まんなかビジョン
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議事要旨

第2回 国土交通中部地方有識者懇談会【まんなか懇談会】議事要旨

日 時 平成14年8月8日(木)
  15:00〜17:30
場 所 名古屋ガーデンパレス3F栄の間

1. 開会
 
中部地方整備局長挨拶(清治局長)

2. 懇談会
 
(1) 1回懇談会の提言要旨
  事務局より「資料−1」について説明
(2) 「中部の将来像と社会資本整備の今後の進め方」
  −松尾委員による基調発言−
 
文明を支える100年スパンの基盤を築くという自覚を
社会資本整備の理念や計画を明確に示し、理解と合意を得るためのより一層の努力を
 
厳しい財政の中で、財政再建と社会資本のあり方をきちんと考えていく必要がある。そのためには、きちんと理念と実質を示し、社会的な合意形成に努める必要がある。
「社会資本整備への投資額が欧米に比べて高い」などの批判があるのは、日本の社会資本整備の経緯がきちんと国民に理解されていないためでもある。国民の理解を得るために今まで以上に努力を払うべきである。
減少基調下の社会情勢においては、コンパクトな市街地整備と市街地間のインフラ整備が重要
 
市街地は空洞化が進み都市は外へ外へと広がっているが、我が国の人口や経済が減少基調になっていることを念頭に置けば、これからは点在する市街地を重点的に整備し、その間を太いインフラで結ぶという考え方が重要である。
維持管理を考慮した社会資本整備を図り、安全で安心に暮らせるまちづくりを
 
国民の関心は、「安全で安心に暮らせる」ということに変わってきている。
欧米と違い日本は短期間に社会資本を整備してきたので、道路をはじめとする様々な構造物がほぼ同時期に劣化してくると考えられる。これは、後世代にとっては非常に深刻な問題であり、これをいかに緩和していくかが課題である。今後は、維持管理を考慮した設計が非常に重要である。
官官連携により無駄のない議論を
  ・様々な省庁や自治体で、同じような問題を議論している。産学の連携だけでなく、官と官が連携することも重要である。
   
  −水谷委員による基調発言−
 
厳しい財政状況を認識したうえで、事業の厳選と重点化を考えるべき
 
一般的に行政は「公平さ」が求められてきたが、今までは豊かであったからこそ「公平」にできた。しかし、豊かさの峠を越え縮小していく将来において、「公平」に地域づくりを行うことはもうできない。
国の財政は極端に悪い状態にあり、これまで築いてきた社会資本を維持していくことすら困難な状況にある。やるべきことを厳選した上で、重点的に行うことを考えていく必要がある。
全国的な観点、長期的な視点で地域の社会資本を考えることが重要
 
地域づくりを進めていくうえでは、地域住民のことを考えるとともに、全国的な視野を持って考えることが必要である。中部は文字通り日本の真ん中であり、立地条件も良く、今後さらに相対的な地位が高まるものと考えられる。したがって、万博や第二東名やリニア新幹線などは、必ずしも地域にとって即プラスになると限らないものもあるが、国全体のことを考えて、恵まれているこの地域に住む人々が余分に負担を背負ってでも行う必要がある。
我々は「国家100年のため」、「国全体のため」という長期的な観点から考えなければならない。目先の利害だけを考えていてはだめだ。
   
  −中部の目指すべき方向(『まんなかビジョン』)(素案)の説明−
  ・事務局より「資料−2」について説明
   
  −自由討議−
 
須田委員
 
まんなかビジョンの7つの項目は上手くまとまっているが、これをどのような指導理念を持って具体化していくのかはっきりすることが重要だ。
もう一つは「ポスト万博」として万博が終わった後、この地域が何をやるべきか示すべきではないか。
もう一つは、全国的な視点の中でこの地域がどんな役割を持つべきかという発想から将来の姿をとらえることが大事だ。
ポスト万博では、2つの可能性があると思う。一つは、第二次産業革命のような新しい産業をこの地域から発信できないか。もう一つは、この地域には、新交通システムといわれるものが全部揃っているので、21世紀に向けた近代交通システムのモデル地域としてはどうか。中部でやれば全国へ波及し、役立つだろう。
   
渡辺委員
 
中部地域は、立派な空港、港湾があり、道路、鉄道網の中心。陸・海・空そろっているので、交通モデル地域を目指すことは大いに賛成。
世界の中の中部をもっと意識して、国際競争力を高める必要がある。国際競争力にはコスト競争力と技術競争力があり、競争力をつけるにはハードとソフトの両面が大切であるが、特にソフトについては、手続きや規制を緩和するべきだ。例えば特区というやり方で、ソフトも含めてこの地域をモデル地域にしていってはどうか。
   
佐々木委員
 
これからは、民の力をどうやって上手く取り込んで社会資本を整備していくかという視点が大切で、その具体的なものが「特区制度」だ。規制緩和をし、集中的に整備していくやり方がこれからは大切ではないか。先日、都市再生で名古屋駅東地区が選ばれたが、例えば三重県のクリスタル・バレー構想なども特区制度を活用して整備していくことが大事だ。民の力という点では、PFIの活用も考えて行くべきだ。
市町村合併が進み今後広域行政が進むと思うが、こうした広域行政にマッチした社会資本整備が大事だ。
   
桑田委員
 
市町村合併が進み、市町村の規模や形態は相当変わり、権限委譲も進むだろう。将来的には、県の役割も変わり道州制の方向へ進むのではないか。
産業を強化することは、雇用の確保、財政の安定につながり、最終的には、国民の福祉の向上につながる。新しい産業を興し、産業革命的なことをやるべきだ。そのためには、輸送システムが整っていなければいけない。
長い目で見た国づくりのビジョンが必要であり、手順としては、地域の意見を聞きながら、地方から進めていくべき。ビジョンの表現も、地域の人々にもわかりやすいものにするべきである。
官・官の連携も重要で、他省庁の意見も含めて横断的にまとめていく必要がある。
   
箕浦委員
 
従来のビジョンは、産業や社会資本の供給者としての視点が強いものであったが、21世紀の将来像を考える場合、生活者の視点、消費者の視点が非常に重要である。7つの方向で言えば、最後の3つがとても重要だ。
整備局が昨年度実施したアンケートの回答者は男性中心であるように思う。このため、経済・産業面の意見が強いようだ。男性と女性では興味の差が相当出る。女性から見た21世紀、将来像、社会資本には違ったものがあるのではないか。
   
谷岡委員
 
3代先、4代先、大勢の人にとって必要な公共事業をやる。それを忘れて特定の人のためにやられてきた。だから信頼感を失って色々なところにつまずいている。まずは信頼感を回復することが大切で、事業のインプットに対してアウトカムは何なのかをはっきりと示していくべきである。そこでは、時代を超えた公正が大事である。
安易な地方分権には反対である。近視眼的な特定の人達の便益が優先されてしまい、国全体の利益が損なわれるのではないかと危惧している。短期的な考えに陥らないようにしなければならない。
本当に必要な社会資本しかできないという点では、一部の人の反対のために止まっているような事業が多く、費用を膨大にしている。個人の主観が公共を優先してしまう状況がある。公共性に対して寛容過ぎる。
防災の問題では、例えばヒートアイランド現象のようなじわじわと忍び寄るような問題にもしっかり目を向けるべき。
   
東委員
 
社会資本整備は、新しい世代の美的価値を大きく左右すると思うが、効率性、ハードの面にとらわれすぎている。地域住民が本当に何を望んでいるのか、もう少し見つめるべきではないか。
市民、住民意識の中に中部という理解が少ないような気がする。静岡では、万博を良く知らないのが実態。例えば静岡と三重を結びつけるとこんな事ができる、といったものがあるとよい。そういう視点で新しい中部を出すことも大切でないか。
   
桑田委員
 
7つの方針の中に「世界都市を目指した名古屋の魅力向上と拠点都市のアップグレード」とあり、名古屋が特筆されている。むしろ「世界に開かれた中部の魅力向上を」というように地域全体で捉えていくべきではないだろうか。
   
須田委員
 
ビジョンは実現しなければ絵に書いた餅に過ぎず、意味がない。本省の国土計画局等とも良く連絡を取り、中央へ挙げるべきだ。
実現をするうえでは、2つの点に留意する必要がある。一つは、「中部」をどうとらえるのか、各局によってばらばらであるが、ある時点で整理する必要がある。もう一つは、圏内、地域住民の声を反映させる仕組み、PIが大切だ。こうしたものがあれば、ビジョンももっと説得力が出る。
   
渡辺委員
 
アウトカム目標」の表現がやや抽象的でないか。環境で言えばCO2をこの程度減らすとか国民に分かりやすいものにすべきだ。そうでないと、また同じかと国民に受け止められかねない。
官−官の連携という意見があったが、省庁を横断的に越えたプロジェクトチームを編成できないか。検討課題にしてほしい。
   
松尾委員
 
名古屋、東京にばかり税金を使ってという声に対し、集中投資、重点投資することについての合意形成をもっと行う必要がある。
何を造るよりも、何を捨てるかを意識することが重要である。
   
座長(西尾委員)
 
このビジョンにそぐわないかもしれないが、人材育成という観点が抜けている感がある。
従来の産業だけでは限界があり、新しい産業を育てることが必要だ。
   
(3) その他
 
今後の進め方について事務局より説明(資料ー3)

3. 閉会
 
以上

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