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伊勢湾(三河湾を含む)再生推進基本方針
検討の背景
◆平成12年8月 伊勢湾総合対策協議会で「伊勢湾の総合的な利用と保全に係る指針」を策定
◆平成13年12月 都市再生プロジェクトの第三次決定において「海の再生」が位置づけられる。
→東京湾:平成14年2月に「東京湾再生推進会議」を設置、平成15年3月に行動計画を策定
→大阪湾:平成15年7月に「大阪湾再生推進会議」を設置、平成16年3月に行動計画を策定
◆平成16年3月 中部地方整備局で「伊勢湾環境創造基本構想」を策定
伊勢湾地域の特徴
◆湾口部に大小の島々が存在し、かつ、湾内の海底地形が中央域で盆状であることから、外海水との水交換が悪く、汚濁物質が蓄積しやすい閉鎖性水域である。
◆海岸線延長約700km、水域面積約2,300km2の規模を持つ我が国最大の内湾である。東京湾、大阪湾に比べて平均水深が浅く、-10m以浅面積は最も広い。
◆陸域に日本最大のゼロメートル地帯が広がっている。
◆国土の中央に位置する地理的条件や中部国際空港等の交通条件を背景に多様な産業・文化が育まれている。今後は、「自然の叡智」をテーマとした愛・地球博の理念と成果を継承し、環境に配慮しつつ、先端産業技術の世界中枢圏域としての役割と、広域的な交流拠点性の強化が求められている。
伊勢湾における環境の現状
◆伊勢湾の環境の変遷
・高度経済成長期の臨海部開発と流域の都市化に伴い環境悪化が進行。
・水質汚濁防止法等に基づく水質規制や下水道整備等の環境保全施設の整備などによって一定の改善は認められたものの、赤潮・貧酸素水塊の発生状況は1980年代半ば以後、さほど改善されていない。
◆海域環境の特徴
・伊勢湾の水際線の形状は、湾奥部の都市部周辺で港湾構造物による人工海岸が主体となっており、湾口部にいくに従って半自然海岸、自然海岸の占める割合が多くなっている。東京湾、大阪湾に比べて人工海岸の占める割合が最も低い。
・都市化による流域水循環系の不健全化により、流域河川環境の悪化が進んだ。また、洪水の頻発と流出土砂・流木の流入、ゴミの散乱、プレジャーボートの不法係留などが、伊勢湾全体の環境を悪化させている。
◆伊勢湾域の汚濁負荷
・汚濁負荷量は継続的に減少しているものの、昭和54年から近年までCOD負荷量で30%程度、窒素負荷量で30%程度、リン負荷量で40%程度の減少率であり、東京湾と比較すると減少率(COD負荷量50%程度、窒素負荷量で30%程度、リン負荷量で50%程度)が低い。
・全負荷量に対する生活系以外の負荷量の割合が大きいことに特徴がある。
◆水質・底質
・湾奥部を中心として底質の汚濁が進行しており、水質汚濁負荷の一因となっている。
・CODの環境基準の達成状況は約20年間50%程度に留まっており、瀬戸内海、東京湾の70%程度に比べて低い。全窒素・全リンの環境基準の達成率は60%前後で近年上昇傾向にあるものの、まだ改善の余地がある。
・赤潮の頻発、5月 〜9月頃に貧酸素水塊を形成し青潮の発生による漁業被害もみられる。
◆生態系
・藻場は大王崎から松阪市、知多半島及び三河湾に点在するように残されている。
・湾内に3,000ha以上の干潟が残存するが、戦後約4割が失われている。
・湾奥及び中央部の底生生物は汚濁耐性種(多毛類の一種など)が優占する貧困な生物相。
◆漁業
・伊勢湾は高い漁業生産力を有しており、漁船漁業やのり養殖業、採貝漁業などの沿岸漁業が盛んである。
・船びき網や小型底びき網など特色ある漁業が営まれており、アサリやシャコなど全国的に上位の漁獲量である魚種も多いが、1980年頃をピークに減少傾向にある。
◆沿岸利用
・湾奥部には中部地域の経済活動の中心として港湾や数多くの事業場が立地する。
・伊勢湾沿岸域には、多くの自然公園があり、海水浴場や潮干狩り場、マリーナが立地し、海洋性レクリエーションが盛んである。
・港湾は、「モノづくり」中部の産業集積を支える重要な物流拠点になっている。
・プレジャーボート等の不法係留や廃船投棄が自然景観への悪影響や水質汚濁を招いている。
◆住民意識
・伊勢湾の自然環境が深刻であると認識し、水環境の改善等を課題視。
・伊勢湾に対し、憩い・安らぎ空間としての利用を要望。
伊勢湾における環境の課題
◆水環境
・海域への汚濁負荷量を減少させるとともに、水質・底質を改善する必要がある。特に、5月〜9月頃に湾央から湾奥を中心に形成される貧酸素水塊の発生の軽減が生物の生息にとって重要である。
◆生態系
・生物の生息基盤である、藻場、干潟、浅場等を修復・再生する必要があり、これらの場の有する自浄機能を高めることで水質・底質の改善および生態系の回復を図ることが重要である。
◆生活空間での憩い・安らぎ空間
・憩い・安らぎの空間を創出することが望まれている。
伊勢湾再生の推進基本方針
◆健全な水・物質循環の構築
・公共下水道等生活排水処理施設の整備と高度処理対策、工場・事業場に対する排水規制、雨天時の汚濁負荷対策など水質総量規制の着実な推進による汚濁負荷量の削減や、陸域の雨水かん養の強化(森林や農用地の保全・整備)、未利用水の活用を行うこと等による健全な水循環系の構築、良好な緑地・親水空間の拡充を図る。
・海域の底質改善による栄養塩溶出の抑制、水質浄化機能を持つ場の修復・再生等を行い、赤潮や貧酸素水塊の発生を軽減する。
◆多様な生態系の回復
・藻場、干潟、浅場等多様な生物の生息する場の修復・再生等を行い、健全な生態系と漁業生産の回復を図る。
◆生活空間での憩い・安らぎ空間の拡充
・地域の自然や歴史的・文化的資源の保全に配慮して、地域住民が海辺に親しめる水際線の延長、緑地の拡充、良好な景観形成を図り、憩い・安らぎ空間としての海辺を確保する。
伊勢湾再生の実現に向けて
1.伊勢湾再生推進会議の設立
◆多様な主体が連携した取組
国及び関係地方公共団体をはじめとする多様な主体(学識者、地域住民等を含む)と連携して、事業の計画(環境学習等を含む)、実施、フォローアップ(事業の見直しを含む)など具体的な行動計画として進めていく体制の構築。また、地域全体での意識の醸成。
2.伊勢湾海域環境の総合的なモニタリングによる、データの共有
◆施策の効果の検証および課題の抽出→技術向上のための知見のフィードバック。
◆総合的な海域環境のモニタリング、データの共有化→効果的な施策の実施方針の検討。
今後の取り組みの流れ
1.平成18年2月:「伊勢湾再生推進会議」の設立
2.平成18年3月:「伊勢湾再生行動計画」の策定
3.平成19年以降:伊勢湾再生行動計画の進捗状況のフォローアップ 。
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