インタビュー 語り継ぐ 東海豪雨の記憶

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第1回
東海豪雨でナゴヤドームも浸水被害!!
(株)ナゴヤドーム


 

1.  あの時を振り返って

9月11日18時ごろ、雨が激しくなり施設管理部員数人が駐車場シャッター閉鎖と土嚢による浸水対策を実施していた。19時ごろ、センター側搬入口、ライト側搬入口、南側駐車場搬入口から周辺道路にあふれた雨水がシャッター下部から浸水し、グラウンド内に一気に流れ込んだ。外部敷地内マンホールからも噴水のように溢れ出てた雨水が浸水した。グラウンド面で10㎝(約1400t)雨水が溜まり、人工芝が水に浮いた状態になったほか1・3塁ダッグアウト、ブルペン、駐車場内倉庫などの諸室、機械室等が冠水した。

 

【災害時の様子】

 

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浸水した一塁側ベンチ

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浸水した三塁側ベンチ


 

【通常時の様子】

 

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通常時のベンチの様子


 

23時ごろ、雨が小止みとなるとともに、ドーム内の水は引き始めたが、人工芝などグラウンドの原状回復整備のため、12日のセ・リーグ公式戦中日対広島戦は中止となった。社員および協力会社と関係者約600名が人海戦術で排水やアンツーカー(赤土)の入替、人工芝の乾燥など復旧に当たり、13日昼前に試合ができる状態にした。納入業者への連絡、アルバイト従業員の確保などを行い、試合を挙行した。
浸水の影響で、電気設備、昇降式ピッチャーズマウンド設備、エレベータ設備等に被害が発生した。駐車場には、50~60cmまで浸水した跡があった。

 

2.  その後の取り組みについて

ドーム内部への浸水防止策として、2001年3月に浸水口となった駐車場3箇所に手動式防水板を設置。短時間に設置・撤去ができ効果的な防水設備の調査、検討を重ね、2010年5月、電動式防水板に更新。2013年6月に残りの1箇所に追加設置し、浸水の恐れがあった全ての駐車場入口に対策を施した。館内アリーナ搬入口に緊急対応用の土嚢を約600個配備。敷地内マンホール蓋にチェーンを取り付け、蓋飛び防止策を実施。排水溝の定期清掃など、防水体制を強化した。大雨、雷による停電や瞬時電圧低下など監視強化を行い、気象情報収集や警報発令時の防災体制を整備した。
2012年に安否確認システムを導入し、社員とその家族の安全確認連絡網を再整備した。

 

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整備中の防水板

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東海豪雨後に整備された電動式防水板


 

3.  コレカラの課題・展望について

設備対策だけでなく、(帰宅困難者を出さないため)イベント来場者等の安全確保と的確な情報の収集・提供。なかでも、ゲリラ豪雨や大雨による、河川氾濫の可能性や影響(想定被害)の範囲など、行政・交通機関関係各所との連絡網の構築(早期に連絡をもらう)は、4万人超を集客する施設にとって初動措置・初期対応のうえでも重要課題の1つ。一時避難所としての役割、スタッフの安全確保、災害時の救急・緊急対応などBCP策定が課題に挙がる。

(写真資料・取材協力  ©ナゴヤドーム)

 

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