第1部 B旧深沢川水路橋 箕輪町  役目終え生活道路に転用 両側のがしりとしたコンクリート壁が、水路であったことを想像させる。橋長は143メートル。「西天竜幹線水路」の農業用水を深沢川(箕輪町)の谷を越えて供給するために1927年に造られた。水路橋として活用されたのはサイホンが導入されるまでの約11年間。役目を終えた後も壊されず、地元の強い要望もあって町道に転用された。 同町の松島と八乙女をつなぐ橋は生活道路で、中学生の通学路にもなっているという。「古い橋だけど、便利なので、もう少しがんばってもらわないとね」と住民ら。水を張った水田に橋脚が映り込んで見える5月中旬、見通しがよい橋上で耳を澄ますと、東からは高遠道路を走る車の音、西からは田植機の音が聞こえてきた。 「子どもの頃は怖いとも思わなくて、水路の端を歩いて向こうまで渡ったものです」八乙女で生まれ育ったという女性(80)が懐かしそうに話した。  (文・倉田高志、絵・片桐美登)