天竜川上流ニュースレター 2011年4号
「天竜川 春の自然観察会」を開催 〜川の生きもの観察と外来植物駆除体験〜

天竜川上流河川事務所では、「天竜川春の自然観察会」として、川の生きもの観察を兼ねた「魚とり」と、 群生する外来植物「オオキンケイギクの駆除体験」を、6月12日(日)、下伊那郡松川町元大島の天竜川河川敷にて開催しました。 天竜川上流部の本来の姿(石のごろごろした見通しの良い河原)を取り戻すための「天竜川上流自然再生事業」の継続的な取り組みとして、 希少な河原植物の保全などを地域の皆様といっしょに行っていくことや、 こうした場所が地域の総合学習の場としても活用されることを願い企画したもので、地元の皆様を中心に48名での開催となりました。 また、講師に信州大学名誉教授・土田先生、松川青年の家・大原先生をお迎えし、 元大島の多様な生態や環境について詳しくお話しを伺うこともできました。

野岩川(天竜川に流れ込む支川)で魚とり
 松川町元大島にはどんな魚や虫が棲んでいるのでしょう。いざ川の中へ。川底は滑って大変でしたが、 タモ網でたくさん魚を捕まえることができました。カワムツやドジョウなどがたくさんとれ、水生昆虫もいろいろな種類がみつかり、 トンボのヤゴやコオイムシ、タイコウチ、ザザムシ(ヒゲナガカワトビケラ)などもとれました。 みなさん意外と簡単にとれる生きものの多さにびっくりしたようです。


オオキンケイギクの駆除(抜き取り)体験
 群生するオオキンケイギクの鮮やかな発色には目を奪われるものがありますが、 この植物は特定外来生物(外国から入ってきた帰化植物として、生きたままの移動や増やす行為は禁止されている生きもの)に指定されています。 ここ元大島では河原の希少植物が生育する貴重な環境が残っていますが、こうした河原植物は本来日当たりの良い場所を好みます。 オオキンケイギクやハリエンジュなどの外来種が群生することで日影になってしまうことは、彼らにとって非常に過酷な状況といえます。
 今回はその貴重な植物を保全するため、出水の際でも比較的水につかりにくい少し高い場所を保全対象箇所として抜き取り作業を行いました。 短時間でしたが、みんなが頑張り、ずいぶんきれいにすることができました。
 今回の観察会では、魚とりだけでなく駆除体験にも夢中になって頑張る子どもたちの生き生きとした目に感動された親御さんも多かったのではないでしょうか。 駆除体験を含めて「楽しかった」「また参加したい」という言葉をたくさんいただくことができたのは、地域の皆様の環境保全に対する高い意識に加え、 家族のよいふれあいの場になったことも関係しているのではないでしょうか。
大原先生の指導による魚とり
オオキンケイギク駆除体験


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