塩尻市に近い小野飯沼川に沿って楢川岡谷線が走っています。国道153号線から3km地点に中村地積があります。
標高970m地点から崩壊しました。滑落崖は幅約30m、地形変換点(古い段丘)から集落に向かって、長さ約100m、幅約15mにわたって土砂が流出し、家屋2棟と物置などを倒壊させました。北斜面で68歳の女性が死亡しました。
小野雨量観測所の連続雨量は311mm(17日〜19日)、最大日雨量193mm、最大時間雨量28mmとなっています。平成18年7月25日14時28分に、滑落崖に吹き出した湧水の水質調査(pH:5.99、水温:16.1℃、EC:0.007ms/m、水温18.1℃)を行いました。源頭部周辺はヒノキ、アカマツ林でした。
土砂流出の土塊は崩積土でした。基盤は古生代後期の二畳紀を起源とする奈良井層(礫岩、チャート、粘板岩及び砂岩)で、領家帯の最も変成度の弱い地層でした。崩積土は、砂岩の砕片を含むローム様難透水層が、基盤と崩積土との境界面に不連続に存在していました。パイピング現象が随所に見られました。滑落崖には、湧水が豊富にありました。崩落土は約10,000m3でした。
図-1 中村における斜面崩壊の位置
(出典:1/25,000地形図「北小野」国土地理院発行に加筆)
![]() 写真-1 湧水がみられる山腹斜面 |
![]() 写真-2 湧水が吹き出した穴(1) (提供:長野県伊那建設事務所) |
![]() 写真-3 湧水が吹き出した穴(2) (提供:長野県伊那建設事務所) |
![]() 写真-4 滑落崖 (提供:長野県伊那建設事務所) |
![]() 写真-5 崩壊跡の斜面に見られたパイピング現象(中央) |
![]() 写真-6 上部斜面から水が流れてきた崩壊源 |
![]() 写真-7 崩壊源からみた中村の被災民家 |
斜面崩壊地の崩積土の含有鉱物を写真-8〜11に示します。
![]() 写真-8 崩壊土 |
![]() 写真-9 崩壊土中腹 |
![]() 写真-10 崩壊土下部 |
![]() 写真-11 崩壊土中腹 (提供:寺平 宏) |