<41>旧深沢川水路橋(箕輪町中箕輪八乙女)  町道に転用 ロケ地にも 天竜川の西側、経ヶ岳扇状地に水を引くための「西天竜幹線水路事業」で、深沢川の谷を越えるために造られた。一九二七(昭和二)年に完成し、日本の近代土木遺産(現存する重要な土木構造物二千八百選)、信濃の橋百選に選ばれている。 水路橋は鉄筋コンクリートで、ラーメン構造の橋。「ラーメン」とは、ドイツ語で額縁の意味。長方形に組まれた骨組みの各接合部分を、柱と梁が一体化したように接合した。 管理の大変さから、一九三八(昭和十三)年には、水路を地下に潜らせて谷を渡るサイホンの仕組みに変更。その後、長さ約百四十メートル、幅約四メートルの水路橋は、地元の八乙女地区の強い要望で町道に転用された。松本市の松本深志高校にいた犬の実話を基にした映画「さよなら、クロ」(二〇〇三年公開)のロケ地になったことでも知られる。 重量制限六トンの標識が見えた。自転車や徒歩でゆっくりと橋を渡る住民たち。扇状地に水を運ぶために造られた水路橋が町道に姿を変えて、人々の生活を支え続けている。(札木良)