<37>北の城橋(宮田村中越−駒ヶ根市東伊那)  朱色に輝く住民の道 天竜川の川幅が狭くなった宮田村と駒ヶ根市との間にある渓谷「伊那峡」から上流に約五百メートル行くと、朱色に輝く北の城橋がある。 つり橋としては、天竜川の最上流に架かる橋で長さ約六十メートル、幅約三メートル。たびたび水害に遭うため、渡船が使われていたが、一九二八(昭和三)年につり橋が架けられた。 現在の橋は、五八(昭和三十三)年七月の豪雨災害で崩落した後に修復された。 名前の由来は、宮田村中越にある中世の史跡「北の城」によるもので、信濃の橋百選にも選ばれている。 橋を車で渡ろうとすると、「五トンを越える車両は通行できない」という標識が見えた。 板張りの狭い橋は、交互通行をしなければならないが、交通量は多く、天竜川両岸の住民の生活道路として利用されている。 橋の右岸には、北の城址公園があり、春になると、多くの桜が咲き誇る。天竜川が、ピンクの桜と朱色の橋に彩られる季節が待ち遠しい。(札木良)