【別紙−1】  
  ●堤内地の堤脚付近に設置する工作物の位置等について・・(平成6年5月31日 治水課長通達)
    
    堤内地において、堤防の堤脚に近接して工作物を設置する場合については、
水路等の設置に伴う掘削により堤防の荷重バランスが崩れること若しくは
基盤漏水が懸念される箇所においてパイピングが助長されること又は止水性の
あるRC構造物等の設置により洪水時の堤防の浸潤面の上昇が助長されること等の
堤防に安定を損なうおそれがあることから、従来より、工作物の設置による堤防のに
与える影響について検討し、その設置の可否を決定してきているところであるが、
この度、堤内地の堤脚付近に設置する工作物の位置等に係る判断基準等を
まとめたので、今後は、下記により取り扱われたい。
     
                             記
       
  (1)  堤脚から50%の勾配(2割勾配)の線より堤内側及び堤脚から20m
(深さ10m以内の工作物の場合については10m)を超える範囲(次図の黄色の
斜線外の堤内地側の部分)における工作物の設置(堤防の基礎地盤が
安定している箇所に限る。)については、特に支障を生じないものであること。
     
  (2)  堀込河道(河道の一定区間を平均して、堤内地盤高が計画高水位以上)の
うち堤防高が0.6m未満である箇所については、次図の斜線部分に
該当する部分はなく、特に支障を生じないものである。
     
  (3)  基礎杭工等(連続地中壁等長い延長にわたって連続して設置する工作物を除く。)に
ついては、壁体として連続していないことから、堤防の浸潤面の上昇に対する影響は
なく、次図の斜線部分に設置する場合においても、特に支障を生じないものであること。
     
  (4)  次図の斜線部分にやむを得ず工作物を設置する場合については、浸透流計算に
より求めた洪水時の堤防内の浸潤面に基づく堤防のすべり安定計算により、堤防の
安定性について工作物設置前と比較し、従前の安定性を確保するために必要に応じて
堤脚付近に土砂の吸い出しを生じない堤防の水抜き施設の設置等の対策を講ずるものと
すること。なお、旧河道や漏水の実績のある箇所においては、堤防の川表側に十分な
止水対策を行う等の対策を併せて講ずる必要があると考えられるものであること。
     
  (5)  基礎地盤が軟弱な箇所における次図の斜線外の堤内地側の部分に工作物を設置する
場合については、荷重のバランスの崩れ、浸潤面の上昇等により堤防の安定性を
損なうおそれがあるため、(4) に準じて堤防の安定性について確認し、必要に応じて所要の
対策を講ずるものとすること。なお、事前に十分な検討を行い堤防への影響の範囲を
明確にしておく(次図と同様の図を作成)ことが望ましいものであること。
     
  (6)  堤防の基礎地盤がシラスや泥炭地帯等の基盤漏水を生じやすい地質である場合に
ついては、すべりに対する堤防の安定性のほか、基盤漏水に対する堤防の安定性に
ついて確認し、必要に応じて所要の対策を講ずるものとすること。
     
  (7)  排水機場の吐出水槽等の振動が堤防に伝わるおそれのある工作物を設置する
場合においては、堤防の法尻より5m以上離すものとすること。
     
  (8)  その他堤防の安定性を損なうおそれがある場合で上記の判断基準によりがたいものに
ついては、個別に十分な検討を行い、所要の措置を講ずるものとすること。
   
 
 
 
 
 
  [橋梁添架の場合]
   
 
第2 四 @について  
     ここでは、堤防等に設置した光ファイバーケーブル類からの
分岐ケーブルを高水敷及び低水路に設置する場合を
想定している。 ([図−6]を参照)
   
 
第2 四 Aについて  
     光ファイバーケーブル類及び収容管路を構造令第62条第2項
(【別紙−2】及び下記図−7)によらず高洪水敷等の地表付近に
設置した場合、流水の乱れ等により洗堀が起きる可能性がある。
このため、設置深さは、構造令の規定によるものとしたものである。
ただし、高水敷保護工を設置する、樋管の水路等の他の構造物と
一体化するなど、治水上の支障が生じないよう適切な対策を講ずる
ときにはこの限りではない。なお、高水敷保護工の範囲は、
光ファイバーケーブル類及び収容管路の両端から1m以上とするが、
2mとしている事例が多い。
   
 
[図−7]
[図−8]
   
*1  堤防下及び堤防に近接した箇所の地下に工作物を設置すると、
その他の箇所と地盤内の応力分布や地震時の挙動が異なるため、
堤防に亀裂等が生じるおそれがある。
また、工作物の設置に伴う掘削等により堤防の荷重バランスが
崩れ、堤防の安定を損なうおそれがある。さらに、地下の工作物の
場合、事故や災害により堤防や地表面に思わぬ悪影響が生じる
場合も考えられるため、堤防下及び堤防に近接した箇所(堤防表法尻
から10mまで)は設置が不適当な箇所とした。