東海豪雨10年シンポジウム

プログラム
○ 挨拶国土交通省中部地方整備局長 富田 英治
○ 基調講演「大規模水害時の被害の特徴と対策の方向性」
内閣府参事官 越智 繁雄 氏
○ 基調講演「最近の多様な水災と名古屋都市圏の脆さーどう克服するか」
名古屋大学大学院教授 辻本 哲郎 氏
○ 挨拶国土交通省中部地方整備局長 富田 英治
○ パネルディスカッション
    パネリスト名古屋駅地区街づくり協議会会長 神尾 隆 氏
名古屋大学大学院教授 辻本 哲郎 氏
清須市消防団長 齋藤 雅美 氏
洋画家 城戸 真亜子 氏
庄内川河川事務所長 高橋 裕輔
○ コーディネータ毎日新聞社論説室専門編集委員 松田 喬和 氏
○ 地元からのメッセージ清須市長 加藤 静治 氏

 ■主催/東海豪雨10年実行委員会 愛知県、名古屋市、瀬戸市、春日井市、清須市、
 あま市、大治町、名古屋地方気象台、国土交通省庄内川河川事務所

 ■後援/名古屋駅地区街づくり協議会

 東海豪雨10年シンポジウム』が、平成22年8月21日(土)ミッドランドホールで行われ、市民など約300人が参加しました。
このシンポジウムは、2000年9月11日記録的な大雨によって大きな被害をもたらした東海豪雨から10年、当時のことを振り返るとともに、その被害と対  応を再検証して、現在の都市水害に対する防災意識、今後の課題について考えることを目的として開催されました。

□基調講演 1
 内閣府、地震・火山・大規模水害対策担当参事官の越智茂雄氏より「大規模水害時の被害の特徴と対策の方向性」と題してお話しいただきました。

東海豪雨10年シンポジウム

内閣府参事官 越智 茂雄 氏
1/検討の背景、専門調査会の設置等について
 日本のこれまでの大規模水害や気候変化などに対応して、水害を対象とした専門調査会が設置された。

2/大規模水害時の被害想定について
 利根川、荒川の浸水想定、人的被害想定結果や、地下鉄等の浸水想定結果について。

3/専門調査報告における対策の概要
 地下鉄等の浸水シミュレーションや浸水による電力等のライフラインの途絶、生活環境の悪化などを想定。大規模水害対策として、国、地方公共団体などの公助、地域連携の共助、住民・企業との自助など、それぞれの自立・連携・支援が不可欠である。

□基調講演 2
 名古屋大学大学院教授 辻本 哲郎氏より「最近の多様な水災と名古屋都市圏の脆さーどう克服するか」と題してお話しいただきました。
 東海豪雨の深刻な被害は、都市の水災の脆弱さを顕在化し、とくに一般家庭の資産被害は甚大であった。その検証から今後の課題点、また新川激特事業による効果などを解説されました。

□パネルディスカッション
 コーディネータの毎日新聞社論説室専門編集委員 松田 喬和氏の司会により、パネリストそれぞれの立場から意見が交わされました。

東海豪雨10年井シンポジウム

・現場で浸水家屋から280人を救助した最前線の体験談。ハザードマップの活用や自主防災会の必要性、市民の防災意識向上が大切。(齋藤氏)

・名古屋駅地区は中部地区の重要な拠点。大きな地下街があるなど、水害に強い街づくりが必要。企業間連携とともに、通勤客への情報伝達、避難誘導など、公の役割も重要。(神尾氏)

・名古屋は東京と大阪の中間にあり、名古屋が水災に合うと、交通や情報もストップし日本全国に甚大な影響がある。インフラなどハードの整備とソフトの連携が必要。(辻本氏)

・東海豪雨の後、河道掘削、堤防強化、橋の改築、ライブカメラ設置、TEC-FORCE緊急災害対策派遣隊の組織など、対策事例を発表。今後に向けて、避難行動につながる的確な情報の提供を、地域の関連機関と連携して進める。(高橋)

・やさしさや癒しなどのある水をテーマに絵を描いているが、自然は人間の予想を超えるものである。もっと川と親しんで暮らす、自然に敏感になることが重要なのではないか。(城戸氏)

□地元からのメッセージ
 東海豪雨で甚大な被害を受けた清須市の市長 加藤 静治 氏から、以下のようなメッセージをいただきました。
 庄内川・新川・五条川の3つの河川とともに暮らす清須市は、平成17年7月7日、奇しくも「川の日」に発足した。東海豪雨10年の今年は、清須越400年の節目の年でもある。東海豪雨から得た、この歴史の教訓を今後にいかし、安心安全の地域にしたい。

□おわりに
  一日約150万人もの乗降客を集める名古屋駅前地区は、今後も超高層ビル開発が進行していきます。その中心に位置するミッドランドスクエアで開催されたこ のシンポジウムは、都市水害と水防災の重要性について、地域住民、企業、行政、学会が協力して取り組むべきことは何かを深く考えていただくことができたの ではないでしょうか。