<18>大橋(伊那市坂下)  今も昔も行き交う人々 伊那市の東西、中央地区と坂下地区を結び、橋上に国道361号が走る。天竜川右岸の入舟交差点で国道153号と交わり、古くから東は高遠、西は権兵衛トンネルを抜けて木曽路の中山道に通じる交通の要所。入舟船着き場は、江戸から明治時代にかけて、各地の物資が集積する商業地だった。 大橋が正式名称だが、伊那大橋とも呼ばれている。近隣では大きさが際立っていることから、自然に「大橋」の名前が定着した。 橋の記録は古い。一五八二(天正十)年、織田軍による武田攻めの記載が残る「下条記」に「伊那部前之橋」とあるほか、「信濃国絵図(一六四七年)」や絵巻「高遠探勝(一七四三年)」にも描かれている。 以前は木製の橋だったが、一九三三(昭和八)年にコンクリート製の橋(全長約八十メートル)に架け替えられた。市内のメーンストリートだけに、車の往来は激しい。今も昔も人々が行き交う橋の直下に、天竜川が止めどなく流れる。(札木良)