第2部 B座光寺石川除(いしかわよけ) 飯田市  村を守る石積みの堤防 2段に積まれた石積みは、きれいな曲線を描いていた。1868年に改修されたというが、自然の大石が江戸時代の普請を感じさせた。 飯田藩領にあった座光寺村に築かれたのは1828年から1831年にかけて。長さ128間(約230メートル)、高さ2間(約3.6メートル)。普請費は360両余だったという。先に上流に整備された伴野(ともの)堤防で跳ね返った水が、対岸下流の同村を襲うため、頑丈な堤防で水田を守ろうと、庄屋や組頭らが経費を添えて飯田藩代官所に願い出た。 「石川除(いしかわよけ)と言うぐらい、そらあ大きな石を積んで作ってある。当時の飯田の殿様がお触れを出したんだろうが、毎日もっこを担いだとしても、どのぐらいかかったか見当がつかない」と話すのは近くで農作業をする男性(71)。 石川除の上には枝垂れ桜の老木が2本。30年ほど前の台風被害で上半分が折れてしまったが、今でも美しく花を咲かせ、人々を和ませている。  (文・倉田高志、絵・片桐美登)