求め確率流量を計算したもの、並びに既往最大流量を総合的に判断し、さらに、近隣河川の比流量やモデル台風の雨量により妥当性を検討した上で 4,700m3/sとした。
(2) 昭和46年の改定計画では、まず計画規模を流域の重要度、将来の開発等を考慮して 1/150とした。実績降雨量データは、明治26年から昭和44年の76年間のデータを使用し、降雨継続時間は豊川の特性等を踏まえて1日を用いた。降雨量の確率評価は、対数正規確率紙にハーゼンプロットの方法により年最大流域平均日雨量をプロットして推定し、315.5mm/日を 1/150計画降雨量とした。計画対象洪水は、昭和30年〜44年までの間で時間雨量データがあり、石田地点の水位が 3.7m以上の21洪水から、降雨の地域分布、時間分布が代表的な5洪水(昭和34年9月型、昭和36年6月型、昭和37年7月型、昭和43年8月型、昭和44年8月型)を選定して計画降雨パターンとした。流出解析モデルは、貯留関数法を用い、5つの実績洪水波形で検証した。この流出解析モデルに計画降雨を当てはめた時のピーク流量は、3,720〜7,110m3/sとなった。このうち、最大となった昭和43年8月型の 7,110m3/sから、基本高水のピーク流量を 7,100m3/sとした。
(3) 基本高水のピーク流量の河道及び洪水調節ダム等への配分については、昭和13年計画では、石田地点の基本高水のピーク流量 3,800m3/sをすべて河道で対処することとして、豊川本川を 2,300m3/sとし、放水路へ 1,500m3/s分流する計画であった。昭和38年改定計画では、基本高水のピーク流量の増分 900m3/sの対応として、まず、河道で対応できる限界として拡幅は不可能なことから、放水路の河床掘削で対応可能な 300m3/sについてダム建設や遊水地建設と経済比較したところ、放水路の掘削及び石田地点から放水路までの本川の掘削が 1.3億円必要なのに対し、ダム建設では治水負担分として1.72億円、遊水地建設では石田地点から遊水地までの本川の掘削を含め5.22億円がそれぞれ必要となることから、 300m3/sは河道で対応するものとし計画高水流量を 4,100m3/sとした。残りの 600m3/sについては、ダム建設と遊水地建設を経済比較し、ダム建設では治水負担分として 10.51億円必要なのに対し、遊水地建設では遊水地までの掘削を含め 13.42億円必要となることから、ダム建設で対応することとした。昭和46年改定計画では、基本高水のピーク流量 7,100m3/sと計画高水流量 4,100m3/sの差分 3,000m3/sの対応として、ダム建設と河道での対応を経済比較し、ダム建設では治水負担分として 100億円必要なのに対し、河道での対応では放水路の拡幅となり 350億円必要となることから、ダム建設で対応することとした。
(4) 昭和46年改定計画において、計画対象5洪水におけるダムによる洪水調節効果は、基本高水のピーク流量の根拠となった昭和43年8月型が最も大きく、石田地点で計画高水流量との差の 3,000m3/sの調節効果がある。また、必要な洪水調節容量は、ピーク流量は大きくないものの出水時間の長い昭和36年6月型が最も大きく、 7,770万m3の容量が必要となる。
3. 審議の中で委員から出た意見、質問と事務局からの説明は次のとおり。
(1) 昭和38年の改定計画で用いた6つの流出解析モデルの検証で、標準偏差が一番小さいものが最も信頼できるのではないか。
計画策定時点では、標準偏差に関する検討はしていない。
(2) 貯留関数法の場合、雨の与え方は全流域同じなのか、それとも流域分割したそれぞれの小流域毎に別々なのか。
小流域毎に別々である。
(3) 昭和46年の改定計画で用いた貯留関数法による流出計算結果の違いは雨の降り方の違いにしか求められないが、 315.5mm/日の場合の計算結果が昭和34年9月型の 6,100m3/sと昭和44年8月型の 6,030m3/sでは70m3/sしか違わないのに、昭和44年8月の実績が 276mm/日で 4,770m3/sなのに対し、昭和34年9月型で 285.1mm/日の場合の計算結果が 5,568m3/s(事務局注釈)と説明しきれないほど大きいがなぜか。
昭和44年8月洪水は、貯留関数モデルの検証にも用いており、実績雨量によ る再現計算結果から見ても、貯留関数法がそれ程大きな値を与えているとは考えていない。ただし、昭和44年8月型で 285.1mm/日の場合などの計算結果が手元にないので確認できない。
(事務局注釈)
昭和34年9月型で 285.1mm/日の場合の計算結果 5,568m3/sは、計算条件の入力ミスにより 5,300m3/sの間違いであった。次回の流域委員会で補足説明する。
(4) 昭和38年の改定計画における流出計算結果と比較すると、貯留関数法による流出計算はやや大きめの値が出る可能性があること、また、5つの計画対象洪水のうち、最も大きい値となった昭和43年8月型を採用していることから、治水から見て安全側の値を計画値として設定したことは否定できないのではないか。
流出現象の非線型性を現すために貯留関数法を用いているが、雨を引き伸ばしたときにも合うかどうかは、同じような規模の洪水で検証しないと確認できない。豊川の場合、かなり大きな洪水で検証しているのである程度合っていると思うが、ご指摘の点については、今後の計画策定の際によく見ておきたい。
(5) 昭和46年改定計画における基本高水の計画降雨パターンは昭和43年8月型であるが、ダムの洪水調節容量はどの洪水パターンのものを計画として使うのか。
ダム計画としては、最も大きな容量が必要となる昭和36年6月型での必要容量で計画する。
(6) 現在の計画では霞を締め切ることとしているのかどうか。また、有効利用するとしたらどのくらいになるのか。
昭和46年改定計画では霞の位置と今後の地域開発から締め切ることを前提とした計画となっており、霞を利用しない代替案の検討をしている。
(7) 現在は霞を締め切れない状況にあり、今後、締め切ることについて再考の余地はあるのか。
下流部の流下能力不足と洪水調節ダムがないことから、現状では締め切っていない。現在、区画整理の動き等もあり地元とも話し合いをしている。新しい河川整備基本方針、河川整備計画の策定の中で比較検討し説明していきたい。
(8) 昭和13年計画、昭和38年改定計画はきちんと達成されてきたのかどうか。何が問題点として昭和46年計画となったのか。昭和38年改定計画と昭和46年改定計画とでは基本高水のピーク流量が増えているのに計画高水流量が同じであるが、豊川の場合は、河道分担率が低いことと関係しているのか。また、昭和46年改定計画は何年度を目途に実施しているのか。今後新しい計画が出てくるのか。
昭和13年に直轄改修がスタートし、昭和13年計画に基づき放水路の事業を進め昭和40年に完成している。昭和34年の伊勢湾台風を契機に計画の見直しが必要となり、昭和38年に計画を改定したが、放水路については事業計画の見直しを行い、昭和38年改定計画の 1,800m3/sで完成している。その後、昭和44年に基本高水のピーク流量を上回る大出水があり、昭和46年に計画改定を行った。河道とダムの分担については、資料に基づいて説明したとおり、河道の処理量としては 4,100m3/sが限界であるが、ダム案との比較検討のため、河道でさらに残りの 3,000m3/sを処理できるかどうかを検討して、ダム案とすることに決定した。昭和46年改定計画の内容がいつまでに完成するかは、かなりの期間を要するものであり、いつまでに完成すると言うことはできないが、今後策定される河川整備基本方針に基づいて検討いただく河川整備計画は、20〜30年の具体的な事業計画を盛り込む計画となる。
(9) 昭和46年改定計画で、放水路分派後の本川と放水路の流量の計と分派前の流量、あるいは石田地点の流量と異なるのは何故か。
支川の合流量を計算しているためである。
(10) 霞堤については、地元の要望その他を考慮して締め切る計画との説明であるが、石田地点上流で 3,000m3/sをダムで減らす計画の実現性を考えると、全部ダムに依存するのではなく、小規模な遊水地であっても締め切らずにピークカットに効果のあるものを考えていってはどうか。
霞堤の取扱については、河川整備計画で議論していただく重要な課題と考えている。
(11) 基本高水のピーク流量の 7,100m3/sは、その後のことにも影響するので、例えば流量の確率では何分の1になっているのかとか、説得力を持たなければいけないと思う。
(12) 水源地の森林は非常に危惧すべき状況になっていると理解するが、総合的に調査する動きはあるか。
(13) 今の森林の状況は針葉樹林帯になっている。山林の保水力を高めるためにどうあるべきかを考えていく必要があると思う。
(14) 大きい水害があって昭和46年に計画を改定しているが、また大きな水害がきて計画を変えていたらきりがないと思う。また霞は柔軟性があって治水対策上非常に有効であると思う。
明治以来の近代治水では、洪水と計画の追いかけっこをしてきた。そのため、昭和46年改定計画では確率の概念を用いて 1/150という新しい計画とした。ただ、雨を引き伸ばすことについて話題に出ているが、実際に起こる確率は今の技術でもなかなか評価できない。その辺の説明力のなさが欠点となっている。
(15) 自然現象に対しては、どういう事態が起こるか分からない。ハード面の整備で万全を期すると同時に、情報公開や地域の保障など社会的なソフト面の議論がこれから必要である。
(16) 経済比較に出ているダム建設に要する費用は、ダム本体のみの費用か、用地補償費等を含んだものか。
3,000m3/sの洪水調節をするために必要な仮定のダムを、利水や発電も含めた共同ダムとして想定し、用地補償費等を含めた全体の建設費のうち、アロケーションにより河川として負担すべき分を算定したものである。
(17) この流域委員会で検討する河川整備計画では、例えば基本高水のピーク流量を暫定的に 5,000m3/sくらいに設定するとか、そういう議論ができるのか確認したい。
河川整備計画では、計画期間(20〜30年)で施設として対応できる目標値を定めることになると考えている。
4. 平成11年度の豊川の事業概要について、配布したパンフレットに基づき説明した。
5. 次回は、7月中下旬に開催を予定している。
以上

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