安倍川ゾーンの基本理念
大谷崩に大自然の驚異と砂防を学ぶふれあいの渓流づくり
大谷崩に砂防を学び、自然を保全しながら災害を防ぐ安全な渓流環境を創造する。
安倍川源流域は、昔から土砂流による災害が多く、現在も土砂災害の危険を内在した地域である。特に、大谷崩はわが国でも有数の大崩壊地であり、眼前に見る景観は自然の雄大さ、厳しさを感じさせるまさに自然の驚異である。一方、ここではいろいろな形の砂防工事を実施し、土砂災害の軽減と自然環境の復元がはかられており、生きた砂防の現状を学習する場としては最適である。これらを踏まえて、大谷崩と砂防を学習しつつ、流域における安全を確保するとともに、長期的には自然環境の創造と調和を目指した、砂防施設の整備を図る。
恵まれた自然を保全しつつ後世にほこることのできる渓流を創造する。
安倍川上流域は、緑豊かな自然環境に囲まれ、静岡市の安全でおいしい水の供給源であるとともに、貴重な動植物やすぐれた景観が数多く分布している地域である。植物は、笹山付近のブナ、ミズナラ林、安倍峠の湿地性植物群落、哺乳類ではニホンカモシカ、ヤマネ、鳥類ではクマタカ、ヤマセミ、両生類ではハコネサンショウウオ、ヒダサンショウウオ、魚類ではアマゴ、アユ、昆虫類ではオオムラサキ、ムカシトンボ等がみられる。このため、これらの生物の多様な生息・生育環境を保全し、後世に残すために、渓流の自然的な特性を十分に踏まえて、生物の保全と共生に配慮した砂防施設の整備を図る。
豊かな地域資源と地場産業を活用し、地域の伝統文化とふれあえる安倍川を創造する。
安倍川上流域には、安倍川の大滝、三段の滝等のすぐれた景勝地や、金山跡、梅ヶ島温泉、コンヤ温泉等の観光地がある。渓流は、釣りやキャンプの利用とともにわさび栽培等に利用されている。わさび田や茶畑の景観は本地域独自の雰囲気をかもし出している。又、流域には神楽等の伝統的な文化が引き継がれている。これらの特性を踏まえ、渓流を核として地域の観光・産業・歴史・文化を活用したネットワークを形成する事により、地域の活性化を支援する。