昭和58年災害の記録【リメンバー1983】
          
            
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                  昭和58(1983)年9月28日、台風10号による豪雨によって木曽川は記録的な大出水となり、美濃加茂市・坂祝町などで氾濫し大きな被害をもたらしました。 
                 ここでは、あの災害の記憶を風化させないためにも「リメンバー1983」と題し、もう一度皆さんと思い出してみたいと思います。 
                
                
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          昭和58年9月28日 台風10号の概要
          
            ◆台風10号
          
          
            
              - 13日9時、トラック島付近に発生した弱い熱帯低気圧は、西北西に進みながら次第に発達。
 
              - 20日21時、グアム島の南南西約280kmに達し、台風10号となる。
 
              - 23日9時、中心気圧885mb、中心付近の最大風速55m/sec達し、非常に強い台風となった。
 
              - その後進路を北西、北、北東、東へと変えて進み、28日10時20分頃長崎市付近に上陸、15時には温帯低気圧となった。
 
            
           
          
          
          
          
            ◆降雨状況
          
          
            
              - 木曽川流域では、27日1時頃から雨が降り始めた。
 
              - 台風が長崎市に上陸した28日10時頃から降雨が更に強くなり、15時頃から木曽川本川流域を中心に時間雨量30mm~40mmの降雨が数時間断続的に続いた。
 
              - 台風から変わった温帯低気圧が通過した28日22時頃から、次第に降雨も弱まった。
 
              - 木曽川流域の雨量は、西野川(観測所)309.5mm、恵那(観測所)413.5mm、桃山(観測所)304.5mm、岩村(観測所)338.5mmとなっており、木曽川の中流域で300mmを越える大雨となった。
 
            
           
          
          
          
          被災状況
          
             計画をはるかに上回る洪水によって、美濃加茂市、坂祝町、可児市などで死者・行方不明者4名、被害家屋4,588戸もの被害をもたらしました。
          
          
          
            ◆浸水の状況(美濃加茂市)
          
          
             浸水は低地の深田・下町地区より始まり、次第に旧中山道筋の地域まで広がり、その後国道21号・41号、28日午後10時過ぎには国道248号まで達し、浸水の最も深い地区では4m以上にもなり、2階屋根裏までも水没しました。29日0時をピークに午前2時頃より水位は段々下がり、翌朝までには浸水地区はなくなり泥沼化した市街地に変わりました。低地の地域では100%浸水の自治会が20地区もあり、全てが床上浸水の状態となりました。
          
          
          
          
          
            ◆避難の状況
          
          
             木曽川の水位の上昇とともに、19時15分、低地の深田・下町地区を中心に避難命令が出され、太田小学校・中央公民館へ避難をするよう広報車で呼びかけました。しかし、水位は時間とともに増水し続け、建設省(現国土交通省)ダム当局からも増水の見込みが大きいとの情報もあり、避難命令第1号~第5号まで順次呼びかけ、太田小学校・中央公民館・中濃体育館・可茂消防中署・山手小学校へ、総数1,500名が避難をしました。
          
          
            
              
                  
                太田八坂地区で避難所へ向かう住民
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                日本ライン下りの船で救出
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                日本ライン下りの船で救出
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            ◆浸水した膨大な家財
          
          
             床上浸水家屋が多く、緊急避難であったため、家具等は、ほとんど持ち出す余裕もなっかたようで、浸水家庭より粗大ごみが多量道路に出されました。
          
          
            
              
                  
                太田本町旧中山道 後片付けをする被災者
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                道路へ出された家財
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                流された家財
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                廃棄物は河川敷に多量に置かれ焼却処分された 
                (国道41号中濃大橋下)
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            ◆浸水図
          
          
             下の航空写真は、当時の浸水した区域を表したものです。
             「●」をクリックすると当時の浸水状況と現在の写真を見ることができます。
          
          
          
          
          
          復興
          
             9.28災害では、木曽川中流域の美濃加茂市、坂祝町がいずれも弱小堤防であったため、この区間から溢水氾濫した洪水によって大災害に見舞われた。
          
          
             このため、この災害を契機として、緊急的かつ抜本的な改修工事が必要となり、激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)として採択され、築堤及び護岸工事が実施されました。
          
          
             また、激特事業のみでは、その効用も完全には発揮されないことも考慮して、下流部のすり付部並びに同様の浸水被害のあった対岸(可児市土田地区)及び坂祝町一色地区、取組、勝山地区を緊急改修計画地域に編入し、激特事業と並行して実施されました。
          
          
          
            ◆激特事業
          
          
            L=4,833m(美濃加茂市 L=3,046m、坂祝町 L=1,787m)
            昭和58年~昭和63年
          
          
            ◆緊急改修
          
          
            L=650m(可児市土田地区)
            L=1,730m(坂祝町一色地区、取組地区、勝山地区)
            昭和58年~平成6年
          
          
            ◆激特事業の完成
          
          
             美濃加茂・坂祝における激特及び緊急改修事業はS58~H6に実施され、築堤、護岸、特殊堤などが完成しました。
          
          
          
          
             しかし、これらだけでは9.28災害の再発防止にはなっていません。
             新丸山ダムによる洪水調節と合わせて初めて安全に流下させることができます。
             再発防止のために、新丸山ダムは重要な役割を果たすことになります。
          
          
          
          
            (出典)本ページは、以下の資料を基に作成しております。
            「忘れ得ぬ9.28災害 災害誌(美濃加茂市)」
            「美濃加茂・坂祝地区激特事業誌(木曽川上流工事事務所)」
            「昭和58年9.28豪雨災害状況調査資料(木曽川上流工事事務所)」