名古屋市の矢田川で「矢田川あそび2012」が開催されました。 ~川あそび体験をとおして矢田川の河川環境や生物の多様性を学ぶ~

 10月14日(日)、名古屋市東区の矢田川橋緑地とその少し下流にあたる同北区の矢田川子どもの水辺の両会場で「矢田川あそび2012」が沿川学区の児童と保護者ら(スタッフ含む)約180人で開催されました。このイベントは子どもたちが川あそびを体験することで、川への理解を深め、川にすむ魚等(水生生物)をとおして河川環境や生物の多様性を感じていただくこと、また、子どもといっしょに参加する大人たちも身近な都市河川の自然に関心をよせ、河川愛護・河川環境学習等の取組が広がることを願い4年前から始まりました。

● 主催:矢田川あそび2012実行委員会
● 共催:矢田川子どもの水辺協議会
● 実施会場:東区会場/矢田川橋緑地前 北区会場/矢田川子どもの水辺
● 支援団体:多治見市土岐川観察館

※矢田川あそび2012実行委員会:北区(辻学区、城北学区、光城学区、川中学区、味鋺学区、西味鋺学区)、守山区(瀬古学区)、東区(矢田学区、砂田橋学区)、川中水辺の会、城北水辺の会、矢田・庄内川をきれいにする会、北区・東区役所まちづくり推進室、庄内川河川事務所

活動状況1
矢田川橋緑地(東区会場)

活動状況2
矢田川子どもの水辺(北区会場)

○秋日和の中、川あそび2012「ガサガサ調査」を体験

 タモとバケツを持って川の中に入り、水辺の草の下や木の陰に隠れている生き物をつかまえます。親子、友だちが協力しながら魚を追い込みます。タモをのぞき込み「にっこり」。つかまえた魚や虫は水そうやタライなどに入れ、じっくり観察。「みる・かぐ・聞く・さわる」と、ふだんではなかなか体験できない川あそびを楽しみました。

活動状況3
ガサガサで使うタモ・ガサガサあみ(東区会場)

活動状況5
水辺の草の下をガサガサする(北区会場

活動状況7
たくさんとれたオイカワ(東区会場)

活動状況8
とれた水生生物について説明(北区会場)

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こんな近くでじっくり観察(北区会場)

活動状況10
大きな魚を手でさわったよ(東区会場)

○フリースクール「投あみ体験、水質調査」を楽しむ

 みんなでいっせいにガサガサ調査をしたあとは、各自が好きな種目を選んで行う「フリースクール」の時間です。それぞれが思いおもい「ガサガサ遊び」、「投あみ体験」、「水質調査」のコーナーに分かれました。投あみ体験ではスタッフの実演を見たあと、投あみの持ち方を付き添って指導してもらい実際に投げました。初めての体験に「あみが大きい~!」「重くて、うまく投げられないよ」と感想が聞かれました。
 水質調査では透視度計による透視度調査と簡易パックテスト(COD、pH)を行いました。参加した人の多くが都市中を流れる矢田川の透視度が思っていたよりきれいなのにびっくりしているようでした。

活動状況13
後ろでささえてもらい投げました(東区会場)

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水道水と川の水のにごり具合を比較(北区会場)

○クイズ「ゴールをねらえ」 当てよう「すべてゴールすると100点になります・・」

 両会場が矢田川でつながっていることを意識してもらうことを目的に、上流の東区会場から重さの違う(中に入っているビー玉の多少)5つのペットボトルを流し、2時間以内に北区会場のゴールに到達したペットボトルの中のビー玉の合計数を当てるクイズを行いました。

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受付でクイズに応募(北区会場)

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クイズでジャンケンする子どもたち(東区会場)

○川あそび2012「調査結果」の発表および閉会式

 閉会式の前にガサガサ調査結果(下欄に記入)および水質調査結果の報告が行われました。

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とれた生物の種類を比較(東区会場)

活動状況20
水質調査結果の報告(北区会場)


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参加されたみなさん(東区会場)

活動状況22
中山代表による閉会のあいさつ(北区会場)

○当日の気象状況 くもりのち晴れ 

 東区会場/気温22℃・水温20℃・透視度100㎝以上
 北区会場/気温24℃・水温20℃・透視度40㎝以上

○とれた生物
共通/オイカワ、モツゴ、コイ、フナ、メダカ、カダヤシ、ドジョウ、テナガエビ、スジエビ、ヌマエビ、ヤゴ、
東区会場/ヨシノボリ、北区会場/タモロコ、コウライモロコ、ブルーギル、カマツカ、ゴクラクハゼ、ウシガエル、アメリカザリガニ

「矢田川あそび2012」各種調査結果

●ガサガサ調査で採取された生物

 ガサガサ調査で採取された生物種は、両会場合わせて、魚類14種、エビ・カニ類4種、水生昆虫類2種、両生類1種の21種(前年:31種)でした。採取された生物に関しては、河川の中・下流部で一般的にみられる種類の生物が採取されており、コイ科稚魚やオイカワ、カダヤシ、メダカ、ヌマエビ類の個体数が多い結果でした。これらの生物は遊泳力が比較的弱く水際部で多くみられるため、タモ網で採取しやすかったものと考えられます。
 採取された種のうち、重要な種としてメダカ、特定外来生物としてカダヤシ、ブルーギル、オタマジャクシ(ウシガエル)、要注意外来生物として、アメリカザリガニが該当します。

項目 ・ 会場名

北 区会場(子どもの水辺)

東区会場(矢田川橋下流)

本 年

前年

本年

前年

参加者数(子ども)

30 人

49 人

39 人

34 人

全生物の種類数

20種

28種

12種

25種

 

魚類の種類数

13種

13種

8種

12種

エビ・カニ類の種類数

4種

5種

3種

5種

水生昆虫類の種類数

2種

5種

1種

3種

両生類の種類数

1種

2種

-

2種

爬虫類の種類数

-

3種

-

2種

魚類の採取個体数

141個体

634個体

159個体

270個体

魚類以外の採取個体数

206個体

333個体

48個体

199個体



 今回の調査結果「北区会場の方が東区会場より生物の種類数・個体数とも多く採取された」と前年の調査結果と比較して今年の河川環境(気象条件を含む)が魚類の産卵・生育にあまり好条件ではなかったこと、さらにその影響は東区会場の方が大きく受けたと想われます。 種類別詳細については、ページの最後をご覧下さい。→こちら
※ 採取個体数は子どもの人数および調査時間(前年より10分短い)により左右される。また、学術的な調査手法に基づく調査ではないので結果で河川環境の違いを断定することはできません

●水質調査

参加した子どもの人数は27人で全体の39%(前年:41%)でした。
【pH(水素イオン濃度)】
北区会場・東区会場とも7.5(ほぼ中性)という結果でした。
【COD(化学的酸素要求量)】
北区会場では調査のため用意した水(2個バケツ)の違いで13(mg/L)、と20(mg/L)に分かれ、東区会場でも5(mg/L)と13(mg/L) の2数値の判読となりました。


成績

項目・会場名 北区会場 東区会場
参加者数(子ども) 16人 11人
ph(水素イオン濃度) 7.0~8.0 (平均7.5) 7.5~8.5(最多7.5)
COD(化学的酸素要求量) ①  13 
②  20 
①   5 
②  13 
透視度 およそ40㎝ 100㎝以上

●得点当てクイズ(ゴールをねらえ)

上流にあたる東区会場(6.0KP)から5個のペットボトル(重さのみちがう)を流し、北区会場のゴール(2.3KP)まで2時間以内に到達できたペットボトル内のビー玉の数量合計を当てるクイズ。東区会場を9時40分にスタートし、11時40分の時点では、先頭のペットボトルがようやく北区会場ゴールの手前約400mのところまで来ているという状況でした。
【クイズの正解】
ゴールなしで 得点 「0」 という結果から 正解者は北区会場で1人のみでした。
クイズの回答をみると 15得点 以下の人数 両会場計31人(45%)
                            25~40 得点の人数  〃   20人(29%)
                            45~100得点の人数  〃  18人(26%) 
クイズを説明するにあたり、2時間でいくつかはゴールするであろうという推測であったため、予想外の結果となって、楽しみにしていた子どもたちをがっかりさせる結果となりました。当日の低水位(瀬古水位観測所1.02m)が想っていた以上に影響したためと考えられます。 

クイズ

最後に、これをきっかけに子どもたちが楽しく川を経験することで、川への理解を深め、川にすむ魚をとおして河川環境や生物の多様性を感じ取ることができれば幸いです。


 なお、本イベントは(財)河川環境管理財団の河川整備基金の助成を受けて実施されています。


● 平成23年度の国民的啓発運動部門で表彰!

平成23年度まで4年間の「矢田川子どもの水辺協議会」の活動をとりまとめた「「矢田川子どもの水辺」における子どもたちの川に学ぶ体 験活動の推進」の成果報告書が河川整備基金助成事業優秀成果に選ばれ、表彰されました。

表彰

採取された生物一覧(ガサガサ調査)】

類 名 科 名 種 名 採取個体数
北区会場 東区会場
魚 類 コイ科 1 コイ 7 4
2 フナ属の一種 4 4
3 オイカワ 29 82
4 モツゴ 2 10
5 タモロコ 2
6 カマツカ 2
7 ニゴイ 16
8 スゴモロコ属の一種 3
ドジョウ科 9 ドジョウ 3 5
10 シマドジョウ
ナマズ科 11 ナマズ
カダヤシ科 12 カダヤシ 39 24
メダカ科
13 メダカ 25 22
サンフィッシュ科 14 ブルーギル 5
ハゼ科 15 ウキゴリ
16 ゴクラクハゼ 4
17 ヨシノボリ属の一種 8
141 159
エビ・カニ類 ヌマエビ科 18 ヌマエビ属の一種 190 24
テナガエビ科 19 テナガエビ 5 10
20 スジエビ 4 12
ザリガニ科 21 アメリカザリガニ 1
イワガニ科 22 モクズガニ
200 46
水生昆虫類 カワトンボ 科 23 ヤゴ(ハグロトンボ)
ヤンマ科 24 ヤゴ(ギンヤンマ) 4
サナエトンボ科 25 ヤゴ(コオニヤンマ)
26 ヤゴ(サナエトンボ科の一種)
トンボ科 27 ヤゴ(シオカラトンボ) 1 2
アメンボ科 28 アメンボ
コオイムシ 科 29 コオイスシ
5 2
両生類 アカガエル科 30 トノサマガエル
31 ウシガエル(幼生含む) 1
32 ヌマガエル
33 オタマジャクシ(種の固定なし)
1
爬虫類 イシガメ科 34 イシガメ
35 クサガメ
ヌマガメ科 36 ミシシッピアカミミガメ
スッポン科 37 スッポン
合計 347 207