<15>遠山の埋没林(飯田市南信濃)  いにしえの地震”証言” 奈良時代の七一四(和銅七)年の大地震で山が崩れ、遠山川がせき止められた湖に木々が埋没した。当時の埋没林が河床に露出しており、飯田市南信濃大島地区や畑上地区などで見ることができる。 埋没した木のほとんどは直径五十センチ以上。中には直径一メートル以上の巨木や樹齢七百年以上のヒノキもある。土砂の中から姿を現した木は約五十本で、その半数は立ったままの姿で地中に埋もれていた。 遠山川の清流に浸されていたため、他の地域の埋没した木と比べると良好な状態を保っている。心材の強度も原生木に劣らない状態だった。樹木の一部は南信濃自治振興センターや旧木沢小学校、観光交流施設の「梨元ていしゃば」で展示されている。 畑上地区の国道152号から砂利道を下りていくと、遠山川の河川敷に高さ約三メートルのヒノキが一本、ぽつんと立っていた。 いにしえの自然災害を知る”生き証人”。清流に洗われ、幹の半分ほどしか残っていないが、幹は空を真っすぐに見詰め、どこか堂々とした様子だった。(札木良)