天竜川上流ニュースレター 2011年2号
希少な植物【ミクリ】の保全 〜天竜川激特事業の多自然川づくり〜

天竜川上流河川事務所では、平成18年7月の豪雨被害を受け、再度災害防止を図るため辰野町から伊那市までの区間において平成18年度から5年をかけて、「天竜川河川激甚対策特別事業(激特事業)」を実施しました。激特事業の工事箇所の中には絶滅危惧植物であるミクリの生育する場所があり、工事により影響を受けることが予想されたことから、工事の影響がない場所にミクリを一時避難させ、工事後現地の状況を見ながら、元の生育地に戻すことを計画しました。

この度、激特事業の完了に伴い、5月27日(金)に一時避難させていたミクリを元の生育地へ移植しました。

移植にあたっては信州大学名誉教授の土田先生にご指導いただきました。

作業はまず、一時避難場所からミクリを掘り取りました。ミクリは15cmから60cmくらいに生長しており、他の草の中から、根茎を痛めないようにそっと掘り出します。そして乾かさないように袋に保管し、移植先に運搬しました。

移植先は、元の生育場所のたまり(河川敷内の池)としました。移植先では、作業を行いやすくするため、また他の草に負けないようするためクサヨシやツルヨシを除去し、移植用の木箱を設置しました。木箱に植えるのは、他の植物に被圧されないようにするためです。

作業は数時間かかりましたが、無事移植作業は終わりました。元の生育場所に戻ってきたミクリが、順調に育つことを願ってやみません。

掘り取り作業
掘り取り作業(一時避難場所にて)

掘り取ったミクリ
掘り取ったミクリ(絶滅危惧種)
土田先生による指導
土田先生による指導

木箱の設置
木箱の設置(元の生育地に移植)

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