まんなかビジョン
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議事要旨

第11回 国土交通中部地方有識者懇談会【まんなか懇談会】議事要旨


日時:平成17年7月25日(月)15:00〜17:00
場所:愛知県三の丸庁舎 8階大会議室

1.開会

2.開会挨拶

  • 大村中部地方整備局長 −省略−

3.これまでの状況について

  • 事務局による資料説明 −省略−

4.懇談会

  1. 提言骨子について
    • 事務局による資料説明 −省略−

  2. 自由討議
    • 奥野委員
      • 提言の全体を一言で表すキャッチフレーズをうまく表現できるとよい。「産業」、「頭脳」、「環境」、「観光」、「地域づくり」といったキーワードが鍵になるのではないか。
      • 名古屋にこれだけの産業観光の資源が集積しているということが国内外にあまり知られていない状況にあるので、PRをさらに強化するということを提言の中に書き込むべきではないか。
      • 中国の生産年齢人口も10数年後にはピークを迎える。中国経済が2050年にどうなっているかは予断を許さないと思うが、中国経済がどうなろうとも中国の政治が安定していれば、相互に利益が得られるように日本は中国とつきあっていくことができるであろう。
      • 空港も万博も非常に盛況である。緊急提言を出したタイミングも非常に良かったと思う。このように中部が活気づいている間に次につながる一手を打つ必要がある。

    • 小笠原委員
      • 今後戦略を展開する上では、基本的な認識として、行政の財政は今後ますます厳しくなり、財政制約があるということを十分に踏まえる必要がある。
      • そのため、民間の資本をいかに活用し、地域に還元させていくかがポイントとなろう。また、地元の民間資本だけではなく、国内外から当地に投資してもらえるよう、地域の価値をいかに守り・高めていくか、対外的にPRしていくかが重要になってくると思われる。そういう点についてもこの提言の中で言及するとよいのではないか。

    • 中村委員
      • 愛・地球博の入場者数は目標の1,500万人を越え、1,800万人、2,000万にまで達するのではないかと騒がれている。しかし、前売券の8割は中部4県の人が購入しているという実態があり、中部4県は活気づいたとしても、東京や大阪など他地域にどれだけの効果を及ぼしているのか、プラスの面、マイナスの面それぞれしっかり検証する必要がある。
      • 出生率が1.29と言われるわが国において、子供を産んだ女性に対して国・県・市町村が養育費などを支援するなど本格的な少子化対策をしないと日本の活力は失われていく一方である。
      • 「里山」という問題が近年クローズアップされているが、わが国最大の内湾を抱える当地域においては「里浜」という観点でも国交省は計画をつくるべきではないか。伊勢湾の自然海岸はほとんど失われ、人工海岸となってしまっているが、渚は海に流れ込んだ汚染物質を浄化するクリーンタワーとしての役目を果たしている。この渚の重要性を再認識する必要がある。
      • 大気中のオゾンの6割は海から発生していることや、ペルー沖合におけるエルニーニョ/ラニーニョ現象と呼ばれる海洋の作用が地球規模で影響を及ぼすということを踏まえると、地球環境問題は陸・海・空の視点で考える必要がある。
      • また、「健康で美しく、人にやさしい地域」においては、安全・安心で快適な暮らし、アメニティのある暮らしという点で中部がモデル地域となるように強化していただきたい。
      • 50年後の将来を展望する上では、人々の価値観が変化していくということを踏まえる必要がある。恐らく50年後の人々は、お金儲けをして物質的な充足感を求めるというよりも、平凡でもいいから平和で楽しく暮らしたいという志向が強まり、様々な体験活動や野良仕事、山登りなどライフワークを重視するようになるであろう。
      • 中部圏は山があり、海があり、ライフワークのフィールドに恵まれている。特に三重県も愛知県も長い海岸線を有していることから、道の駅ならぬ海の駅を新設して、海の近くに魅力ある活動エリアを創出していくとよいのではないか。
      • 現在、国交省がビジットジャパンキャンペーンを展開して外国人旅行客の受け入れ拡大を図っているが、50年後においては、わが国の人口が減少し労働力が不足し、現在の何倍もの外国人労働者が国内に流入してくると考えられる。また、ITの発達によってコンピューターを介した犯罪も増えると考えられる。このような状況変化も捉えていく必要があろう。

    • 東委員
      • 「回避すべき社会不安」のひとつであるエネルギー資源の確保の深刻化という問題について、提言の中身においての取り扱いが弱い気がする。
      • まんなかビジョンをつくるときに議論していたような、暮らしやすい中部や豊かな自然環境を活かした魅力ある中部といった面をもう少し強調してもいいのではないか。安心して、心豊かに暮らすことができる社会を目指して、今後為すべきことを何らかの形で表現できるとよい。
      • 50年後の社会に向けた地域づくりの担い手は決して市民だけではなく、企業、行政の地域づくりに対する姿勢も問われている。市民・企業・行政が目標を共有し、同じ方向に向かって協働する新しい社会システムの構築が求められているのではないか。
      • 観光面では、日本の観点だけでなく、アジアなど国際的な視点から観光を捉え、ウォーターフロント開発などアジアのオリエンタルな魅力を活かした海洋観光やスローライフに適した観光のあり方というもの考えていくとよいのではないか。

    • 松尾委員
      • 100年後すなわち3世代、4世代先にこの地域がどのような姿であるべきかという視点でビジョンを描くことが大切である。その上で、そこに至るためのマイルストーンを設定しておくことが肝要である。
      • 選択と集中が求められる時代の中で、将来像の実現に向けて具体的に実行していくためには、やるべきことの優先順位を明らかにする必要がある。提言としてある程度方向性がまとまりつつあるので、そろそろロードマップ(工程表)のようなものとして示していくべきではないか。
      • 自ずと、やるべきことは各柱で1つないし2つ程度に絞られてくるように思う。そのような整理を行った上で、4つの柱を包括するようなキャッチフレーズを示せるとよい。

    • 水尾委員
      • 21世紀に先駆ける万博を開催した地域の責務として、また、4つの柱に共通するキーワードとして、「環境と産業を結びつけて成功する地域を目指す」ということが大きな目標になるのではないか。
      • すなわち、環境に関する産業をこの地域に集積させ、いわゆる「国際環境産業都市」として成功するということが、この地域の50年後、100年後の輝かしい将来展望として基本的なテーマとなろう。さらに環境産業のモデル地域として成功すれば、自ずと産業観光による新たな交流も生まれると考えられる。
      • したがって、「国際的に高い産業競争力を有する地域」のところで、ロボット産業など既存産業に加えて、「環境に関する産業の集積を図る」ということを記述するとよいのではないか。
      • 今後人口が減少していく中では、まちづくりを再編するチャンスであると捉えて、土地利用の見直しをすべきである。特に「安全な国土、安心な暮らし」を実現する上では、適正な土地利用を図っていくことが不可欠であると言うことをしっかりとうたっていくべきではないか。

    • 水谷委員
      • 産業は発展期を過ぎるとやがては衰退する宿命にあると捉えるべきで、我が国を支えている企業も例外ではない。そう考えると我が国の経済規模も縮小していく方向に向かう可能性がある。その場合、最大の問題は借金の問題である。現在、国の財政は既に破綻して大変な状態にあるが、我々はあまりにもその問題に対して無関心である。このツケがさらに進行すると、国の全収入を借金の金利支払いに充てても不足し、金利支払いのために借金が増えていき、借金地獄に陥ってしまう。
      • 必要な財源を確保するためには、増税が避けられないが同時に官僚のリストラも不可避である。もはや公共事業を行う余裕などない状況となっている。中部は空港や万博をはじめ様々な面で好調であるといわれているが、将来に渡って考えた場合に、この地域でさえもやるべきことをかなり絞り込まなくてはいけない。
      • 以上のように考えると、この提言に書かれていること全てはできないであろう。この中で、将来に渡ってどうしてもやらなければいけないこととして、「安全・安心」に関わることだけに限定せざるを得ないのではないか。その中でも相当絞り込まないといけない。
      • 圏域の問題については様々な捉え方があると思うが、人為的に範囲を括っても実際には機能しないのではないだろうか。
      • 中部地方では渇水の問題が度々報道されているが、ダムや長良川河口堰が渇水対策に役立っているということが十分に報道されていない。ダムなどは非常に長い視点で考えなくてはいけないものであり、それが我々の生活に役立っているということをしっかりと国民に知らしめていく必要がある。

    • 箕浦委員
      • 50年後の社会を想定して問題提起していることでイメージがより明確になった。
      • 50年後の将来像を考える中では、現在はマイナスイメージのある事柄でも将来的にはプラスイメージに転換できる可能性がある。また、今はまだ萌芽に過ぎないものの中には将来大きく花開くものもあるので、そういう中から将来を展望する手がかりを見出せるのではないか。例えば、少子高齢化は必ずしも憂慮することだけではなく、むしろ社会全体としては住みやすい環境になるというように前向きに捉えることもできる。
      • 中部圏の圏域のあり方については、何を基準に枠組みを造るか難しい問題であるが、放送や新聞などメディアのサービスエリア、鉄道の営業エリアといった様々なものを共有できる範囲を圏域として捉えるべきであろうと考えている。具体的には、愛知、岐阜、三重の3県と静岡県の西部が名古屋経済圏としてまとまりを持っているのではないか。

    • 谷岡委員
      • 今回、「50年後の社会を取り巻く潮流」を整理したことで課題の全体像を捉えやすくなった。一方、例えば「地球環境問題の深刻化と生活環境の悪化」、「異常気象の問題」などの課題は、この提言に書かれている内容を全て実行すれば解決し、懸念される社会不安を回避できるかというと、実際にはそうではない。だからといって現実的にやれる範囲のものだけで課題を矮小化してしまってはいけない。
      • タイムスケジュールをつくるように具体的にアクションプランを織り込んだストラテジー(戦略)を組み立てていくことが重要であるが、その際に、厳しい財政事情といったネガティブな要素あるいは人々の環境意識の高まりといったプラスの要素といった資源を精査することが必要である。
      • 人々を好き勝手に住まわせておいて、どこに住んでいる人に対しても同じように安全性を確保するということは不可能である。土地利用の再編など社会システムとしてどこまでの範囲でどの程度の安全性を保証するかと言うところに踏み込んでいかないと将来の展望は開けていかない。
      • 気象変動や地球温暖化などの問題は、いくら国内でがんばったとしても他の国々の状況によって事態を打開することはできない。国策として諸外国に働きかけ、我が国と同じ問題を抱えている世界の地域や都市との連携を図ることが必要ではないか。
      • 他のアジア諸国が追随できるようなモデルとして、日本が率先して圏域を形成していくべきではないか。キャッチフレーズ的に言えば、「アジアのモデルとなりうる環境産業圏域をつくる」という気概を持って、世界に先駆けて取り組むべきではないか。
      • 今回の骨子では、物理的な問題が中心的に記載されているが、水質など質的な問題についてもきちんと言及していただきたい。

    • 桑田委員
      • 提言に書かれていることが実現できれば非常に素晴らしいと思うが、問題は実現に向けてどのように役割分担して進めていくか、工程的な優劣をどのように扱うかということを具体的に明確化していかないと言葉だけのビジョンとなってしまう。
      • 特に圏域の連携をどう実現するか。中部圏というものをどのように捉え、圏域間の連携をどのようにおこなうか。中部圏の中で各地域がどのような役割を担っていくかということが重要な論点となろう。
      • 人口問題は地域づくりを考える上での基礎であり、人口問題は圏域全体の問題、国全体の問題として捉えるべき基本的事項である。
      • 結びつきから見ると、岐阜、愛知、三重の3県が一つの圏域を形成していると思われるが、それぞれのテーマに応じて静岡県や長野県も含む他県と連携しる部分もあり、圏域の姿は多様である。しかしながら、中部圏という概念があいまいなままではよくない。今後さらに議論していく必要があろう。

    • 須田座長による総括
      • 骨子案は全体的に50年後の社会潮流を見据えた課題の整理などまとめ方としては概ねよいという高い評価をいただいた。ご意見の主なものは次のとおりである。
      • 1点目としては、この提言のキャッチフレーズについて多くの発言があった。
        • 産業と環境をうまく融合させて成功する地域を目指すべきではないか。それを明快に表現するキャッチフレーズを打ち出せないか。
        • 4つの方向性をうまく包括する表現がないか。その中で、プロジェクトの重点性が浮かび上がるように表現できないか。
        • その他に、「里浜」や「海の駅」という新たなキーワードもいただいたので、参考にしてはどうか。
      • 2点目としては、課題の整理は概ね良いが、課題の解決に向かって、中部がアジアのモデル地域となるべく発展していくためには、もう少し明確な戦略を整理する必要があろう。具体的には下記のようなご意見をいただいた。
        • 戦略を明確化する上では、「エネルギー危機」、「水質保全の問題」、「土地利用の問題」、「圏域の連携の具体的なあり方」といったことについてもう少し突っ込んでいく必要があるのではないか。
        • 戦略を実行する上での工程表のようなものが必要になるのではないか。
      • 3点目として、上記戦略を実行していく上での留意点として下記のようなご意見をいただいた。
        • 新しい社会経済システムを構築することが不可欠であるという認識に立ち、企業・行政・市民が協働する社会のあり方を示すべきではないか。
        • 厳しい財政状況の中で、やるべきことのポイントを絞る超重点化が必要である。そういう中で、「安全」という事項については重点化するテーマとなろう。
        • 一方、財政危機を緩和するための新たな考え方として、投資環境として中部の魅力を向上させて、海外からの投資を呼び込むというような前向きな財政改善策もあるのではないか。
        • これからの価値観の変動を念頭におきながら、現在、萌芽として動き出しつつある様々な現象をよく捉えて、価値ある50年を生み出すような前向きな取り組みが求められる。

5.今後のスケジュール

  • 事務局による資料説明 −省略−

6.閉会挨拶

  • 原中部運輸局長 −省略−

7.閉会

以上


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