第1部 H小渋橋 下伊那郡大鹿村  三六災害乗り越え集落結ぶ 南アルプスを水源とする小渋川は、渓谷を流れ下り、下伊那郡大鹿村大河原で川幅を広げる。小渋橋はその渓谷の出口部に架けられた。周辺に大きな被害をもたらした1961年の豪雨災害「三六災害」も乗り越え、今も変わらぬ姿で集落を結んでいる。 1956年に架橋し、翌年開通した。3連アーチのコンクリート橋は国道152号の橋りょうだったが、2006年に新小渋橋が完成したため、現在は村道橋として使われている。雄大な自然と調和し、歴史的景観も創出している小渋橋は、11年に国の登録有形文化財に登録された。 下流側の新橋は小渋橋と南ア赤石岳を望むビューポイント。アーチ橋の向こうに映える険しい頂は印象的で、観光客が豊かな自然を堪能しながら記念写真を撮っていく。 橋のすぐ近くで釣りを楽しむ人もいた。ひゅんひゅんと2、3回さおを振ったかと思ったら、キラキラと輝く魚が上がってきた。  (文・倉田高志、絵・片桐美登)