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議事要旨

第10回 国土交通中部地方有識者懇談会【まんなか懇談会】議事要旨

日時 平成17年3月14日(月)13:00〜15:00
場所 KKRホテル 3階芙蓉の間
  1. 開会

  2. 開会挨拶

  3. 懇談会

    1. 「テイクオフ中部2005」について
      • 事務局による資料説明
        [資料説明(資料−1、資料−2)]


    2. 自由討議

      • 松尾委員
        • 短期、中期、長期という視点で捉えることは非常に大事であり、それぞれの段階における目標を明確にすることが必要である。
        • 国土の健康回復ということについて、回復(保全)と持続的発展はトレードオフの関係にある。保全と発展の間で、最適に近い解を探していく必要がある。そのためには、コンセプトのレベルでもよいので、トレードオフの整合点がどのあたりにあるかということについて掲げていくことが重要。
        • 長期的な視野に立って、保全と発展の整合点を見出せれば、短期、中期、長期、それぞれの段階で必要なことが見えてくるのでは。
        • 圏域の捉え方は、省庁によってばらばらである。産官学連携ということが言われているが、まず、官と官の間で省庁の垣根を越えて話し合い、強調していくことが先決なのでは。

      • 桑田委員
        • 現在の社会情勢の中で、最も求められているのは、地震対策、治山治水等の安全・安心対策であろう。
        • 岐阜県は、これまで治山治水対策に力を入れてきた。現在、山が非常に荒廃している。山をどう守っていくかということについて、省庁の域を越えて連携して進めていって欲しい。
        • 食料と水の備蓄についても十分ではない。この対策についても連携して進めることが重要であろう。
        • 観光については、これまで十分に情報発信をしていない状況となっている。さらに圏域全体で情報発信を進め、観光客の受け入れ体制も整えていく必要がある。

      • 谷岡委員
        • 今回の「テイクオフ2005」では、方向性がはっきりしてきており、これまでの総花的なものから一歩進んだものになっている。評価したい。
        • 重要なことは、いかに省庁の壁を越えて、話し合いを進めていけるかどうかである。水の問題にしても、工業用排水、生活排水、農業用水、森林、河川など多様な領域に渡っている。省庁を越えた連携ができるかどうかは非常に重要。
        • 物理的(量的)安全性から、大気や水の質的安全性に踏み込んで言及している点を評価したい。
        • 国土のインフラ整備によって得られる安全・安心が住民の行政に対する依存心を強めることもある。国土の安全・安心は、インフラ整備と同時に、安全・安心に対する国民意識の向上が相まって築かれるものである。行政に過度に依存せず、自ら安全・安心を生み出すことのできる人材育成も重要なのでは。

      • 箕浦委員
        • 国土の保全や安全・安心の確保という観点では、100年先を見据えて考えることは妥当であるが、産業、交通インフラについては、今の経済社会をベースにしては、100年先の姿を考えることはできない。現実的に、ある程度予想することのできる50年先の状況と、それから先の状況とは分けて考える必要があるのではないか。
        • メディア的に捉えると、「地域マインド」、「国土マインド」は、提言を省庁する言葉として、非常によい言葉だが、受け止め方が年代、性別によって異なる。説明を求められた場合のために、表現内容の輪郭やイメージはある程度定めておいた方がよいのでは。

      • 水谷委員
        • 100年先まで考えるということは、非常に重要なことである。現在、この中部地域は景気がよいと脚光を浴びているが、将来的にもこの状況が続くとは考えられない。港と空港の整備が未だ遅れているという問題もある。今のうちに、将来のことを考えて、戦略を打ち出しておくことが非常に重要。
        • 今後の日本では、人口が減少していき、経済は右肩下がりになっていく。社会全体の構造がこれまでとはまったく変わるだろう。今後の状況を考える場合には、先に同様な社会・経済構造の変化を体験した、欧米諸国が参考になる。
        • 将来においても、国際競争力を維持・強化していくためには、現在のインフラでは不十分である。従来の分散的な投資ではなく、国際競争力に資するものを集中的に整備する必要がある。
        • こういったインフラ整備の分野では、国や自治体がやらなくてはいけないことがある。それは相応の負担を国民に求めるものであり、今後の国際競争力の強化のために、国民の理解と自覚を促す必要がある。
        • 金融については、中心機能が東京に集中している。今は地域的に資金の余裕があるため問題がないが、将来的には、この地域において、地元に密着した、頼りになる金融機関が必要となるだろう。
        • 「テイクオフ」という言葉は意味が分かりにくい。この提言は国内に向かってうち出していくものであるので、できるだけ分かりやすい日本語にしてほしい。

      • 水尾委員
        • 前回に比べて分かりやすくなった。特に、戦略を4つに大きく分けたことで理解しやすくなった。
        • 「国土の健康回復」、「国際競争力の強化」、「観光立国の実現」という3つの分野は大きく関連している。また、これらの関連の仕方がこの地域の特質であり、今後の進むべき方向を示していると思うので、それぞれの部分を分かりやすく記述すべき。
        • 国土の健康回復について、万博をおこなった地域の責任として、今後どのように環境回復を行っていくかを強くうち出していくべき。
        • 今後、一層産業の厚みを持たしていくことが重要であり、省庁連携を進めることが必要になってくる。
        • 観光については、この地域は大阪、京都の地域と異なって、名古屋は市内というよりも、名古屋周辺に観光資源が多くある。大阪や京都とは違う、面的な広がりを持った中部地方独自の観光産業のあり方をうち出していけるのではないか。

      • 東委員
        • 中部の特徴付けがはっきりしたメリハリのある提言になってきた。
        • 産業圏域がインフラ整備によってどう拡がるかとういことも考えていくべき。例えば、北陸を中部圏域に入ることで、北東アジアとの関係が非常に強くなり、経済圏のあり方が大きく異なってくる。
        • 環境問題について、経済効果を上げる中で環境保全を行っていくことが重要であり、どのようにバランスよく国土の健康回復と経済発展を両立していくかが大事である。
        • 防災の面では、港湾において、テロ対策としてのSOLAS条約が決められている。テロなどの脅威から国土を守るということもどこかに入れてもよいのでは。
        • 中部圏域とアジアとの連携の部分では、東アジアから見た中部の位置づけを示すとよい。実際の地図を入れてはどうか。

      • 中村委員
        • セントレアが開港したが、日本の空港はまだ整備が遅れている。アジアには4,000m級の滑走路を持つ空港が数多くあり、セントレアでも滑走路をあと500m延伸すべき。
        • 10年前の阪神・淡路大震災の際、神戸港周辺が液状化してしまった。港湾が機能しなくなり、多くの貨物が釜山へと流れてしまった。名古屋、四日市港等においても、震災、津波対策を今からしっかりと考えておく必要がある。
        • 今は、産官学だけではなく、民間からの協力も必要であり、「産官学民」の4者の連携が重要である。どのように、民間にPRし、民間からの盛り上げ、サポートを受けて、関係者の一体関係をつくっていくかが今後の課題である。
        • 我が国の人口は、将来的には6,000万人程度まで減少すると予測されている。将来の労働力不足に備えてロボット産業が有望視されている。また、ナノテクや知的産業が新規成長産業として注目されている。

      • 小笠原委員
        • 今回の「テイクオフ2005」では、課題が明快に整理されており、評価できる。
        • 長期戦略について、もう少しインパクトのある言い回し、表現ができないだろうか。財源の問題もあるだろうが、例えば、ここが一番重要だというような、メリハリをもたせてもよいのでは。
        • 長期戦略のなかで、成長産業についてのくだりがあるが、成長産業はモノづくり産業だと思うが、そういった成長産業をサポートするような都市型サービス産業も非常に重要である。例えば、金融のような都市型サービス産業についてもこの地域で充実させていく、という表現もどこかに入れてもよい。また、インフラのなかには、コンベンションホールや学校などの都市型インフラや生活インフラも入る。これらのインフラについても強調してもよいのでは。
        • 金融の問題については、金融もインフラのひとつであり、現在は地域の中で集めたお金を地域内で使い切れないでいる。地域で生み出した余剰資金を域外に出すのはもったいないので、地域のお金を地域でうまく回すような仕組み(金融インフラ)が必要である。

      • 奥野委員
        • 緊急の提言ということが書いてあるが、ここで出されている中部のデータについて3点ほど整理をする必要があるのでは。
        • 1点目は、資料1のp.19の精神障害者数についてだが、これはデータとして出すのに根拠があるのかどうか、もう一度検討して頂きたい。
        • 2点目は、資料1のp.8 水資源のストックについて、もし中部のデータがあれば、中部のデータを出してほしい。
        • 3点目はp. 26「国際ゲートウェイに直結する交通網整備の遅れ」とあるが、国際ゲートウェイと言えば、まず中部国際空港や名古屋港が考えられる。中部国際空港や名古屋港に直結する交通網ということであれば、高速道路整備延長や道路ネットワークとは直接関係がないので、もしこの図表を使うのであれば、タイトルを変える必要がある。
        • この地域では、万博開催ということもあり、インフラ整備が順調に進んできたが、万博後においても、東海環状自動車道の西回りや環状2号など、まだこれから整備しなくてはいけない部分が多くある。今後、国民をどのように納得させながら、道路整備を進めていくかが大きな課題となる。この提言書においては、今後、国として、この地域でまずやらなくてはいけないことと、それをどのように進めていくかを具体的に表現しておくべきではないか。

      • 須田座長による要約
        • 「テイクオフ中部2005」については、細かい点で、課題等のいくつかのデータについてもう少し具体的に詰める必要があるという指摘はあったが、全体的に、大変高い評価を得られた。
        • 今回頂いた意見を集約すると、国土マインドを持って、目標を明確に掲げつつ、省庁の枠を越えて連携して進んでいこう、ということであった。特に省庁の枠を越えて連携すべき分野としては、災害対策、治山・治水対策、観光、および産業の発展方向等といった分野が挙げられた。
        • 中部の将来を考える上で、中期的な課題・展望と50年、100年先という長期的な課題・展望とは区別すべきだという意見があった。
        • 長期的な視点では、厳しい現実認識に立ったうえで、人口問題、金融問題、インフラのあり方、そして地域の国際競争力といった課題・展望について、はっきりと掲げていくべきである
        • この「テイクオフ」で挙げられた安全・安心、環境、産業、観光という4つの柱のうち、特に2〜4については相互の連携を念頭に置きつつ、長期的な議論を進めることが重要である。
        • 安全・安心分野については、安全を守る国の努力が住民の依存度を過度に高めることのないように、自分たちの安全は自分たちと地域で守るという自覚をなくさせないように進める必要がある。
        • 役割分担ということについては、産、官、学、民の4つの主体があり、各セクターの役割分担と連携のあり方を考えていくことが非常に重要である。
        • 中期的には、現在あるインフラをどうしていくべきか、という現実的なアプローチが必要である。また、集中と選択という問題もあり、今後、当面において何をすべきか、という短期的な視点も盛り込んでいくことも必要である。
        • テイクオフ」という言葉について、一考を要するのではないか、何か日本語で相応しいものはないか、という意見もあった。また「国際ゲートウェイ」という言葉について、定義として今の表現が適切かどうか問題があるのではないかという指摘もあった。
        • 「緊急提言」とあるが、緊急提言としては中に入っているデータに若干不備な点がある。そこを整備していけば一層説得力が増すのではないか。

  4. 閉会挨拶

  5. 閉会

以上


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