第2部 @太田切川の井筋 駒ケ根市・宮田村   防災も担う農業用水路 駒ケ根市菅の台で取水した「上(かみ)の井」は駒ケ根高原の切石の脇を流れていた。水の多さはその音からも分かった。 中央アルプスの核心部を水源とする太田切川は、天竜川右岸の河川の中でも水量が多く、古くから農業用水路の開発に心血が注がれた。開かれた井筋は右岸に4本、左岸に3本あり、駒ケ根市や宮田村の広い範囲を潤している。 駒ケ根市の「上の井」と「下(しも)の井」は受益面積が広い重要な幹線用水路で、2本の総延長は220キロ近い。上流側から取水する「上の井」は横井を経由して南割に達し、さらに上赤須にまで水を注ぐ。下流側から取水する「下の井」は東に流下させ、上穂町方面に水を運んでいる。 太田切川の井筋には水害を防ぐ重要な役割もあるという。大田切土地改良区の渋谷宣吉理事長(74)は「田畑だけでなく、防火用水や大雨のときの排水にも役立つ。それだけにしっかり管理していかねばならない」と語る。  (文・倉田高志、絵・片桐美登)