玉石海岸と急な海底勾配
富士海岸は、富士火山の溶岩流が形成した急斜面の上に、富士川からの流出土砂が堆積した弓状の砂州(さす)からなり、富士川左岸より狩野川河口まで幅200~800メートル、標高5~10メートルの田子の浦砂丘と呼ばれる砂丘が形成されています。
沿岸の大部分は帯状に連なる標高2~3メートルの低湿地で、さらにその背後には愛鷹山および富士山麓の斜面となっており、こうした地形特性から前面の海底勾配は1/3~1/10と、他の海岸と比べて極めて急なものとなっています。
また日本有数の急流河川である富士川と駿河湾の強い波によって玉石海岸が形成されています。
駿河湾は、下の等深線図からもわかるように、湾中央部から陸奥にかけて1000メートルクラスの等深線が深く入り込み、日本で一番水深が深く、かつ湾口が南に向かって開いているため、その奥部に位置する富士海岸は湾の主軸方向である南から南南西のうねりの影響を強く受けることになります。しかも富士海岸には年中強い風が吹いており、極めて大きい海底勾配と強い風によって、巨大な波が作り出されます。
さらに台風などが大平洋上で発達して巨大な波浪になると、途中になんら遮蔽物もないため、海岸線のすぐ近くまでそのエネルギーを失うことなく来襲することになります。
