よくあるご質問 海岸編

Q&Aコーナー

当事務所の事業に関して、寄せられたご質問の中から代表的なものをいくつかご紹介します。

  • 質問1.

     養浜(ようひん)ってなんだろう?
  • 質問2.

     子供の頃千本浜は砂浜もあって広く、飛行機も離着陸しました。現在のような状態になってしまったのは護岸工事の影響の為でしょうか?
  • 質問3.

     天気予報で使われる“波の高さ”は?
  • 質問4.

     「海岸の侵食について」田子浦の海岸に、他の土地から土砂を持ってきているとありましたが、そうやってどのくらい効果があるのでしょうか。もしそうしなかったら、毎年どのくらいのスピードで海岸が侵食されるのでしょうか?
  • 質問5.

     海岸堤防を毎日散歩してます。最近、堤防付近に電柱が立ち、その上に海に向かってカメラとライトが設置されました。その使用目的を教えて下さい。
  • 質問6.

     富士海岸に波を打ち寄せる駿河湾には、どんな魚が生息しているのですか?
  • 質問7.

     元吉原海岸は、昔のような浜に戻ることはできないのでしょうか?
  • 質問8.

     大沢崩れがますます崩れています。あの土砂は駿河湾へ流れてきているのでしょうか?
  • 質問9.

     なぜ富士海岸は侵食されやすいのですか?

質問1.養浜(ようひん)ってなんだろう?

回答1.

が壊れたり、高波が堤防を乗り越えてしまいます。それを防ぐために人の手で砂を戻してあげることを「養浜」といいます。 養浜には、主に富士山の土石流で発生した石を利用して、砂浜を守っています。

質問2.子供の頃千本浜は砂浜もあって広く、飛行機も離着陸しました。現在のような状態になってしまったのは護岸工事の影響の為でしょうか?

回答2.

国土交通省では海岸堤防に沿って250m間隔の測線で波打ち際までの測量を毎年実施していますが、千本浜(沼津港西側~新中川放水路付近)の砂浜は直轄編入(昭和42年)当時と比べて34年経過後の時点で平均14m広くなっており、千本浜の全ての測線で当時の砂浜幅を下回っている箇所はありません。つまり、背後地を守るための海岸堤防が昔の広々とした砂浜の上に築造され、砂浜と背後地を分断した結果、砂浜が狭くなったように見えているということになります。堤防は砂浜ではないから…ということであれば、砂浜幅が14m増えても堤防敷で20m~30mがなくなっているわけですから小さくなったことになります。


「昭和3年(1928年)頃の千本浜から
狩野川河口方面の風景(干潮時)」
沼津市 片岡國男氏 提供

質問3.天気予報で使われる“波の高さ”は?

回答3.

“○○メートルの波”というのは、海上の風に伴って遠くから伝わってくる波が、沿岸部でどの程度の高さになるか予測された値です。山から谷、谷から山へと連続してくる海上の波は、高さが一つ一つ皆異なるので、ある期間の平均的(代表的)な値として表されます。


「昭和3年(1928年)頃の千本浜から
狩野川河口方面の風景(干潮時)」
沼津市 片岡國男氏 提供

質問4.「海岸の侵食について」田子浦の海岸に、他の土地から土砂を持ってきているとありましたが、そうやってどのくらい効果があるのでしょうか。もしそうしなかったら、毎年どのくらいのスピードで海岸が侵食されるのでしょうか?

回答4.

Aの写真は富士市沼田新田にある昭和放水路付近の平成7年2月撮影の航空写真です。赤く着色した範囲は昭和53年頃の海岸線から侵食されてしまった範囲です。最も海岸線が後退したところは15年間ほどで約80mにもなることがわかりました。これは毎年5mずつ侵食されるスピードになります。「もし養浜※をしなかったら」ここの侵食はどんどん広がってしまいます。Aの写真は冬場に撮影したものなので、夏場の台風時期に侵食された箇所は復旧されています。台風直後の侵食ではBの写真のように堤防のすぐ近くまで侵食されることもありました。この侵食被害を防ぐため養浜工事などの対策を進めた結果、現在は約40m海岸線は回復してきています。(Cの写真)

※他の場所から土砂を持ってきて砂浜を回復させることを「養浜」といいます。


  • A: 昭和放水路付近の侵食状況
    (平成7年2月撮影)

  • B: 平成8年8月台風12号による侵食

  • C: 現在の昭和放水路付近
    (平成12年9月撮影)

質問5.海岸堤防を毎日散歩してます。最近、堤防付近に電柱が立ち、その上に海に向かってカメラとライトが設置されました。その使用目的を教えて下さい。

回答5.

士海岸は非常に急深であり、太平洋の強大な高波を直接受け、過去幾度となく被害を受けたことから現在日本一高い(17m)海岸堤防で守っています。今後さらに防災対策の充実を図る観点から下記の目的によりカメラ等を設置しています。

  1. 波浪や海岸堤防等の状況を画面により監視し、災害復旧等の対策に役立たせて います。
  2. 富士海岸の防災対策の基礎データとして利用しています。
  3. 今後、地域に住む人々の迅速な避難に役立たせることも考えています。

この他、同通信ケーブルを利用して波高や風向、風速も観測しています。

質問6.富士海岸に波を打ち寄せる駿河湾には、どんな魚が生息しているのですか?

回答6.

駿河湾は日本でももっとも深い海湾で、一番深いところで約2500メートルもあります。このくらいの深さになると、めずらしい生物も多く、約1100種類の魚がいるといわれています。
ちなみに、全国一は土佐湾の1200種ですが、それよりも深い駿河湾では調査が十分でなく、今後、日本一になる可能性もあるといわれています。
[駿河湾にいる代表的な魚] カツオ・サンマ・マイワシ・マアジ・カタクチイワシ・イセエビ・ クロマグロ・マダイ・イボダイ・チカメキントキ・タチウオ・タカアシガニ・ムツ・キンメダイ・シギウナギ・ネコザメ・ムネエソの仲間・ミツクリザメ・ラブカ・チョウチンアンコウ・リュウグウノツカイ・フクロウナギの仲間など

質問7.元吉原海岸は、昔のような浜に戻ることはできないのでしょうか?

回答7.

富士海岸の砂浜は、富士川から流れ出た砂利などが堆積してできたものと言われています。しかし、昭和の高度成長期に砂利採取が盛んに行われたため、海岸に流出する砂利の量は減り、それに加え、急深な海から発生するたびかさなる高波の影響で、砂浜は次第に侵食されてしまいました。そこで、国土交通省では昭和42年から波打ち際にブロックを並べて、波の勢いを弱める消波堤を設置してきました。また最近は、小石や砂利を運び入れて、失われた砂浜を人工的に回復する養浜工事を行っています。養浜工事は、海岸線を復活させると同時に、自然な形で海岸を保つことができ、副次的に憩いの場所としての空間を造れることから、近年特に見直されている工法です。富士海岸は、日本一急深な駿河湾に位置し、海象条件が特に厳しいため、昔の海岸線まで戻すのはなかなか難しい所ですが、海岸工学の専門学者などに助言を頂きながら事業を実施しています。


  • ・波の力が直接堤防にぶつかると、強い力で堤防が侵食される。
    ・波はひきぎわに砂を削りとる。

  • ・消波堤を設置し沖側で波の勢力を弱める。
    ・養浜により砂浜を回復し波を吸収させる。

質問8.大沢崩れがますます崩れています。あの土砂は駿河湾へ流れてきているのでしょうか?

回答8.

富士山大沢崩れにより、1年間におよそ20万立方メートルの土砂が洪水と一緒に大沢扇状地に出てきていると言われています。
そのまま放置すると、下流で土砂による災害を起こすことになります。
そのため、土砂の大部分を大沢扇状地に堆積させて持ち出し、土砂災害がないようにしています。

質問9.なぜ富士海岸は侵食されやすいのですか?

回答9.

駿河湾は日本で最も深い湾であり、また海底の傾斜も急です。
そのため富士海岸は、打ち寄せる波が荒く、さらに富士川河口から流出する土砂が減少したことなどにより侵食が進んでいるものと思われます。この海岸の侵食を防止するため、離岸堤や養浜等を行い、海岸の保全に努めています。
また、現在も海岸侵食を食い止めるための研究や検討を実施しています。