河川の調査

水生生物調査

全国の一級河川において、小学生、中学生、高校生及び一般市民等の参加を得て、昭和59年度から継続して水生生物による水質の簡易調査を実施しています。

水生生物調査の概要

調査のための準備

調査しようとする河川とその周辺の町や集落の様子がわかるような地図(できれば詳しいもの)を用意しましょう。
まず、その地図に調査する場所を書き入れます。あらかじめ十分な時間をとり、現地に行って調査地点の様子やその場所に行くのに必要な時間、川の流れや深さ、川底の状態、調査地点への入りやすさなどを調べておくと調査のときに無駄な時間をなくすことができます。

なお、1日の調査地点数は移動時間、調査員数等を考慮して、無理のない計画を立てましょう。

調査のしかた

生物の採取のしかたは、石や礫がある場所では石や礫を取り上げて岸に運び、そこに付いている生物を指やピンセットでつまみ取ります。底が砂や泥の場所では砂、泥を網やザル、フルイにいれて、砂、泥をふるい落とします。石や礫、砂、泥を採取する場所の下流側に網などを受けておくと、石や礫、砂、泥からはなれた生物が採取できます。調査が終わったら採取した生物や石はもとあった場所に戻しましょう。

調査のしかた
水のきれいさの程度の階級とその指標となる生物
水のきれいさの程度の階級とその指標となる生物 PNG(78KB)

水のきれいさの程度をⅠ(きれいな水)からⅣ(大変きたない水)までの4階級にわけ、それぞれの階級に住んでいる生物が示されています。

注)○は海水が少しまじっている汽水域の生物です。

安倍川の水生生物

調査状況と指標生物(優占種)

指標生物はその川がどれだけきれいかを判断するための生き物のことです。下の図が安倍川の水生生物調査の状況です。

調査状況と指標生物(優占種)
調査状況と指標生物(優占種) JPG(27KB)
安倍川指標生物出現状況図
安倍川指標生物出現状況図 JPG(30KB)

大井川の水生生物

調査状況と指標生物(優占種)

指標生物はその川がどれだけきれいかを判断するための生き物のことです。下の図が大井川の水生生物調査の状況です。

調査状況と指標生物(優占種)
調査状況と指標生物(優占種) JPG(33KB)
大井川指標生物出現状況図
大井川指標生物出現状況図 JPG(26KB)

水生生物調査速報値

水生生物による水質の簡易調査
調査には、下記の小学校のみんなに協力してもらいました!

年度 河川名 学校名 調査年月日 調査地点 参加
生徒数
令和6年 安倍川 静岡市の小学校 令和6年 7月31日AM 安倍川 曙橋下流 10名
令和6年 大井川 島田市の小学校 令和6年 8月 7日AM 大井川 金谷東右岸 5名
令和元年 大井川 大井川沿川の小学校 令和元年7月26日AM 大井川水系 大井川橋 下流右岸 42名
平成30年 安倍川 静岡市中藁科小学校 平成30年 8月31日AM 安倍川 冨厚里橋下流 8名
大井川 大井川沿川の小学校 平成30年 8月21日AM 大井川 大井川橋 下流右岸 46名
平成29年 安倍川 静岡市中藁科小学校 平成29年 8月31日PM 安倍川 下川原右岸 15名
大井川 島田市の小学校 平成29年 7月28日AM 大井川 大井川橋 下流右岸 55名
平成28年 安倍川 静岡市中藁科小学校 平成28年 9月29日AM 安倍川 下川原右岸 8名
静岡市中藁科小学校 平成28年 9月29日PM 藁科川 富厚里右岸 8名
大井川 島田市の小学校 平成28年 8月 5日AM 大井川 大井川橋 下流右岸 89名
平成27年 安倍川 静岡市中藁科小学校 平成27年10月27日PM 安倍川 下川原右岸 13名
静岡市中藁科小学校 平成27年 9月24日AM 藁科川 富厚里右岸 13名

河川水辺の国勢調査

主に全国109の一級水系の直轄区間の河川(河川版)及び直轄・水資源機構管理のダム(ダム湖版)を対象として、河川を環境という観点からとらえた定期的、継続的、統一的な河川に関する基礎情報の収集整備を行うための調査。(平成2年度から5年及び10年で一巡する調査を開始)

安倍川の植物 (H31調査結果)

安倍川水系(安倍川・藁科川)は、現地調査の結果、シダ植物55種、裸子植物7種、基部被子植物12種、単子葉類179種、真正双子葉類511種、計764種が確認された。

<場所ごとの確認種>
安倍川河口付近では、シナダレスズメガヤ、セイタカアワダチソウ等が繁茂するほか、アカメガシワ、コゴメヤナギ等の樹木が群落を形成している。
安倍川中流域では、高水敷にクズが繁茂しており、乾燥した立地にはシナダレスズメガヤ、オギ、メドハギなどが生育し、ヒロハノカワラサイコやイヌクグが混生している。
安倍川上流域では、広大な砂礫地を含む地区で、河道が大きく蛇行していることから、砂州上にコゴメヤナギ、アラカシなどの樹林が形成されている。その他にツルヨシが群落を形成するほか、湿地に生息するキショウブ、オランダガラシなどがみられる。
 
<重要種*>
キンラン、ヒロハノカワラサイコ、コギシギシ、カワヂシャなどを含む8種が確認された。  

*重要種:環境省のレッドリストや各都道府県ごとのレッドデータブックなどに記載されている、さまざまなことが原因で絶滅する恐れがあったり、元々数が少ない、あるいは場所が狭い・少ないといった生き物を示す。


安倍川の植物
安倍川の植物

安倍川の生き物(鳥類)(R4調査結果)

安倍川水系にて、現地調査により確認された鳥類は17目41科91種、6,253個体であった。

<場所ごとの確認種>
安倍川下流域では、コアジサシ、ムクドリ、カワラバトなどが出現している。河口付近は海岸や海上を生息場所とするウミネコやオオミズナギドリが確認されているほか、ウ類やサギ類、トビ、ミサゴ、コアジサシが通年採餌場所として利用しており、越冬期にはカモ類が越冬場所として利用している。
安倍川の中上流域においては、スズメやツバメ、カワセミやカワガラスなどの出現も確認されている。

<重要種>
ゾゴイ、ゴイサギ、ササゴイ、アオバズク、アカショウビン、アリスイ、ハヤブサ、サンショウクイなどを含む8目12科17種が確認された。

安倍川の生き物(鳥類)
安倍川の生き物(鳥類)

安倍川の生き物(魚類) (R2調査結果)

現地調査により確認された魚種は36種であり、確認された個体数は2,554個体である。今回確認された魚種の生活型は、淡水魚が16種、回遊魚が14種、汽水・海水魚が6種であり、淡水魚はコイ科の種が、回遊魚はハゼ科の種が多く、また、汽水・海水魚は河口付近のみ確認された。

<場所ごとの確認種>
安倍川河口付近では、回遊魚のウグイ、アユ、ヌマチチブなどが確認され、汽水・海水魚のボラや淡水魚のオイカワについても多く確認されている。
安倍川中流域では、淡水魚のオイカワ、タカハヤ、ニシシマドジョウ、回遊魚のウグイ、アユ、ヌマチチブ、シマヨシノボリなどが多く確認された。
安倍川上流域では、淡水魚のオイカワ、タカハヤ、ニシシマドジョウ、回遊魚のウグイ、アユ、オオヨシノボリなどが確認された。

<重要種>
全部で12種類の重要種が確認された。うちニホンウナギ、ミナミメダカ、カワアナゴ、オカメハゼ、シロウオ、ヒナハゼの6種は河口付近においてのみ、ウツセミカジカ(降海回遊型)は藁科川においてのみ確認された、ニシジマドジョウは全調査地点で確認された。

安倍川の生き物(魚類)
安倍川の生き物(魚類)

大井川の生き物(昆虫類等)(R3調査結果)

現地調査において、17 目187 科921 種の陸上昆虫類等が確認された。
ハラビロトンボやオオハサミムシ、ハイイロゲンゴロウ等の水辺や 河原を利用する種や、トノサマバッタやベニシジミ、アオメアブ等の草地に生息する種、コクワガタやカブトムシ、オオスズメバチ等の樹林に生息する種が多く確認された。

<場所ごとの確認種>
大井川河口付近では、オオハサミムシやハマスズ、エリザハンミョウ等の水際の砂地や礫河原に生息する種が確認された。
大井川中流域では、オオハサミムシやノグチアオゴミムシ、ヨツモンミズギワコメツキ等の水際の砂地や礫河原に生息する種が確認されたほか、ツマグロキチョウやツチイナゴ、キムネクマバチ等が確認された。
大井川上流域では、カワラバッタ等の水際などに生息する種が確認されたほか、コムラサキやオニグルミノキモンカミキリ、ヤナギルリハムシ等のヤナギ類やオニグルミを植樹とする種が確認された。

<重要種>
カトリヤンマ、ハマスズ、コムラサキ、ヤマトアシナガバチ等を含む10種の重要種が確認された。これらは、湿地や河川敷にみられる 低茎草地、ヤナギ類等が生育する河畔林でみられる種が多かった。

大井川の生き物(昆虫類等)
大井川の生き物(昆虫類等)

大井川の生き物(両生類・爬虫類・哺乳類) (H28調査結果)


大井川において多数確認された種は、両生類でツチガエル、ヌマガエル、爬虫類ではカナヘビ、哺乳類ではコウベモグラ、ノウサギ、アカネズミなどである。

<場所ごとの確認種>
大井川河口付近では、ニホンスッポン、ヌマガエル、ウシガエル、ヒガシニホントカゲ等が確認された。
大井川中流域では、ホンドタヌキやホンドキツネが確認されたほか、ワンド等でツチガエル、アズマヒキガエルが確認された。
大井川上流域では、流水域にてカジカガエルが確認されたほか、草地ではコウベモグラが確認され、ワンドではツチガエルなどが確認された。

<重要種>
両生類はアズマヒキガエル、トノサマガエル、カジカガエル、爬虫類はニホンスッポン、ヒガシニホントカゲ、哺乳類はキクガシラコウモリ、ホンシュウカヤネズミ、カモシカの計6目8科8種の重要種が確認された。

大井川の生き物<br />(両生類・爬虫類・哺乳類)
大井川の生き物
(両生類・爬虫類・哺乳類)

その他の調査結果