12月22日(火)、名古屋市千種区にある今池ガスホール（今池ガスビル9階）において、「庄内川水防災フォーラム」を開催しました。このフォーラムは、東海豪雨から15年目を迎えた今年、改めて当時の浸水被害や避難・復旧活動の状況、その後の防災への取り組みを振り返り、更に9月に起きた鬼怒川の水害など、近年の全国における水害も踏まえた上で、避難行動を中心とした今後の防災のあり方について討議することを目的とするもので、一般の方々や中部圏の企業の方、行政の防災担当者など271名が参加しました。

≪開催概要≫

●日　時：	平成27年12月22日(火)　14:00～17:00
●主　催：	国土交通省中部地方整備局、国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所

≪プログラム≫

1.主催者挨拶	勢田　昌功（国土交通省中部地方整備局河川部長）
2.基調講演	①「東海豪雨の状況とその後の取り組み」 　 加藤　静治（清須市長） ②「鬼怒川の水害について」 　 髙橋　伸輔（国土交通省関東地方整備局河川部河川調査官） ③「庄内川の河川整備の現状と避難を促すための取り組み」 　 石川　博基（国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所長）
3.パネルディスカッション
	「近年の全国における水害も踏まえた今後の防災のあり方について」 コーディネーター 鷲見　哲也（大同大学工学部准教授） パネリスト 秀島　栄三（名古屋工業大学大学院教授） 加藤　静治（清須市長） 清藤　天　（毎日新聞社中部報道センター記者） 植木奈緒子（気象予報士） 石川　博基（国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所長）

　最初に、国土交通省中部地方整備局 勢田河川部長より、本フォーラムが災害に強いまちづくりの一助となることを願う、主催者挨拶がありました。
　続いて行われた基調講演では、加藤清須市長から甚大な被害をもたらした東海豪雨時における清須市（当時：新川町、西枇杷島町）の被災状況の説明と、災害を契機に各河川の防災行動の基準となる水位を決めたことや、水害対応ガイドブックとして「気づきマップ」「逃げどきマップ」「浸水深マップ」の３種類のマップを制作し、清須市内の全戸に配布したことなど、その後の防災に係る取り組みの数々について語られました。
　また、関東地方整備局 髙橋河川調査官からは、今年９月に発生した鬼怒川の水害について、住民の方が撮影した当時の状況を伝える映像が紹介され、その後、雨量や水位の各種観測データに基づいた出水の分析結果の紹介や、復旧作業の進捗状況など、被災から復旧までの経緯などが語られました。
　最後に石川 庄内川河川事務所長から、東海豪雨時の、雨量や庄内川と新川の水位などの、出水状況の説明と、その後の平成12年～16年までの5年間に行われた、河川激甚災害対策特別緊急事業（通称「激特事業」）について、さらに平成20年３月には河川整備計画が策定され、東海豪雨と同程度の出水においては、破堤による甚大な被害を防止する河川の整備が行われていることなどが語られました。

　パネルディスカッションでは、フォーラムの前段で行われた、市民・行政・マスコミの関係者による座談会でもコーディネイトをして頂いた、大同大学工学部准教授の鷲見哲也氏をコーディネーターにお招きし、パネリストには、中部地方整備局南海トラフ地震対策中部圏戦略会議委員、愛知・名古屋地域強靭化有識者懇談会委員など、街づくりを踏まえた防災・減災のエキスパートの名古屋工業大学大学院教授の秀島栄三氏。毎日新聞入社後、東海地方を中心に勤務し、阪神大震災、東海豪雨、新潟県中越地震、東日本大震災などの取材経験を持つ、毎日新聞社・中部報道センター記者の清藤天氏。NHK名古屋放送局やメーテレに勤務し、気象キャスターを勤め、東海地方の地域の声に接する機会も多く、名古屋在住の経験もある、気象予報士・気象キャスターの植木奈緒子氏。これら3人の方々に、加藤清須市長と、石川事務所長が加わり、「近年の全国における水害も踏まえた今後の防災のあり方について」、それぞれの立場から活発な議論が交わされ、行政からの正確な情報の発信と伝達、市民側の受け止め方の大切さ、被害に対する想像力の重要性など、避難行動を自ら起こす事の必要性も含めた、今後の防災のあり方について話し合いが行われました。

左からコーディネーター　鷲見哲也氏、
パネリスト　秀島栄三氏、加藤清須市長、清藤天氏、植木奈緒子氏、石川事務所長

来場者で、ほぼ満員の会場の様子